金本麻里 / ジェリコの戦い

金本麻里の前作With The Bop Bandに続き、CD制作協力会員(ジョニーズディスクファンクラブ)の一人として、あれこれと語ることはできないアルバムなのだ。だが、いやだからこそ、盛岡ジャズの喫茶『開運橋のジョニー』のオーナーであり、本作のプロデューサーである照井顕さんに届くかどうかは別にして、2点だけ語っておきたい。

まずは、ベースを何故に入れなかったのか。ボーカル、ピアノ、フルートという構成で、全体的に重心が浮いてしまった感じがする。残念ながら、熱い鼓動が伝わってこないのだ。やはり、底辺を支える楽器が必要だったのではないかと思ってしまう。そして、ジャケット。麻里さんの特徴を捉えているのは事実だが、前作のジャケットと比べてしまうと、ある種の威圧的な感じを受けてしまう。アルバムの内容は、ポップ的な要素を取り入れたジャズ。もう少し工夫して欲しかった。「ジェリコの戦い」をイメージしたジャケットなのかも知れないのだが…。照井さん、正直に書きました。

1. Joshua Fit The Battle Of Jericho
2. Love Is A Many Splendored Thing
3. A Lover's Concerto
4. Stardust
5. The Shadow Of Your Smile
6. Do You Know What It Means To Miss New Orleans
7. Almost Like Being In Love
8. Moon River
9. Over The Rainbow
10. It's All Right With Me
11. Nobody Knows The Trouble I've Seen
12. HOPE

金本麻里 - vocal
武藤晶子 - piano
小川恵理紗 - flute
照井顕 - producer

録音 2018年8月29日 / 北上さくらホール(中ホール)

ジャケットに記載されたCD制作協力会員リスト抜粋

Sarah Vaughan / I Love Brazil!

20人以上のミュージシャンを集め、5日間をかけリオ・デ・ジャネイロで録音したアルバム。レーベルはPablo Records(パブロ・レコード)。もちろん、毎日20人が集まった訳ではないだろうが、かなりの予算をつぎ込んだアルバムであることは確か。では何かの賞を取ったのかと言うと、そうでもないようだ。サラ・ヴォーンの実力を十分に発揮したアルバムではある。だけど十二分の評価は受けなかった。

Milton Nascimento(ミルトン・ナシメント)が3曲で参加。「ブラジルの声」の異名を持つMPBの代表的アーティスト。MPBとはMúsica Popular Brasileiraの略で、ブラジルの音楽形式の1つ。英語的に言うと「ブラジリアン・ポピュラー・ミュージック」のこと。パブロが本作に力を入れたことが、ここでも分かる。ところで、ネットでLP時代のジャケットに出会った。LPの評価が高くなかったので、CDではブラジル色を強く出そうとしたようだ。

1. If You Went Away
2. Triste
3. Roses And Roses
4. Empty Faces
5. I Live To Love You
6. The Face I Love
7. Courage
8. The Day It Rained
9. A Little Tear
10. Like A Lover
11. Bridges
12. Someone To Light Up My Life

Sarah Vaughan - vocals
Dorival Caymmi - vocals
Milton Nascimento, Dori Caymmi - acoustic guitar, vocals
Nelson Angelo, Hélio Delmiro - electric guitar
Danilo Caymmi, Paulo Jobim - flute
Mauricio Einhorn - harmonica, harmonica arrangements
Antônio Carlos Jobim - piano
José Roberto Bertrami - arranger, electric piano, organ
Edson Frederico - arranger, orchestration, piano
Sergio Barroso, Claudio Bertrami - acoustic bass
Novelli - electric bass
Wilson das Neves, Robertinho Silva - drums
Ariovaldo, Chico Batera, Luna, Marçal - percussion

Recorded on October 31, November 3-5 & 7, 1977 at RCA Studios, Rio de Janeiro.

Carmen McRae / Lover Man

Carmen McRae Sings Lover Man And Other Billie Holiday Classicsが正式なタイトル。つまり、ラヴァー・マンを代表としてビリー・ホリデイの愛唱曲を、カーメン・マクレエが歌った企画アルバム。録音は1961年6月29日と7月26日。ビリーが他界したのは、その2年前の59年7月17日。従って、追悼盤とは言い難い。

ライナーノーツによると、カーメン・マクレエはビリーの「追っかけ」をやっていた時期もあったらしい。そして、60年にコロンビアと契約し、彼女の企画が通って実現したアルバム。ビリーが逝ってすぐに録音していれば、感傷的になり過ぎたかも知れない。2年という期間があったからこそ、じっくりと取り組むことができたのだろう。ということで、「追憶盤」としたい。

1. Them There Eyes
2. Yesterdays
3. I'm Gonna Lock My Heart (And Throw Away The Key)
4. Strange Fruit
5. Miss Brown To You
6. My Man
7. I Cried For You (Now It's Your Turn To Cry Over Me)
8. Lover Man (Oh, Where Can You Be?)
9. Trav'lin' Light
10. Some Other Spring
11. What A Little Moonlight Can Do
12. God Bless The Child
13. If The Moon Turns Green
14. The Christmas Song

Carmen McRae - vocals

Norman Simmons' Sextet
Eddie "Lockjaw" Davis - tenor saxophone
Nat Adderley - trumpet
Norman Simmons - piano
Mundell Lowe - guitar
Bob Cranshaw - double bass
Walter Perkins - drums

Recorded on June 29 and July 26, 1961.