日野元彦 / Flying Clouds

商品解説から抜粋。〈根室における名盤『流氷』のステージから3ヶ月後の1976年5月27日、録音メンバーに今村祐司(パーカッション)を加えたセクステット編成で出演した「5 Days in Jazz 1976」の記録。タイトルナンバーは日野元彦が書き下ろした未発表曲。半世紀のあいだ眠りについていた2インチテープからマスター音源を制作したもの〉。

この解説に釣られて購入。アルバム『流氷』に迫る、もしくは超える演奏を期待したのだが…。前作〈流氷〉は、2月の根室だったからこそ熱くなったのだろう。5月の東京では、〈流氷〉をイメージする演奏は難しいはずだ。そんな感じで安易に捉えた。だが、何度も聴き返すと、パーカッションがうるさ過ぎることが分かった。日野元彦が、ジェット・ラグで体調が優れなかったことから、今村祐司が急遽参加したとのこと。聴き手側ではなく、演奏側のロジックによるライブだったのである。そして、井野信義がエレキベースを弾いていることも、雰囲気を台無しにしている。

30年ほど前に日野元彦から直接もらった彼のドラムスティックが、我が家の宝物。「つまらない音源を世に出したな」と、スティックがつぶやいたように聞こえた。

1. 流氷
2. Olive's Step
3. Flying Clouds

山口真文 - tenor saxophone
清水靖晃 - tenor saxophone
渡辺香津美 - guitar
井野信義 - bass
日野元彦 - drums
今村祐司 - percussion

Recorded on May 27, 1976 at Yamaha Hall, Tokyo.

渡辺貞夫 / Paysages

ようやく手に入れたアルバム。学生時代、スイングジャーナル1971年9月号を古本で購入。それから何年も経って詳しく読み返したところ、本作のセッション風景を描いた記事を発見。渡辺貞夫、菊池雅章、ゲイリー・ピーコック、富樫雅彦、村上寛という豪華メンバーによるスタジオ録音。早速、アマゾンで検索すると、なんと新品で12,000円以上、中古でも6,000円。どうにも手を出せず、アマゾンの「ほしい物リスト」に放り込んでおいた。

そして先日、2,000円以下の紙ジャケット・アルバムを発見。約50年を掛けて入手できた訳である。何故かジャズ喫茶で出会う機会がなかったアルバムでもある。タイトルPaysagesはフランス語で「景色、田園」。さらに、サブタイトルがあり、見開き紙ジャケットの内側にBright and Sunny! This is the New Cool Sounds of Sadao Watanabe!と書かれている。かなり欲張ったタイトルで、ナベサダの意欲が伝わってくるのだが、たった1日だけのセッションでは、十分に消化し切れなかった感じだ。記事によると、録音を終え、ピーコックは最終の新幹線で京都に帰り、プーさんこと菊池雅章は、「もっとうまく出来ると思ったんだけどな」と一言。

1. Paysages Part 1 & 2
2. Out - Land
3. Space Is Not A Place
4. Green Air
5. Provincial

渡辺貞夫 - alto saxophone, flute, sopranino
菊地雅章 - piano, electric piano
Gary Peacock - bass
富樫雅彦 - percussion
村上寛 - drums

Recorded on June 22, 1971, CBS/SONY 1st Studio, Tokyo.

吉田拓郎 / ah-面白かった

今日、6月28日入荷。所有する拓郎のアルバム数としては47枚目。2019年のコンサートツアーは、Live 73 Yearsと拓郎自身の年齢を記した。同梱された小冊子には、拓郎による全演奏曲の解説がある。「わたしの足音2019」では、「僕のラストとなるかも知れないライブ」と書いている。ツアータイトルに自分の年齢を入れた理由は、ここにあった。

そして、それから3年。自ら最終アルバムと宣言したアルバムを「面白かった」と過去形にして仕上げた。全曲、拓郎の作品。タイトル曲「ah-面白かった」には「いつも履いている シューズを脱ぎ捨て 何も言わずに部屋へ逃げる」と。自分が中学時代から追いかけて来た拓郎。仕方ない。時が刻まれていくことには誰も逆らえない。こちらも「面白かったぜ」と返信するしかないのだ。

CD
1. ショルダーバッグの秘密
2. 君のdestination
3. Contrast
4. アウトロ
5. ひとりgo to
6. 雨の中で歌った
7. 雪さよなら
8. Together
9. ah-面白かった

DVD
1. 「ah-面白かった」制作メイキング映像
2. 吉田拓郎インタビュー