録音データは、正確に記されていないものの1975年に作られたアルバムであることは確か。コルトレーンが他界し、マイルスの吸引力がなくなってしまった時、ジャズそのものが彷徨を始めた。誰がイニシアチィブを取るのか。誰がトレーンの後継者となるのか。ドン・チェリーもその一人であったのかも知れない。このアルバムを改めて聴くと、その可能性を秘めていたことが分かる。「解放」とか「沸騰」という言葉が思いつくのだが、残念ながらそこまで。「変革」ないしは「改革」という言葉まではたどり着かない。
所有するチェリーのアルバムEternal Rhythm(68年11月録音)、mu(69年8月録音)、そしてこのBrown Riceを順番に聴くと、チェリーはそれまでのジャズの概念から飛び出してしまった気がする。Eternal Rhythmで滑走、muで離陸、Brown Riceで滑空。そもそも、チェリー自身がジャズを変えようという意識などまったくなかったのだ。
1. Brown Rice
2. Malkauns
3. Chenrezig
4. Degi-Degi
Don Cherry - trumpet, piano, electric piano, vocals
Frank Lowe - saxophone (tracks 1,3,4)
Ricky Cherry - piano, electric piano (tracks 1,3,4)
Charlie Haden - bass (tracks 1,2,4)
Hakim Jamil - bass (track 3)
Billy Higgins - drums
Bunchie Fox - bongos (track 1)
Moki - tambura (track 2)
Verna Gillis - vocals (track 1)
Tracks 1, 2 & 4
Recorded in 1975 at Basement Recording Studios, NYC.
Track 3
Recorded in 1975 at Grog Kill, Woodstock, New York.