Cecil Taylor / Fly! Fly! Fly! Fly! Fly!

ドイツのジャズ評論家ヨアヒム・E・ベーレントによるライナーノーツには、こう書かれている。「1980年9月12日、セシル・テイラーはニューヨークからドイツに到着後、車で3時間走りMPSスタジオに入った。そして5時間の練習。翌13日は9時間の練習。録音当日の14日は8時間の練習を終えて、本番に臨み3時間で完了」。ベーレントはpracticeと表現しているが、「イメージ作り」と捉えて良いと思う。つまり、計22時間かけて、イメージを作り上げたことになる。これは即興演奏なのだろうか。

ここでのテイラーのピアノソロは、攻撃的ではあるものの鋭い棘はない。かといって、ボディーブローの如く強力な圧力がある訳でもない。むしろ、蝶のように舞っている。捕まえようとしても捉えられない。待っていても来ない。追えば逃げられる。だからこそFly!なのだ。Fly!を5回も綴ったのは、練習22時間と本番3時間で、25時間の成果と言いたかったのだろう。

1. T (Beautiful Young'n)
2. Astar
3. Ensaslayi
4. I (Sister Young'n)
5. Corn In Sun + T (Moon)
6. The Stele Stolen And Broken Is Reclaimed
7. N + R (Love Is Friends)
8. Rocks Sub Amba

Cecil Taylor - piano

Recorded on September 14, 1980 at Villingen, Germany.

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