山下洋輔 / Crescendo

ヨースケのニューヨーク・トリオによるスイート・ベイジルでのライブ。観客はそれなりに盛り上がっている感じなのだが、果たしてヨースケのピアノを真っ正面から受け入れてくれたのかどうかよく分からない。ヨースケ自身も、掲載された書下ろしエッセイで、そのことを多く語っていない。それ以上に、ライナーノーツで野田秀樹が駄文を並べ紙面を汚している。演奏は及第点、野田は落第点である。というか、野田に依頼したプロデューサーが落第。

CD帯のキャッチコピー「山下洋輔ニューヨーク・トリオの記念すべきファーストアルバム。強力なリズムセクションと出会い、マンハッタンを熱狂させた山下ジャズの真髄!」。この文章を書いたヤツはアルバムを聴いているはずがない。どこが「熱狂」なのだろう。そもそも、ヨースケ、セシル、フェローンの3人はファーストアルバムということもあって、まだ発狂していないのだ。互いの手癖を掴み切っていない感じ。

1. Autumn Changes
2. Take The "A" Train
3. Soul Eyes
4. C.P. Blues
5. First Bridge
6. My One And Only Love

山下洋輔 - piano
Cecil McBee - bass
Pheeroan akLaff - drums

Recorded on July 11 & 18, 1988 at Sweet Basil, NYC.

山下洋輔 / Rhapsody In Blue

筒井康隆氏は、ライナーノーツでこのアルバムを絶賛している。まぁ、こき下ろす文を書かれてしまったら、掲載する訳にはいかないのだが・・・。ヨースケを聴き続けてきた自分にとっては、いたく退屈だ。そもそも、クラッシク界に乱入した理由が分からない。いくら理屈を並べても「譜面の世界」である。それを根本から嫌っていたのがヨースケ。

ヨースケの著書『即興ラプソディ―私の履歴書』には、その辺のいきさつが書かれているのだろうが、1,870円は高すぎる。せめて、このCDの付録に履歴書を付けて欲しかった。実際には、演奏者から言葉で音楽を説明されても仕方ないこと。

1. 無伴奏チェロ組曲第一番ト長調プレリュード
2. ノクターン第二番変ホ長調作品9-2
3. ラプソデイ・イン・ブルー
4. 乙女の祈り
5. ユーモレスク
6. ピアノ五重奏曲第二番第一楽章
7. ピアノ五重奏曲第二番第ニ楽章
8. ピアノ五重奏曲第二番第三楽章

山下洋輔 - piano

録音 1986年7月20日 / 大阪・ザ・シンフォニー・ホール

山下洋輔 / Sentimental

ヨーロッパではすでに認知された洋輔が、アメリカへ殴り込んだ1985年8月。その旅の仕上げは、ニューヨークのスイート・ベイジルでのソロ・ライブ。それに続き、スタジオでのソロ演奏がこのアルバムとなった。そして、スイート・ベイジルのライブの模様が、スタジオ録音の翌29日、ニューヨーク・タイムズに掲載された。以下は、ライナーノーツからの抜粋。

『火曜日の「スイート・ベイジル」は、山下洋輔のソロ・コンサートの強襲をうけて、おおいに揺れ動いた。〈中略〉山下氏のステージは、スタンダードナンバーやクラシック(その中には「チュニジアの夜」やラベルの「ボレロ」があった)を織り込み、音色のハーモニーとパーカッシブで不協和な音の広がりとの間を行き来していた。リズムとハーモニーのかもし出すプレッシャーは勢いを増し、また、かすかに原曲を感じさせる無調の楽節の中で爆発する。そして山下氏のプレイは普通のコードに戻り静まる』。火曜日は27日なので、ライブ翌日がスタジオ録音。もし、ライブでブーイングが鳴り響いたら、スタジオ録音はキャンセルになったのだろうか。なんとなく、用意周到された感じがしてならない。

1. Over The Rainbow
2. My One And Only Love
3. Humoresque
4. Autumn Leaves
5. Träumerei
6. Stardust
7. Summertime
8. Tea For Two
9. Bolero
10. Secret Love
11. Piano Concert No.2
12. P.S. I Love You
13. Good-bye

山下洋輔 - piano

Recorded on August 28, 1985 at RCA A Studio, NYC.