Wynton Kelly / Kelly At Midnite

ここには名曲はないが、名盤である。なぜ名盤かと言うと、フィリー・ジョー・ジョーンズのドラムが唄っているから。この「唄っている」という感覚をドラムで表現するのは極めて難しい。単なるリズムではなく、単なるスイングでもない。ある種の語りかけてくる感覚。ピアノトリオのアルバムであるが、ドラムに神経を集中させて聴くと、ケリー、チェンバース、ジョーンズの3人は凄い演奏をしていることが分かる。

このアルバムが録音されたのは1960年4月。自分が所有するアルバムで、同年同月に録音されたアルバムを調べてみた。ちょうど10枚。当たり年、当たり月であった。チェンバースは、このアルバムを含めて3枚に登場。

1. Temperance
2. Weird Lullaby
3. On Stage
4. Skatin'
5. Pot Luck

Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on April 27, 1960 at Bell Sound Studios, NYC.

Wynton Kelly / Kelly Great

このアルバムは、賛否両論があるだろうな。メンバーを見れば文句なし。ただ、アルバムとしての全体構成が、どうもメリハリがない。一日で録り切って、「ハイ、ご苦労様でした」という感じ。つまり、このメンバーなら当たり前のことをやった、と思えてしまうのだ。冒険した気配がしない。

しかしである。全5曲中のMama "G"とSydneyの2曲はウェイン・ショーター作品であり、ショーターのディスコグラフィーを見ると、このアルバムが最初に出てくる。そして、3ヶ月後に初リーダーアルバムIntroducing Wayne Shorterを録音しているのだ。ウィントン・ケリー名義なのだが、ショーターのデビューアルバムとして聴くと、全く意味合いが違ってくる。ショーター・グレイト!

1. Wrinkles
2. Mama "G"
3. June Night
4. What Know
5. Sydney

Wayne Shorter - tenor saxophone
Lee Morgan - trumpet
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on August 12, 1959 at Fine Sound Studios, NYC.

Wynton Kelly / Kelly Blue

1959年2月、ウィントン・ケリーのピアノトリオにフロント3管を加えて録音。そして、翌3月にはピアノトリオだけの録音。この録音データから、企画されたアルバムだと言える。セッションの日程が逆であれば、フロント陣はアルバムの穴埋めに呼び出されたことになるから。

ただし、本作の真髄はピアノトリオにあって、極めつきは2曲目のSoftly, As In A Morning Sunriseだろう。こんなブルーな「朝日のようにさわやかに」なんて、滅多に出会えない。ジャケットのケリーが、「いやぁ、上出来だったぜ!」と言っている感じ。タイトルと演奏内容、そしてジャケットが一体となった名盤である。

1. Kelly Blue
2. Softly, As In A Morning Sunrise
3. On Green Dolphin Street
4. Willow Weep For Me
5. Keep It Moving [take 4]
6. Old Clothes
7. Do Nothin' Till You Hear From Me
8. Keep It Moving [take 3]

Tracks 1, 5 & 8
Benny Golson - tenor saxophone
Nat Adderley - cornet
Bobby Jaspar - flute
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums
Recorded on February 19, 1959 in NYC.

Tracks 2, 3, 4, 6 & 7
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums
Recorded on March 10, 1959 in NYC.