Wynton Kelly / Full View

タイトルFull Viewは、ここでは「ウィントン・ケリーのすべて」という意味合いだろう。プロデューサーはオリン・キープニュース。録音は1966年9月の3日間を要している。ケリーのディスコグラフィーには、本作のマトリクス番号が記載されていないので、何とも言えないが、数多くのテイクを繰り返したのではなく、様々な曲にトライしてケリーの持ち味を出せるようにキープニュースが選曲したような気がする。

だが、どうしても4曲目の「枯葉」に意識を注いでしまう。4分にも満たない演奏だが、非常に味わい深くケリーの特徴が良く出ている。キープニュースは、この「枯葉」だけが注目されないよう、LPのA面最後にひっそりと配置したに違いない。CDでは中締めの雰囲気。いずれにしても、ケリーのピアノをじっくりと味わえるアルバムであることは間違いない。問題はジャケット。ピアノの前に座り、視点が定まらないケリー。これではLost Viewなのである。

1. I Want A Little Girl
2. I Thought
3. What A Diff'rence A Day Made
4. Autumn Leaves
5. Dontcha Hear Me Callin' To Ya
6. On A Clear Day (You Can See Forever)
7. Scufflin'
8. Born To Be Blue
9. Walk On By

Wynton Kelly - piano
Ron McClure - bass
Jimmy Cobb - drums

Recorded on September 2, 27 & 30, 1966 in NYC.

Wynton Kelly / Smokin' At The Half Note

混乱するアルバム。タイトルからはハーフ・ノートでの全曲ライブ演奏を想像するが、それは全5曲中の最初の2曲だけ。残り3曲は、日を改めてスタジオで録音。では、残りのライブ演奏はどうなっているのかと調べたところ、続編アルバムVol.2を発見。ところが、全8曲中の最初の2曲はこのアルバムと同じ。かなり怪しい編集である。

それはさておき、フリージャズの嵐が吹き荒れていた1965年に、極めてブルージーなジャズを演じていたウィントン・ケリーとウェス・モンゴメリーの二人に拍手を送りたい(嵐を起こしたコルトレーンやコールマンも同様なのだが)。ここでのウェスは最高のパフォーマンス。自分を鼓舞してくれるメンバーと出会ったのだろう。録音当時、ケリー34歳、ウェス42歳。この録音から、ケリーは5年後、ウェスは3年後に他界している。

1. No Blues
2. If You Could See Me Now
3. Unit 7
4. Four On Six
5. What's New

Wes Montgomery - guitar
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums

Tracks 1 & 2
Recorded on June 24, 1965 at The Half Note Club, NYC.

Tracks 3, 4 & 5
Recorded on September 22, 1965 at Rudy Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, New Jersey.

Wynton Kelly / Wynton Kelly!

日本では「枯葉」のタイトルで親しまれてきたアルバム。だが、ジャケットには収録曲のとしてAutumn Leavesの小さい文字があるだけ。で、タイトルはというとビックリマークのついたWynton Kelly!なのである。新譜「ウィントン・ケリー!」では混乱するので日本人に馴染み深い「枯葉」としたのだろう。1曲目の「降っても晴れても」や8曲目の「風と共に去りぬ」でも問題なかったが、文字数が多すぎるということだろうか。

CDをずっと探していたが、2枚組しか市場には出ていなかった。2枚目は別テイクを集めたものなので自分には必要なかったものの、格安の2枚組中古CDを見つけて購入。すると、LPにはなかったマスターテイクの2曲Someday My Prince Will ComeとChar's Bluesが追加されていた。結果的には、2枚組を購入して正解。

ディスコグラフィーを詳しく調べると、不思議な点が浮かび上がってきた。1961年7月20日と21日の録音。20日は、ベースのポール・チェンバースを迎えて15テイクが録音されている。翌21日は、同じメンバーで9テイク。その後、ベースをサム・ジョーンズに変えて4テイク。いや、もしかするとチェンバースが大幅に遅刻し、スタジオを借りる時間の関係から、ジョーンズが急に呼び出されて21日のセッションは始まったのかも知れない。いずれにしろ、2日間で28テイクも録ったのでビックリマークなのだ。

Disc 1 [master take]
1. Come Rain Or Come Shine
2. Make The Man Love Me
3. Autumn Leaves
4. Surrey With The Fringe On Top
5. Joe's Avenue
6. Sassy
7. Love, I've Found You
8. Gone With The Wind
9. Someday My Prince Will Come
10. Char's Blues

Disc 2 [alternate take]
1. Autumn Leaves [take 1]
2. Autumn Leaves [take 2]
3. Autumn Leaves [take 3]
4. Char's Blues [take 1]
5. Char's Blues [take 2]
6. Joe's Avenue [take 1]
7. Joe's Avenue [take 4]
8. Joe's Avenue [take 8]
9. Joe's Avenue [take 9]
10. Someday My Prince Will Come [take 6]
11. Surrey With The Fringe On Top [take 3]

Master take: Tracks 3 - 5, 7 - 9 & 10
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums
Recorded on July 20 (tracks 3,5,9) & 21 (tracks 4,6-8,10), 1961 at Bell Sound Studio A, NYC.

Master take: Tracks 1, 2 & 6
Wynton Kelly - piano
Sam Jones - bass
Jimmy Cobb - drums
Recorded on July 21, 1961 at Bell Sound Studio A, NYC.