山下洋輔 / Mina's Second Theme

山下洋輔トリオの最初のスタジオアルバム(1969年10月14日録音)。69年9月21日のサンケイホールでのライブConcert In New Jazzがファーストアルバムである。この2枚に共通する曲はGuganのみだが、Concert ... はLPの録音時間の都合でMina's Second Themeの演奏が割愛されている(CDでは収録されたが廃盤状態)。なので、ライブのイメージをスタジオに持ち込もうとしたのだろう。

従って、RoihaniはアルバムMina's ... で初めて録音された曲になるのだろう。タイトルの由来は山下ファンにはよく知られている。12音階の全音「ドレミファソラシド」は「CDEFGABC」。「A」から「イ」を当てはめると「ハニホヘイロハ」となる。「BACD」という音階(ある種の演奏のきっかけ)を思いついて、曲名は「ロイハニ」となった。お見事!一方、Guganの出だしは「グガン、グガン、ダパトトン、グガン、ダパトトン」。森山威男は「ダパトトン」から太鼓を叩き始めるので、森山にとっての曲名「だぱととん」と山下は書いている。

1. Mina's Second Theme / ミナのセカンド・テーマ
2. Roihani / ロイハニ
3. Gugan / グガン

山下洋輔 - piano
中村誠一 - tenor saxophone
森山威男 - drums

Recorded on October 14, 1969. (日本ビクター第2スタジオ)

山下洋輔 / Concert In New Jazz

山下洋輔トリオのメジャー・デビュー作。LPは所有していたものの、リーズナブルな中古CDを探し続けて来た。その理由は簡単で、このライブでの聴き所の一つは、3曲目の20分を超える「ミナの2ndテーマ」。LPには入り切らなかったために割愛された。さらに、「木喰」はフェイドアウト。

71分11秒のCDは、ライブの模様を完全収録。相倉久人氏によるメンバー、そして作曲者を含めた曲目の紹介も入っている。ちなみに、LPは39分33秒。LPのライナーノーツは相倉氏が担当。『クロージング・テーマ「ぐがん」の最後に「ブルッ」と妙な音が入っているのは、エキサイトした森山威男がうしろのマイクに後頭部をぶつけたもので、録音上のミスではない』と解説している。もう52年前の出来事。

1. さて
2. MC〈相倉久人のメンバー&曲目紹介〉
3. ミナの2ndテーマ
4. 木輪
5. 木喰
6. ぐがん

山下洋輔 - piano
中村誠一 - tenor saxophone, soprano saxophone, clarinet
森山威男 - drums

録音 1969年9月21日 / サンケイホール

山下洋輔 / UP-TO-DATE

1975年4月28日、とんでもない日本のジャズがここにあった。46年前の山下トリオの演奏を聴くと、それぞれが「すべての責任は自分が取る」という意気込み。他の二人に任せても何も解決しない、そんなジャズの作法。始まりは正三角形。あっという間に、その三角形は崩れ去り、各辺が遊離してしまう。頂点が消え失せ、各辺が互いに交差しながら、二次元空間から三次元空間へと。そして、ユークリッド幾何学を越えて。

この3人は、いまだにジャズマンであり、ジャズを肥やしとしてしか生きられないのだろう。坂田氏とはちょっと昔に飲んだことがあり、森山氏とはツーショットの写真を撮らせてもらった。残念ながら、山下氏とはちゃんと会話をしたことがないものの、アルバムを通しての50年来の付き合いである。

Disc 1
1. Duo, introduction
2. Chiasma

Disc 2
3. Up To Date

山下洋輔 - piano
坂田明 - alto saxophone
森山威男 - drums

録音 1975年4月28日 / 新宿厚生年金会館小ホール