高田渡 / 系図

高田渡。2005年4月16日午前1時22分、入院先の北海道釧路市の病院で心不全により死去。56歳没。本作での高田渡の作詞は「鉱夫の祈り」のみ。一曲一曲に重みがある。その中で、自分にそのまま当てはまってしまうのが5曲目の「酒」。「一杯飲み屋で 安酒をあおって それで 毎日毎日が 忘れられるというなら ・・・」。

1. 夜風のブルース
2. 69
3. 出稼ぎのうた
4. 長屋の路地に
5. 酒
6. 手紙を書こう
7. 系図
8. ミミズのうた
9. 告別式
10. 鎮静剤
11. 鉱夫の祈り
12. あしたはきっと

高田渡 - 作曲、唄、ギター

1. 詞 - ラングストン・ヒューズ / 中川イサト - guitar, 細野晴臣 - wood bass
2. 詞 - 金子光晴
3. 詞 - 小幡周太郎 / 武川雅寛 - fiddle
4. 詞 - 木山捷平 / 細野晴臣 - honky-tonk piano, 村瀬雅美 - bass, シバ - blues harp, 若林純夫 - blues harp, 村上律 - banjo
5. 詞 - 細田幸平 / 中川イサト - guitar
6. 詞 - 永山則夫
7. 詞 - 三木卓 / 細野晴臣 - wood bass, 武川雅寛 - fiddle, 池田光夫 - bandoneon
8. 詞 - 永山則夫
9. 詞 - 山之口貘 / 若林純夫 - guitar, 村瀬雅美 - bass, 細野晴臣 - honky-tonk piano, シバ - blues harp
10. 原詩 - ローラッサン / 訳詞 - 堀口大学 /村上律 - wood banjo
11. 詞 - 高田渡 / 中川イサト - guitar, 駒沢裕城 - slide guitar, 武川雅寛 - fiddle
12. 詞・曲・唄・ギター - いとうたかお / 村瀬雅美 - bass, 若林純夫 - drums & chorus, シバ - blues harp, 村上律 - banjo, ムサシノ・グリークラブ - chorus, 武蔵野カズー部隊 - kazoo

発売 1972年4月25日

高田渡 / ごあいさつ

このアルバムがリリースされたのは、1971年6月。1949年1月生まれの渡であるから、この時、まだ22歳。大阪万博の翌年。高度経済成長第二期の真っただ中である。「ケーザイ」という軸とは、まったく違う軸で唄を歌い続けてきた渡。それは決して、高田渡と言う「私的」ではなく、渡が見ていた庶民の生活を唄に写してきたこと。

当時、このアルバムのコーヒーブルースを聴いて三条の「イノダ」へ行かなくちゃ、と思った。そして、ワタル的な「生活の柄」。どの曲も唄い放されて終わる。唄い終わるのではなく、唄い放つ。聴き手は、放された言葉を掴み取って、自分の中に溜めざるを得ない。溜めた瞬間、渡とつながってしまう。

* * * * *

生活の柄(作詞:山之口貘 作曲:高田渡)

歩き疲れては 夜空と陸との 隙間にもぐりこんで
草に埋れては 寝たのです 処かまわず寝たのです

1. ごあいさつ
2. 失業手当
3. 年齢・歯車
4. 鮪に鰯
5. 結婚
6. アイスクリーム
7. 自転車にのって
8. ブルース
9. おなじみの短い手紙
10. 珈琲不演唱(コーヒーブルース)
11. 値上げ(変化)
12. 夕焼け
13. 銭がなけりゃ
14. 日曜日
15. しらみの旅
16. 生活の柄

高田渡 - guitar (tracks 1,3-6,8-12,14,16), flat mandolin (tracks 2,7)

はっぴいえんど (tracks 2,7,13,15)
大滝詠一 - guitar, chorus
鈴木茂 - guitar, chorus
細野晴臣 - bass, piano, chorus
松本隆 - drums, chorus

池田光夫 - bandoneon (tracks 4,9,14)
石田順二 - fiddle (tracks 13,16)
中川イサト - guitar (tracks 13,15)
木田高介 - piano (track 5)
岩井宏 - banjo (tracks 13,16), chorus (tracks 7,13,16)
加川良 - chorus (tracks 7,13,16)
遠藤賢司 - chorus (track 13)

発売 1971年6月1日

高田渡 / 汽車が田舎を通るその時

2012年2月19日付けで、以下のようなブログを書いていた。この体験は文章として残しておきたい。

先週末は自動車部品工場の生産ラインに入った。総勢150名近くで、その1/3ほどがブラジル人。手作業で組み立てられていく。両隣に座ったのがブラジル人の女性。というか、その間に座らされた。右手の女性は日本語が話せない。左手の女性はかなり流暢。単純作業が朝から続き、夕方になるとさすがに飽きてきた。左手の女性が「あ~あ、もう飽きちゃった」と。その一言がきっかけになって、会話が始まった。

現在35歳で20年前に日本に来たという。子供は男の子で15歳になるが、サンパウロに住んでいる。しかし、その子には父親がいない。つまり、子供ができて父親である男は逃げたということだ。結婚はしなかった。子供をサンパウロに住む母親にあずけ日本で働いている。楽しみは、ビザの関係で来年四月にサンパウロに行けること。ただ、子供は3歳のときに別れたので、ママとは呼んでくれない・・・会話が途切れ、終業の17時15分となった。日本の自動車産業は、このような人達に支えられているのだ。「労働者」の視点で唄い続けてきた高田渡。「ゼニがなけりゃ」「出稼ぎの唄」「鉱夫の祈り」「この世に住む家とてなく」。

1. ボロ・ボロ
2. 春まっさい中
3. 日曜日
4. 酒屋
5. 汽車が田舎を通るそのとき
6. 来年の話をしよう
7. 朝日楼
8. 新わからない節
9. ゼニがなけりゃ
10. 出稼ぎの唄
11. 鉱夫の祈り
12. この世に住む家とてなく

高田渡 - 唄, ギター

録音 1969年8月13, 14日, 9月2日