Weather Report / Night Passage

ラスト曲のみが大阪でのライブで、それ以外はスタジオ録音である。手持ちの輸入盤CDにはそれ以上の詳細なデータが記載されていないが、Wikipediaによるとスタジオ録音中の2曲は、クインシー・ジョーンズなどの音楽業界人も含めた250人の観客を招いたそうである(250人収容のスタジオというのは信じられないのだが)。従って、アルバム全体としての統一感はないものの、演奏自体の完成度は非常に高い。

Weather Reportは、このアルバムで頂上に立ってしまった。何らかの形でもう解体しないと、前へ進むべき道はなくなったのだ。だが、ジョー・ザヴィヌルはWeather Reportにしがみつき、迷走が始まる。ウェイン・ショーターはそれに付き合ってしまった。一方のジャコ・パストリアスは、本作の録音直後に自己名義のアルバムWord Of Mouthの制作に取り掛かる。ジャコは意外と冷静に状況を見つめていた感じだ。

1. Night Passage
2. Dream Clock
3. Port Of Entry
4. Forlorn
5. Rockin' In Rhythm
6. Fast City
7. Three Views Of A Secret
8. Madagascar

Wayne Shorter - saxophones
Josef Zawinul - keyboards
Jaco Pastorius - bass
Peter Erskine - drums
Robert Thomas Jr. - hand drums

Tracks 1 - 7
Recorded on July 12 & 13, 1980 at The Complex, Los Angeles.

Track 8
Recorded on June 29, 1980 at Festival Hall, Osaka, Japan.

Weather Report / 8:30

Weather Reportは1971年にジャズ界に現れた。グループと言うより、プロジェクトと称したい。何かの目標があって結成され、それを達成したら解散するような雰囲気を感じた。メンバーの入れ替えが激しく、それに伴ってリスナーの評価も揺れた。その過程の中で、このアルバムが録音された78年頃が絶頂期だったと思う。

『8:30』とライブの開演時間をタイトルにしたライブアルバム。単なるスタジオ・ミュージシャンの集まりでないことを立証しようとしたのだろう。しかし、2枚組CD全13曲中の4曲はスタジオ録音。どういう意図だったのか分からないが、全てをライブ演奏でまとめられなかったのは、Weather Reportのある種の脆弱性を示したような気がする。司令塔ジョー・ザヴィヌルは完璧さを求め過ぎ、そのことが時代に弾き飛ばされたのではないだろうか。

Disc 1
1. Black Market
2. Scarlet Woman
3. Teen Town
4. A Remark You Made
5. Slang
6. In A Silent Way

Disc 2
1. Birdland
2. Thanks For The Memory
3. Badia / Boogie Woogie Waltz Medley
4. 8:30
5. Brown Street
6. The Orphan
7. Sightseeing

Wayne Shorter - soprano saxophone, tenor saxophone
Josef Zawinul - Prophet-5, keyboards, ARP Quadra bass, Korg Vocoder
Jaco Pastorius - bass, drums (disc 2 tracks 4,5)
Peter Erskine - drums, percussion
Erich Zawinul - percussion (disc 2 track 5)
West Los Angeles Christian Academy Children's Choir - vocals (disc 2 track 6)

Disc 1, Disc 2 tracks 1, 2 & 3
Recorded in August - November 1978.

Disc 2 tracks 4, 5, 6 & 7
Recorded in January - June 1979.

Weather Report / Mr. Gone

前作Heavy Weatherで一つの頂点に達し、その約1年後に録音されたアルバム。新たな方向へ進もうとしていたのだろう。ゲストでトニー・ウィリアムスとスティーヴ・ガッドの2人のドラマーを迎えていることが、それを物語っている。しかし、ゲストによって新機軸が打ち出せるはずはなく、これと言った目新しさも見いだせず、逆に八方塞がりの状況を露呈してしまった感がある。

今だから言えるのだろうが、ウェザー・リポートはHeavy Weatherをリリースして解散すべきだった。なぜなら、ジョー・ザヴィヌルに新たなアイデアがあったとは思えないからだ。ウェイン・ショーターもお付き合いでやっている感じ。だが、次作のライブ中心のアルバム8:30で、見事なパフォーマンスを見せてくれた。本作Mr. Gone.などを出さずに、8:30でお開きにするのも良かったかも知れない。

1. The Pursuit Of The Woman With The Feathered Hat
2. River People
3. Young And Fine
4. The Elders
5. Mr. Gone
6. Punk Jazz
7. Pinocchio
8. And Then

Wayne Shorter - tenor saxophone, alto saxophone, soprano saxophone, voice (track 1)
Joe Zawinul - modified Rhodes 88 electric piano, acoustic piano, two ARP 2600 synthesizers, Oberheim polyphonic synthesizer, Sequential Circuits Prophet 5 synthesizer, Mu-Tron Bi-Phase and Mu-Tron Volume Wah effects, kalimba, thumbeki drums, sleigh bells, melodica, high hat, voice (track 1)
Jaco Pastorius - bass, drums (tracks 1 & 2), timpani (track 2), voice (tracks 1, 2 & 6)
Peter Erskine - drums (tracks 1 & 7), high hat (track 3), voice (track 1)

Tony Williams - drums (tracks 5 & 6)
Steve Gadd - drums (tracks 3 & 8)

Manolo Badrena - voice solo (track 1)
Jon Lucien - voice (track 1)
Deniece Williams - voice (track 8)
Maurice White - vocal (track 8)

Recorded in May 1978 at Devonshire Sound Studios, North Hollywood, CA.