Bob Dylan / Bob Dylan

ディランの最初のスタジオ録音アルバム。ディランの作品はTalkin' New Yorkと Song To Woodyの2曲のみ。それでも、プロデューサーのJohn Hammond(ジョン・ハモンド)がアルバム化を決めたのは、ディランの将来性を期待したからなのだろう。本作はビジネス的には失敗。まぁ、ファーストアルバムから飛ぶように売れるなんて普通はあり得ないのだ。

それでも、ディランが歌うHouse Of The Risin' Sun(朝日のあたる家)は圧巻。この曲をタイトルにしていれば、売れ行きが伸びただろう。そして、1964年のアニマルズによるヒットも違った形になったかもしれない。ところで、ジャケットの写真は明らかに逆版。ハモンドはリリース前に気付いたはずだが、話題の一つになるとゴーサインを出したと思われる。

1. You're No Good
2. Talkin' New York
3. In My Time Of Dyin'
4. Man Of Constant Sorrow
5. Fixin' To Die
6. Pretty Peggy-O
7. Highway 51 Blues
8. Gospel Plow
9. Baby, Let Me Follow You Down
10. House Of The Risin' Sun
11. Freight Train Blues
12. Song To Woody
13. See That My Grave Is Kept Clean

Bob Dylan - guitar, harmonica, vocals

Recorded on November 20 & 22, 1961 at Columbia Recording Studio, NYC.

Bob Dylan / Carnegie Chapter Hall 1961

現時点で、ディランの最も初期となる音源。カーネギー・チャプター・ホールでのソロ名義でのライブ演奏。このライブから2週間後の1961年11月20 & 22日、アルバムBob Dylanを録音。以下はアルバム解説から抜粋・編集。

1961年1月、19歳でNYグリニッジ・ビレッジに出てきた若きボブ・ディラン。コロンビアとの契約を果たした僅か9日後に当時親交のあったフォークロア・センターの所長イジー・ヤングの後援のもと、11月4日、マンハッタンのカーネギーホール内にある小さなリハーサル・ルーム(チャプター・ホール)で行ったソロ名義でのファーストライブからの音源。4曲のオリジナル曲、トラディショナルのアレンジ2曲、ウッディ・ガスリーのカバー2曲、さらにフォークブルースのスタンダードを取り混ぜた全14曲。

1. Pretty Peggy-O
2. In The Pines
3. Gospel Plow
4. 1913 Massacre
5. Backwater Blues
6. A Long Time A-Growin'
7. Fixin' To Die
8. Talking Bear Mountain Picnic Massacre Blues
9. Man On The Street
10. Talking Merchant Marine
11. Black Cross
12. Freight Train Blues
13. Song To Woody
14. Talkin' New York

Bob Dylan - guitar, harmonica, vocals

Recorded on November 4, 1961 at Carnegie Chapter Hall, NYC.

Bob Dylan / World Gone Wrong

アルバムの邦題は『奇妙な世界に』。悪くない。前作Good As I Been To Youに続いて、ギターの弾き語りによるトラディショナル曲集。グラミー賞ベスト・トラディショナル・フォーク・アルバムを受賞している。対象アルバムがどれだけあったのかは知らないが、ジャケットを見ると、前作の「寝ぐせヘアスタイルと無精ひげのディラン」に比べ、明らかなメッセージを感じる。緑を基調としたジャケット。ディランの顔の右半分が黒で潰れていて、その上には悲痛な顔の絵画。さらには、ディラン自身による全曲の解説が、ジャケット内に記載されているのだ。

前作は1940年代の曲を中心に組み立てたが、本作はさらに遡って30年代が中心。この2作の録音の間に、デビュー30周年記念コンサートが1992年10月16日に開かれた。多数のミュージシャンが集まり、それぞれがディランの作品を披露。そこで、ディランは何かを感じたのだろう。「多くの仲間がオレの曲を歌ってくれたので、オレはトラディショナルの掘り起こしをさらに進めよう」と。

タイトル曲World Gone Wrongは、ギターとフィドルのグループMississippi Sheiks(ミシシッピ・シークス)によって1931年に録音された。「俺はもうだめだ、かつてのようにはならない、もうだめなんだ、世界が間違っているから」と繰り返す。5曲目のBlood In My Eyesも、シークスが同年に録音。この曲のディランの解説に、「日常の型にはまった仕事に対する反抗が彼らの強いテーマのようだ。彼らのすべての歌は非常に生々しい。シークスの歌は衰えることなく、現代(新たな暗黒の時代)にも通じる」。邦題は『奇妙な世界に』ではなく、『暗黒の時代へ』が適切だろう。

1. World Gone Wrong
2. Love Henry
3. Ragged & Dirty
4. Blood In My Eyes
5. Broke Down Engine
6. Delia
7. Stack A Lee
8. Two Soldiers
9. Jack-A-Roe
10. Lone Pilgrim

Bob Dylan - vocals, guitar, harmonica

Recorded in Middle 1993.