高田渡 / 汽車が田舎を通るその時

2012年2月19日付けで、以下のようなブログを書いていた。この体験は文章として残しておきたい。

先週末は自動車部品工場の生産ラインに入った。総勢150名近くで、その1/3ほどがブラジル人。手作業で組み立てられていく。両隣に座ったのがブラジル人の女性。というか、その間に座らされた。右手の女性は日本語が話せない。左手の女性はかなり流暢。単純作業が朝から続き、夕方になるとさすがに飽きてきた。左手の女性が「あ~あ、もう飽きちゃった」と。その一言がきっかけになって、会話が始まった。

現在35歳で20年前に日本に来たという。子供は男の子で15歳になるが、サンパウロに住んでいる。しかし、その子には父親がいない。つまり、子供ができて父親である男は逃げたということだ。結婚はしなかった。子供をサンパウロに住む母親にあずけ日本で働いている。楽しみは、ビザの関係で来年四月にサンパウロに行けること。ただ、子供は3歳のときに別れたので、ママとは呼んでくれない・・・会話が途切れ、終業の17時15分となった。日本の自動車産業は、このような人達に支えられているのだ。「労働者」の視点で唄い続けてきた高田渡。「ゼニがなけりゃ」「出稼ぎの唄」「鉱夫の祈り」「この世に住む家とてなく」。

1. ボロ・ボロ
2. 春まっさい中
3. 日曜日
4. 酒屋
5. 汽車が田舎を通るそのとき
6. 来年の話をしよう
7. 朝日楼
8. 新わからない節
9. ゼニがなけりゃ
10. 出稼ぎの唄
11. 鉱夫の祈り
12. この世に住む家とてなく

高田渡 - 唄, ギター

録音 1969年8月13, 14日, 9月2日

高田渡 / 高田渡・五つの赤い風船

URC(アングラ・レコード・クラブ)が1969年2月に設立され、その第一回配布レコード。A面がスタジオライブの高田渡(ディレクター:高石友也)、B面が五つの赤い風船(ディレクター:加藤和彦)。アルバムタイトルが明確に設定されていなかったので、当時は「渡と風船」のレコードと呼んでいた。CDは2002年9月にURC復刻シリーズ第一回としてリリース。

注目は、高田渡の「自衛隊に入ろう」。防衛庁(現防衛省)から自衛隊のPRソングとしての申し出があった。その後、逆説的な歌であることを知り申し出の断りがあり、さらには放送禁止歌となった。風船に関しては、その後の活動の原点がここにはあり、すでに完成度の高いグループであったことが分かる。改めて録音データを確認したところ、1968年11月13日(水)に同じスタジオで渡と風船が録音している。渡はライブなので、昼間に風船、夜は渡だったのだろう。

1. 事だよ
2. 現代的だわね
3. 自衛隊に入ろう
4. ブラブラ節
5. しらみの旅
6. あきらめ節
7. 冷やそうよ
8. テーマ(オープニング)
9. 恋は風に乗って
10. 二人は
11. 遠い世界に
12. 血まみれの鳩
13. もしもボクの背中に羽根が生えてたら
14. 一つの言葉
15. 遠い空の彼方に
16. テーマ(エンディング)

Tracks 1 - 7
高田渡
録音 1968年11月13日(毎日放送千里丘第1スタジオ)

Tracks 8 - 16
五つの赤い風船(西岡たかし、藤原秀子、中川イサト、長野隆)
録音 1968年11月13日, 1968年11月26日, 1969年1月3日(毎日放送千里丘第1スタジオ)

高橋知己 / Dearly Beloved

2018年10月5日に町田Nica'sで高橋知己カルテット+中牟礼貞則を聴いた。ベースは、小杉敏から桜井郁雄に急遽変更。リハーサルの時間帯からNica'sに入り、一番前の席をゲット。休憩時間に、高橋さんご自身からこのアルバムを購入。サインをお願いしたところ、高橋さんが、元岡さん、中牟礼さん、渡辺さんにもサインを回してくれた。

そして、2019年7月27日のNica'sでのライブ。メンバーは、高橋知己、元岡一英、小杉敏、渡辺文男、チコ本田。チコさんと小杉さんにサインをお願いして、サイン集が完成した。

高橋さんがコルトレーンに傾倒していることは知っていて、この日のライブではMr. Symsを演奏。アルバムColtrane Plays The Bluesに収録。アーチー・シェップがアルバムFour for Traneで取り上げている程度で、ほとんど知られていない曲である。高橋さんらしい選曲。このアルバムでは、Mr. Symsではなく、トレーンの曲としては比較的メジャーなLonnie's Lamentが最後を飾る。中牟礼さんの突き刺さるようなギターのシングルトーンが印象的。

1. Something Special
2. Summary
3. If Ever I Would Leave You
4. Candy
5. Detour Ahead
6. Isfahan
7. Monk's Mood
8. Dearly Beloved
9. This Is Always
10. Lonnie's Lament

高橋知己 - tenor saxophone, soprano saxophone
元岡一英 - piano
小杉敏 - bass
渡辺文男 - drums
中牟礼貞則 - guitar (tracks 1,6,7,10)
チコ本田 - vocal (tracks 4,9)

Recorded on February 14, March 19 & 20, 2018 at Nishiogi - Aketa no Mise.