山下洋輔 / Resonant Memories

2000年5月録音のピアノソロ。所有する山下洋輔のソロアルバムを調べると、85年8月にスタンダード曲中心のSentimentalを録音している。従って、約15年振りのソロということになる。では、なぜにソロ、そしてスタンダード集に再挑戦したのか。さらにはボレロの再演。ジャケット内には洋輔自身による解説が掲載されている。

要約して抜粋すると、「本来ならばビッグバンドをやる企画があったが、準備不足のため断念。そこで、久々のソロに切り替えた。曲目は再演が多いが、初演の曲もある。If You Could See Me Nowは、チャーリー・ミンガスのベースの音で、ずっと耳に鳴り響いていた。昔、ミュンヘンのライブハウスで生で聴いた覚えがある。I'm A Fool To Want Youは旧知のプロデューサーからのリクエスト」。自分もミンガスのIf You Could See Me Nowを聴いてみたいと思ったが、ミンガスのディスコグラフィーには載っていなかった。2つのボレロを聴き比べてみた。どちらも7分台の演奏で、85年バージョンは躍動感、2000年バージョンは余剰感といった雰囲気。本作のタイトルResonant Memoriesは、洋輔が「余韻」を意味して付けたと書いている。つまり、15年を経て、どんなボレロを演じられるかを洋輔は試したかったのだ。

1. 'Round Midnight
2. If You Could See Me Now
3. Greensleeves
4. You Are Valentine
5. Interlude #1
6. Mt. Senba
7. I Fall In Love Too Easily
8. A Night In Tunisia
9. Brightness
10. Interlude #2
11. I'm A Fool To Want You
12. Bolero

Yosuke Yamashita - piano

Recorded on May 16 & 17, 2000.

山下洋輔 / Wind Of The Age

山下洋輔が、自分のニューヨーク・トリオを日本に迎えてのレコーディング。そのせいか、ジャケット内に使われた複数の写真は、かつての日本の風景を切り取っている。ジャズのアルバムとしては、とても珍しいだろう。ただ、表紙はカラーバランスが悪かった感じだ。このトリオのゲストがラヴィ・コルトレーン。ジョン・コルトレーンの息子である。そして、ラストにMy Favorite Thingsを配置。コルトレーン親子への敬意を表したのだろう。

ならば、多くの曲を盛り込まず、My Favorite Thingsをせめて20分コースでやって欲しかった(本作では6分51秒)。メンバーそれぞれが、コルトレーン、マッコイ、ギャリソン、エルビンになりきり、90年代後半にジャズの新たな方向性を示せたはず。タイトルWind Of The Ageは「時代の風」ということだろうか。それこそ、3日間もスタジオにこもらず、吹き飛ばされるような一発勝負の熱い演奏を期待したかったのだが。

1. For David’s Sake
2. 10th Theme
3. J. G. Bird -Dedicated To Yasutaka Tsutsui-
4. Double Sides
5. Fuga De La Liberation
6. Brick Busters
7. My One And Only Love
8. My Favorite Things

Ravi Coltrane - tenor saxophone, soprano saxophone (except tracks 5,6)
Yosuke Yamashita - piano
Cecil McBee - bass
Pheeroan akLaff - drums

Recorded on August 13, 14 & 15, 1997 at Crescente Studios, Tokyo, Japan.

山下洋輔 / Ways Of Time

山下洋輔トリオ結成25周年記念アルバム。1969年の発足当時のトリオは、山下洋輔、中村誠一、森山威男。メンバーが変化しての25周年にどんな意味があったのか。5曲目のAcupunturaは新曲で、それ以外はかつて演奏してきた曲が並ぶ。ライナーノーツの中に49枚のアルバムジャケットの写真が掲載されているが、ソロアルバムも含まれているので、トリオの変遷を示している訳ではない。そして、本作については、洋輔自身がライナーノーツの中で次のように語っている。

「最初のフリージャズトリオを結成してから25年経った区切りに、NYトリオで25周年記念アルバムをレコーディングするという巡り合わせになった。リユニオンとかいう、よくある昔の仲間と再会してのお祭りレコードというのは全く頭になかった」。しかしながら、2009年7月19日に日比谷野外音楽堂で「結成40周年記念!! 山下洋輔トリオ復活祭ライブ」が行われ、Double Rainbow [DVD]として発売された。洋輔は根っからのお祭り男なのである。

1. Picasso
2. Chiasma
3. Bansrikana
4. Another Dawn
5. Acupuntura
6. Mina's Second Theme
7. Music Land
8. Communication

Yosuke Yamashita - piano
Cecil McBee - bass (tracks 1,3-8)
Pheeroan akLaff - drums
Joe Lovano - tenor saxophone (tracks 1,5,6)
Tim Byrne - alto saxophone, baritone saxophone (tracks 2,5,8)

Recorded on May 31 and June 1, 1994 at Clinton Recording Studios, NYC.