前半3曲は、ピアノトリオでのコール・ポーターのスタンダード。後半3曲は、テナーとトランペットを加えたクインテットでのテイラーのオリジナル。この1枚のアルバムに、テイラーの真髄がぎっしり詰まっている。CD化でピアノソロが入ればと期待していたが、それは叶わなかった。
では、テイラーのジャズはどこが凄いか?いろいろ考えるのだが、決定的な言葉が見つからない。ふと、思い付いたのは「迷いのジャズ」。「これでいいのだ!」と終わらずに、「これでいいのだろうか?」と終わる感じ。8分余りのタイトル曲Love For Saleは、ソロでなんとなくテーマが始まり、ベースとドラムが入ってくる。だが、Love For Saleのフレーズに固執するか突き放すか迷っているうちに演奏は進行し、あっけなく終わってしまう。テイラーは何度もライブ演奏を行い、数多くのアルバムを残してきたが、常に「これでいいのだろうか?」と思っていたような気がする。
1. Get Out Of Town
2. I Love Paris
3. Love For Sale
4. Little Lees (aka Louise)
5. Matie's Trophies (aka Motystrophe)
6. Carol / Three Points
Cecil Taylor - piano
Buell Neidlinger - bass (or Chris White, from Album "In Transition ")
Denis Charles - drums (or Rudy Collins, from Album "In Transition")
Bill Barron - tenor saxophone (tracks 4-6)
Ted Curson - trumpet (tracks 4-6)
Recorded on April 15, 1959 at Nola's Penthouse Sound Studios, NYC.