児山紀芳氏のライナーノーツはこう始まる。「モダンジャズを語るとき"1955年"という年は特別な響きを持っている。まず真っ先に頭に浮かぶのはチャーリー・パーカーがこの世から旅立った年だということだ」。そして、アダレイ兄弟の話に移る。「ニューヨークに来て2週間目の6月28日には2人はケニー・クラークをリーダーにした〈ボヘミア・アフター・ダーク〉というアルバムの録音に抜擢された。これがアダレイ兄弟の処女録音だ。それから約2週間後の7月14日、こんどはルディ・バンゲルダーのスタジオでキャノンボールをリーダーとする最初のセッションが行われた。それがこの〈プレゼンティング・キャノンボール〉になった」。
そして、最後はこう締め括る。「キャノンボールはこのとき26歳!曲の配分からテンポの設定に至るまで非の打ち所のない演出で実力のすべてを出し切っている。まさに驚異の新人現わる!だったのだ」。児山氏の指摘通りだと思うのだが、残念ながら、このアルバムに名演はあるものの名曲はない。1曲でもいいから名曲を入れていれば、もっと価値は高くなったのだろう。だが、メンバーを見れば分かる通り、その後のジャズ界を担っていったジャズマン達である。
1. Spontaneous Combustion
2. Still Talkin' To Ya
3. A Little Taste
4. Caribbean Cutie
5. Flamingo
Cannonball Adderley - alto saxophone
Nat Adderley - cornet
Hank Jones - piano
Paul Chambers - bass
Kenny Clarke - drums
Recorded on July 14, 1955 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.