吉田拓郎の金沢事件があったのは1973年5月23日。その時、都立大泉高校の2年生だった。その晩、風呂から出たら、NHKのニュースで速報が流れていた。「フォークシンガーの吉田拓郎が婦女暴行で逮捕されました」と。母がそれを見て、「あぁ、やっぱりね」と言ったことを今でも忘れられない。当時、若者のオピニオンリーダーとしてフォークシンガーが台頭し、ラジオの深夜放送を通じて新たな文化が創られてきた。それを受け止めた若者に対して、親達は一種の嫌悪感があったのだろう。
そんなことがあってから47年。時代は変わった。フォークに限らず、音楽が持っていたポテンシャルは徐々に低下してきた。しかしながら、10代後半から20代前半に聴いた音楽は、脳の奥まで浸透している。このアルバムから、いまでも心を揺さぶられる曲は「ビートルズが教えてくれた」と「制服」。どちらも岡本おさみの詩なのである。
1. からっ風のブルース
2. 伽草子
3. 蒼い夏
4. 風邪
5. 長い雨の後に
6. 春の風が吹いていたら
7. 暑中見舞い
8. ビートルズが教えてくれた
9. 制服
10. 話してはいけない
11. 夕立ち
12. 新しい朝
発売 1973年6月1日