Wayne Shorter / Juju

このアルバムを論じるときは、1960年代前半から後半に掛けてのジャズの流れを意識しなければならない。本アルバムは1964年8月に、そして同年12月にはコルトレーンのA Love Supremeが録音されている。どちらのアルバムにも参加したのは、マッコイ・タイナーとエルビン・ジョーンズ。二つのアルバムに優劣をつける必要はないが、それから60年近く経ってしまった今、これらのアルバムからの影響力の違いは明らかである。

つまり、ウェイン・ショーターは自作の曲を積み上げて作ったが、コルトレーンはコンセプトを決めて曲を作り上げた違いなのだろう。ショーターにJuju(魔力)というコンセプトがあったとは思えない。なぜなら、4曲目はMahjong(麻雀)なのである。まぁ、麻雀は人を惑わすゲームとも言えるのだが…。

1. Juju
2. Deluge
3. House Of Jade
4. Mahjong
5. Yes Or No
6. Twelve More Bars To Go
7. Juju [alternate take]
8. House Of Jade [alternate take]

Wayne Shorter - tenor saxophone
McCoy Tyner - piano
Reggie Workman - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on August 3, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Wayne Shorter / Night Dreamer

1964年はウェイン・ショーターにとっての転換期だった。4月24日と5月15日にジャズ・メッセンジャーズのアルバムIndestructibleの録音に参加。4月29日に本作、8月3日にアルバムJuju、12月24日にアルバムSpeak No Evilを録音。そして、マイルスグループのメンバーとして、9月25日にベルリンでのライブ録音に参加した。

マイルス・デイビス自叙伝②で、この頃のショーターに関してマイルスはこう語っている。「オレのバンドじゃ、アートの所よりフリーにやりたがったが、超前衛的なことはやろうしなかった。ウェインはずっと、様式なしに実験するんじゃなくて、様式内で実験してみるタイプだった。だから、オレの音楽の行方を見るには、彼こそ最適だと考えたんだ」。マイルスが本作を聴いていたかは分からないが、少なくともショーターの演奏に太鼓判を押したのはマイルスだった。

1. Night Dreamer
2. Oriental Folk Song
3. Virgo
4. Black Nile
5. Charcoal Blues
6. Armageddon

Wayne Shorter - tenor saxophone
Lee Morgan - trumpet
McCoy Tyner - piano
Reggie Workman - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on April 29, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Wayne Shorter / Wayning Moments

輸入盤CDはオリジナルLPの全別テイクを収録。前半8曲がオリジナル、後半8曲が別テイクという構成。各曲が4分前後の演奏なので、ボーナストラックを満載したCDに仕上げている。ウェイン・ショーターは、1961年10月にジャズ・メッセンジャーズでアルバムMosaicを録音。その1ヶ月後、自分名義のアルバムに臨んだということになる。一曲目の「黒いオルフェ」で、ショーターのサックスが炸裂。

しかし、メッセンジャーズからフレディ・ハバードを連れて来たと言うことは、フロント1管で押し切る自信がまだなかったからだ。コルトレーンは、ビレッジ・バンガードで時を同じくして4日間のライブを敢行。ショーターはシカゴでの録音だったが、コルトレーンのライブは知っていたに違いない。メッセンジャーズに在籍しながらも、コルトレーンの動向に注視し、自らの道を切り拓こうとするショーター28歳のアルバムである。

1. Black Orpheus
2. Devil's Island
3. Moon Of Manakoora
4. Dead-End
5. Wayning Moments
6. Powder Keg
7. All Or Nothing At All
8. Callaway Went That-A-Way
9. Black Orpheus [alternate take]
10. Devil's Island [alternate take]
11. Moon Of Manakoora [alternate take]
12. Dead-End [alternate take]
13. Wayning Moments [alternate take]
14. Powder Keg [alternate take]
15. All Or Nothing At All [alternate take]
16. Callaway Went That-A-Way [alternate take]

Wayne Shorter - tenor saxophone
Freddie Hubbard - trumpet
Eddie Higgins - piano
Jymie Merritt - bass
Marshall Thompson - drums

Recorded on November 2 & 6, 1961 at Universal Recording, Chicago, IL.