渡辺貞夫 / California Shower

このアルバムがリリースされた頃は、大学のジャズ研が自分の生活の中心で、マイルス、コルトレーン、モンクなどを中心に聴いていた。カリフォルニア・シャワーはあまりにも軽すぎて、これはジャズじゃないなと思った。一日の終わりは、シャワーで軽く流すのではなく、熱い湯にどっぷり浸からないと・・・。

世間はフュージョンというカテゴリーを作り、このアルバムをそこに配置。そして、空前の大ヒット。今聴き直すと、ナツメロのような感じだ。振り返ると、ジャズ喫茶で本作を聴いた覚えがない。タバコの煙が充満し、薄暗い部屋にはまったく馴染まない。

1. California Shower
2. Duo-Creatics
3. Desert Ride
4. Seventh High
5. Turning Pages Of Wind
6. Ngoma Party
7. My Country

Sadao Watanabe - alto saxophone, sopranino, flute
Ernie Watts - tenor saxophone
Oscar Brashear - trumpet
George Bohanon - trombone
Lee Ritenour - electric guitar, acoustic guitar
Dave Grusin - acoustic piano, Fender Rhodes piano
Chuck Rainey - electric bass
Harvey Mason - drums
Paulinho Da Costa - congas, percussion

Recorded in March 1978 in Los Angeles, CA.

はっぴいえんど / HAPPY END

はっぴいえんどは、1970年代初めに登場し日本のロックを塗り替え、疾風の如く去ってしまった。アルバム『はっぴいえんど』で旗揚げ、2枚目の『風街ろまん』で頂点に立ち、このアルバム『HAPPY END』で完結させたのである。

「風来坊」で始まり、「さよならアメリカ さよなら日本」で終わるアルバム。その時間はわずか30分11秒。完結作も疾風の如く。彼らの春は、牛乳瓶に詰められてしまったのだ。

「明日あたりはきっと春」(作詞:松本隆)

冬化粧 白は流れて
砂糖菓子の街 ひっそりと
テーブルには
牛乳瓶に詰められた ぼくらの春が
・・・
・・・

1. 風来坊
2. 氷雨月のスケッチ
3. 明日あたりはきっと春
4. 無風状態
5. さよなら通り3番地
6. 相合傘
7. 田舎道
8. 外はいい天気
9. さよならアメリカ さよなら日本

細野晴臣 - electric bass, mandolin, acoustic guitar, piano
大瀧詠一 - acoustic guitar
松本隆 - drums, percussion
鈴木茂 - electric guitar, acoustic guitar

Released on February 25, 1973.

森山威男 / SMILE

ちょうど10年前。2012年6月28日、このアルバムのブログを書いた。自分としては、下記のノートは残しておきたい。なお、オリジナルのリリースは1981年3月25日。収録曲は全てカタカナ表記に統一していて、ここでの「わたらせ」は「ワタラセ」である。ただし、アルバムタイトルは英語表記。

* * *
ザ・ピーナッツの伊藤エミ死去。衝撃的だった。しかも、死去したのは15日ということで、2週間ほど外部への情報が閉ざされていたことになる。今朝、筑波のホテルで、ネットでのニュースを読んでいて、このことを知った。瞬間、テレビの時代が終わったなと思った。自分が子どもの頃は、テレビの全盛期だった。「てなもんや三度笠」、「ひょっこりひょうたん島」、「サンダーバード」、「コンバット」などなど。そして、「シャボン玉ホリデー」。

次の瞬間、板橋文夫の「わたらせ」のメロディーが耳の奥で鳴り始めた。この曲を知ったのは、ごく最近。2年前の2010年7月に北海道一人旅をしたとき、根室のジャズ喫茶『サテンドール』で聴いた。なので、ザ・ピーナッツとは何の結びつきも無い。ということは、自分の中で「わたらせ」のメロディーは、何かの終わり、終止符というイメージが出来上がってしまったのかも知れない。

板橋のアルバムWATARASEを取り出しても良かったが、森山のこのアルバムに手が伸びた。オンデマンドのCDである。つまり、注文を受けてから1枚単位でも製作するという手法。大量生産・大量消費と逆行するこのビジネスが、今後も成立していくのかはウォッチしていきたい。ラスト曲の「グッドバイ」。今夜は、伊藤エミへの哀悼曲となっている。

1. エクスチェンジ
2. ワタラセ
3. ステップ
4. スマイル
5. グッドバイ

国安良夫 - tenor saxophone, soprano saxophone
松風鉱一 - alto saxophone, tenor saxophone, flute
板橋文夫 - piano
望月英明 - bass
森山威男 - drums

Recorded on November 10, 11 & 12, 1980.