Wayne Shorter / Super Nova

ウェイン・ショーターは、1969年8月19日から21日録音のマイルスのアルバムBitches Brewに参加して、マイルスグループから抜ける。その8日後に、このSuper Novaの録音に取り掛かった。つまり、マイルスとの決別を自身に投げつけた入魂のアルバムなのである。ジョン・マクラフリン、チック・コリア、ジャック・ディジョネットが、どちらのアルバムにも参加していることが興味深い。

ただし、コリアは、何故か本作ではドラムとヴァイブ。想像でしかないが、Bitches Brewのセッションで本作のことを聞きつけ、勝手にスタジオにやってきたのではないか。ショーターにはピアノを入れる構想はなかったので、ディジョネットの邪魔にならないように太鼓でも叩いてろよ、コリアに言ったのだろう。一方、ショーターはマイルスの呪縛から簡単には抜けられず、その後も数回のセッションに参加。70年3月、マイルスが初めてロックの殿堂「フィルモア・イースト」に出演したライブにやる気なく(?)参加し、ようやく決着を付ける。

1. Supernova
2. Swee-Pea
3. Dindi
4. Water Babies
5. Capricorn
6. More Than Human

Wayne Shorter - soprano saxophone
John McLaughlin - acoustic and electric guitar (tracks 1,2,4,5)
Sonny Sharrock - electric guitar
Walter Booker - acoustic guitar (track 3)
Miroslav Vitous - bass
Chick Corea - drums, vibraphone
Jack DeJohnette - drums, kalimba
Airto Moreira - percussion
Maria Booker - vocals (track3)

Recorded on August 29 and September 2, 1969 at A&R Studios, NYC.

Wayne Shorter / Adam's Apple

ウェイン・ショーターが参加したマイルスのスタジオ録音アルバムE.S.P.(1965年1月)とMiles Smiles(66年10月)の間に位置する66年2月に録音したアルバム。ショーターとしては、マイルスの影響を受けながら、個性を発揮しようと臨んだに違いない。2曲目を除いてショーターの作品である。ハービー・ハンコックを参加させたことが正解だったかは、何とも言えない。やはり、マイルスグループと比較して聴いてしまうからだ。より強く個性を出すために、違うタイプのピアニストでも良かった気がする。

注目したいのは4曲目のFootprintsで、この曲はMiles Smilesにも収録された。つまり、マイルスが気に入ったという事だ。そして、2つのFootprintsを比較すると、ハンコックの音数(おとかず)が大きく変化している。本作では、ほぼ切れ目なくバッキングを繰り返すが、Miles Smilesでは最小限の音数になっている。マイルスから「ハービー、弾き過ぎるなよ」と釘を刺されたに違いない。

1. Adam's Apple
2. 502 Blues (Drinkin' And Drivin')
3. El Gaucho
4. Footprints
5. Teru
6. Chief Crazy Horse

Wayne Shorter - tenor saxophone
Herbie Hancock - piano
Reggie Workman - bass
Joe Chambers - drums

Recorded on February 3 (track 1) & 24 (tracks 2-6), 1966 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Wayne Shorter / Speak No Evil

CDのライナーノーツで岡崎正通氏が、ショーター自身による解説を紹介している。「いまの僕は、僕自身の外にあるものから刺激を受けている。以前は自分自身のことばかりにこだわっていた。たとえば自分のルーツだとかね。でもこれからは小さな殻に閉じこもるのではなく、宇宙に関わったりして、自分を広げてゆこうと思っているんだ」。本作の録音は1964年12月。この年の秋に、ショーターはマイルスグループの一員としてヨーロッパツアーに参加している。そこで、何かを掴み取ったのだろう。

ドラムがトニー・ウィリアムスではなく、エルビン・ジョーンズであることが興味深い。トニーでは、マイルス色が出てしまうとショーターが判断したのか。それとも、プロデューサーのアルフレッド・ライオンの提案だったのか。ちなみに、ジャケットの女性はショーターの最初のワイフであるNakagami Terukoで、その上部にあるキスマークが印象深い。

1. Witch Hunt
2. Fee-Fi-Fo-Fum
3. Dance Cadaverous
4. Speak No Evil
5. Infant Eyes
6. Wild Flower
7. Dance Cadaverous [alternate take]

Wayne Shorter - tenor saxophone
Freddie Hubbard - trumpet
Herbie Hancock - piano
Ron Carter - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on December 24, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.