World Saxophone Quartet / Moving Right Along

WSQ(ワールド・サキソフォン・カルテット)の1993年10月録音アルバム。CD帯から。「WSQ通算11枚目のアルバム! ハミエット・ブルイエット、デヴィッド・マレイ、オリヴァー・レイク、エリック・パーソンという鉄壁の4人に加え、ゲストにフレディ・ハバードの懐刀ジェイムズ・スポルティングが加わった最強のアルバム!」。

鉄壁や最強という言葉と2度もビックリマークが付いている。しかし、このアルバムのポイントはAmazing Graceとコルトレーン作Giant Stepsを収録したこと。それまで、WSQは自分達の作品をサックスだけで表現してきた。本作では、古典的な曲を組入れることに挑戦したアルバムであることが重要。その新鮮さが現れているのだが、中途半端に終わってしまった感じ。徹底的にスタンダード曲に拘るとか、ゴスペル曲だけで貫き通していれば、WSQのポテンシャルは非常に上がったのではないかと思う。

1. Antithesis
2. Baba 2
3. N.T.
4. Astral Travels
5. Land Of Mystery
6. Movin' On
7. Amazing Grace Part I
8. Giant Steps
9. Urban
10. Sharrod
11. M.I.L.D.
12. Lightning And Thunder
13. Amazing Grace Part II

David Murray - tenor saxophone, bass clarinet
Oliver Lake - alto saxophone, soprano saxophone
Eric Person - alto saxophone, soprano saxophone
Hamiet Bluiett - baritone saxophone, contralto clarinet
James Spaulding - alto saxophone (tracks 11,12)

Recorded on October 18 & 19, 1993 at Sear Sound, New York.

World Saxophone Quartet / Live In Zurich

ライナーノーツはLeonard Feather(レナード・フェザー)が担当。CDには原文、LPにはその翻訳文が載っている(訳者は不明)。その中で、フェザーはジュリアス・ヘンフィルのコメントを引き合いに出している。「われわれはもう互いにかなり良く知り合っているので、リスナーにとってはどこで譜面に書かれたパッセージが終わり、どこからアドリブが始まるのか言い当てるは難しくなっている。どんな演奏会においても、われわれが演奏するものの60%から70%は即興といっていいと思う」。

これはかなり驚異である。ドラムもベースもない管楽器4本だけの演奏で、アドリブを中心に展開していくには、ヘンフィルが言うようにメンバー間の関係が強固でないと成り立たないだろう。YouTubeで彼らのライブステージを見ることができた。4人のそれぞれの前に譜面が置かれているが、譜面を見ているのは、演奏の最初と最後だけのようだった。

1. Hattie Wall
2. Funny Paper
3. Touchic
4. My First Winter
5. Bordertown
6. Steppin'
7. Stick
8. Hattie Wall

David Murray - tenor saxophone, bass clarinet
Julius Hemphill - alto saxophone, tenor saxophone, flute
Olivier Lake - alto saxophone, tenor saxophone, soprano saxophone, flute
Hamiet Bluiett - baritone saxophone, flute, clarinet

Recorded on November 6, 1981 in Zurich, Switzerland.

World Saxophone Quartet / Revue

ジャズとブルースの本質が詰まったアルバム。4人のサックス奏者のみで音楽空間を演じる。決してフリーではなく、決して楽譜による演奏ではない。だけど、過度な緊張感でもなく、それぞれが自己をコントロールしながらジャズという音楽を創り上げている。

彼らがグループの名前にWorldと銘打ったことは、1980年当時のジャズに対する方向性を示したかったのだろう。それから40年以上たった今、ジャズそのもののポテンシャルが残念ながら下がってしまった。それはそれとして、例えば5曲目I Heard Thatの見事なサックスのアンサンブル。混沌とした1980年代のジャズに、エネルギーを注ぎ込んだ彼らのアルバムである。

1. Revue
2. Affairs Of The Heart
3. Slide
4. Little Samba
5. I Heard That
6. Hymn For The Old Year
7. Ming
8. David's Tune
9. Quinn Chapel A.M.E. Church

David Murray - tenor saxophone, bass clarinet
Julius Hemphill - alto saxophone, tenor saxophone
Olivier Lake - alto saxophone, tenor saxophone, soprano saxophone
Hamiet Bluiett - baritone saxophone, alto clarinet

Recorded on October 14, 1980 at Georges Pompidou Centre, Paris.