山下洋輔 / 砂山

山下トリオでは、これまで「赤とんぼ」入りのゴーストが大きな反響を呼んでいた。そして、積極的に童謡を取り入れたのが、このアルバム。全て中山晋平の曲である。タイトルは「砂山」だが、「きいちのぬりえ」にすべきだったと思う。さて、「あの町この町」はメロディーが明確に聴こえるが、どこが「砂山」で、どこから「うさぎのダンス」なのか?昔、我が家に遊び(飲み)に来た友人に、アルバムタイトルを隠して聴いてもらったが、回答は得られず。

「ソソラ ソラソラ ウサギのダッダー」…と「ダンス」が「ダッダー」になり、「ダッダー」がキーフレーズとして展開されていく。これが洋輔の真骨頂だろう。恐らく、洋輔はシメタ!と思ったに違いない。「ソソラ ソラソラ」は「ダッダー」へ行くための助走。「ダッダー」のフレーズだけで何でもできそうだと…。ズ・ル・イ。

1. 砂山
2. うさぎのダンス
3. あの町この町

山下洋輔 - piano
坂田明 - alto saxophone, alto clarinet
小山彰太 - drums

清水靖晃 - tenor saxophone
岡野等 - trumpet
中沢健次 - trumpet
向井滋春 - trombone
杉本喜代志 - guitar

録音 1978年6月21 & 22日 / 東京・ビクタースタジオ

山下洋輔 / Umbrella Dance

ジャケットはあたかも童話の世界。猫が傘をさして空中散歩。その感覚でレコードに針を落としたら、今ではCDを挿入してプレイボタンを押したら、猫が光速を超えて宇宙空間へ飛び出す勢い。猫踏んじゃった。ではなく、猫飛んじゃった。なのである。

LPでは2曲目のPart IIがIIaとIIbに分断され4曲構成だった。4曲の組曲で起承転結。いや稀少天傑。こんなジャズトリオは他に例がなく稀少で、天も揺るがす傑作を生みだしてきた。CDは分断が解消して3曲構成になり、勢いがさらに加速。猫ぶっ飛んじゃった。

1. Umbrella Dance Part I
2. Umbrella Dance Part II
3. Umbrella Dance Part III

山下洋輔 - piano
坂田明 - alto saxophone
小山彰太 - drums

Recorded on June 16, 1977 at Tonstudio Bauer, Ludwigsburg, West Germany.

山下洋輔 / Inner Space

1976年6月録音のヨースケとアデルハルト・ロイディンガーのデュオアルバムA Day In Munichに続く一枚。前作では、ヨースケに対抗してロイディンガーがベースを弾き過ぎていると感じたが、ここでは互いの言い分を認め合っている。初手合いでは自分の力を発揮することに集中し、2度目の対戦では相手の力をうまく利用しようとしている。結果、観戦する側としては、後者の方が断然面白い。

LPで聴いていた時は、レコードを回す、針を落とす、針を上げて盤を裏返す、という手間があるので、あまり感じなかったが、4曲35分でCDは終わってしまい物足りないのが残念。

1. Country Walk
2. Tight Pants
3. Soft Waltz
4. Green Wave

山下洋輔 - piano
Adlehard Roidinger - bass

Recorded on June 24, 1977 at Europe-Sound Studio, Offenbach.