山下洋輔 / Double Rainbow [DVD]

「結成40周年記念!! 山下洋輔トリオ復活祭ライブ」。このライブを見逃してしまったことを今でも後悔している。一方で、完全収録120分のDVDを出してくれたことは感謝。演奏はもちろんのこと、カメラワークも素晴らしい。最後は、参加者全員で洋輔の作品Guganを演奏。圧巻。

司会を務めた相倉久人氏が、ライナーノーツの最後にこう書いている。『2部の途中で僅かに雨が降り、そのあとで二筋の虹が出た。真っ先にみつけたスタッフが騒ぎ出したが、客席からは後ろ斜めになって見えにくい。出て行って「虹が出ています」というとみんなは一斉に振り向いた』。このことがDVDのタイトルになった。

1. Memories / Strawberry Tune
2. Pi
3. For M / Gentle November
4. Banslikana
5. Ghosts
6. Clay
7. Chiasma
8. Mokujiki
9. Mina's Second Theme
10. Gugan

山下洋輔 - piano
中村誠一 - soprano saxophone, tenor saxophone
坂田明 - alto saxophone
林栄一 - alto saxophone
菊地成孔 - tenor saxophone
森山威男 - drums
小山彰太 - drums
国仲勝男 - 6-strings

2009年7月19日 日比谷野外音楽堂

第4期トリオ(山下、小山、林)

第4期トリオ+1(山下、小山、菊池、国仲) ※菊池は故・武田和命の代役

第3期トリオ(山下、小山、坂田)

第2期トリオ(山下、森山、坂田)

アルバムタイトルとなった虹が立った。

第1期トリオ(山下、森山、中村)

参加者全員でGuganを演奏。

山下洋輔 / Resonant Memories

2000年5月録音のピアノソロ。所有する山下洋輔のソロアルバムを調べると、85年8月にスタンダード曲中心のSentimentalを録音している。従って、約15年振りのソロということになる。では、なぜにソロ、そしてスタンダード集に再挑戦したのか。さらにはボレロの再演。ジャケット内には洋輔自身による解説が掲載されている。

要約して抜粋すると、「本来ならばビッグバンドをやる企画があったが、準備不足のため断念。そこで、久々のソロに切り替えた。曲目は再演が多いが、初演の曲もある。If You Could See Me Nowは、チャーリー・ミンガスのベースの音で、ずっと耳に鳴り響いていた。昔、ミュンヘンのライブハウスで生で聴いた覚えがある。I'm A Fool To Want Youは旧知のプロデューサーからのリクエスト」。自分もミンガスのIf You Could See Me Nowを聴いてみたいと思ったが、ミンガスのディスコグラフィーには載っていなかった。2つのボレロを聴き比べてみた。どちらも7分台の演奏で、85年バージョンは躍動感、2000年バージョンは余剰感といった雰囲気。本作のタイトルResonant Memoriesは、洋輔が「余韻」を意味して付けたと書いている。つまり、15年を経て、どんなボレロを演じられるかを洋輔は試したかったのだ。

1. 'Round Midnight
2. If You Could See Me Now
3. Greensleeves
4. You Are Valentine
5. Interlude #1
6. Mt. Senba
7. I Fall In Love Too Easily
8. A Night In Tunisia
9. Brightness
10. Interlude #2
11. I'm A Fool To Want You
12. Bolero

Yosuke Yamashita - piano

Recorded on May 16 & 17, 2000.

山下洋輔 / Wind Of The Age

山下洋輔が、自分のニューヨーク・トリオを日本に迎えてのレコーディング。そのせいか、ジャケット内に使われた複数の写真は、かつての日本の風景を切り取っている。ジャズのアルバムとしては、とても珍しいだろう。ただ、表紙はカラーバランスが悪かった感じだ。このトリオのゲストがラヴィ・コルトレーン。ジョン・コルトレーンの息子である。そして、ラストにMy Favorite Thingsを配置。コルトレーン親子への敬意を表したのだろう。

ならば、多くの曲を盛り込まず、My Favorite Thingsをせめて20分コースでやって欲しかった(本作では6分51秒)。メンバーそれぞれが、コルトレーン、マッコイ、ギャリソン、エルビンになりきり、90年代後半にジャズの新たな方向性を示せたはず。タイトルWind Of The Ageは「時代の風」ということだろうか。それこそ、3日間もスタジオにこもらず、吹き飛ばされるような一発勝負の熱い演奏を期待したかったのだが。

1. For David’s Sake
2. 10th Theme
3. J. G. Bird -Dedicated To Yasutaka Tsutsui-
4. Double Sides
5. Fuga De La Liberation
6. Brick Busters
7. My One And Only Love
8. My Favorite Things

Ravi Coltrane - tenor saxophone, soprano saxophone (except tracks 5,6)
Yosuke Yamashita - piano
Cecil McBee - bass
Pheeroan akLaff - drums

Recorded on August 13, 14 & 15, 1997 at Crescente Studios, Tokyo, Japan.