何の変哲もないピアノトリオ。ベースソロもドラムソロもない。4バースのやり取りも無い。リズムを倍速にするなどの工夫も一切ない。トリオのそれぞれが特筆すべきテクニックを持っている訳でもない。アーマッド・ジャマルのシングルトーンが随所に繰り返されるだけだ。だが、このライブで展開される音楽、ジャズは聴き手の心をいつの間にか掴んで離さない。
本アルバムを繰り返し聴いて、その理由がわかったような気がした。ジャマルは自分が納得いくプレイなどはどうでもよいのだ。リスナーがどれだけ心地よくなるかを意識してピアノを弾いている。例えば、インタープレイ。いわば、ミュージシャン同士の会話。ジャマルにはそれは無関係。そこで、「大衆ジャズの総本山」と位置付けたい。一番の聴きどころはPoinciana(ポインシアナ)。かなりシビレルのだ。
1. But Not For Me
2. The Surrey With The Fringe On Top
3. Moonlight In Vermont
4. (Put Another Nickel In) Music, Music, Music
5. No Greater Love
6. Poinciana
7. Woody'n You
8. What's New?
Ahmad Jamal - piano
Israel Crosby - bass
Vernel Fournier - drums
Recorded on January 16, 1958 at The Pershing Lounge of Chicago's Pershing Hotel.