Wynton Marsalis / Live At Blues Alley

ウイントン・マルサリスは未だにファンになれないし、この先もだめだろう。トランペットがうまいのは分かっている。フォー・ビート回帰の立役者だったということも評価したい。だけど、ジャズの巨人と言われてきたミュージシャンは、ジャズ界がどうなろうと気にはしていなかったはずだ。自分が目指す音楽をやっていたに過ぎない。つまり、「回帰」などという考えは全くなかった。パーカー、コルトレーン、マイルス、ミンガス、モンク、パウエル。誰一人、ジャズに対して過去の遺産みたいな考えはなかった。

だが、気になるアルバムは聴いておかないと、まともに批判することもできない。そう考え、2枚組の廉価盤を見つけて5年前に購入。確かにうまいけど、クリフォード・ブラウンを初めて聴いたときの興奮はない。自分の耳が肥えてしまったのか、ある種の先入観なのか。それより、マーカス・ロバーツのピアノが気になった。モンク的アプローチを彼なりの解釈で演じている印象。

Disc 1
1. Knozz-Moe-King
2. Just Friends
3. Knozz-Moe-King (Interlude)
4. Juan
5. Cherokee
6. Delfeayo's Dilemma
7. Chambers Of Tain
8. Juan (E. Mustaad)

Disc 2
1. Au Privave
2. Knozz-Moe-King (Interlude)
3. Do You Know What It Means To Miss New Orleans?
4. Juan (Skip Mustaad)
5. Autumn Leaves
6. Knozz-Moe-King (Interlude)
7. Skain's Domain
8. Much Later

Wynton Marsalis - trumpet
Marcus Roberts - piano
Robert Hurst - bass
Jeff "Tain" Watts - drums

Recorded on December 19 & 20, 1986 at Blues Alley in Washington, D.C..

Wynton Kelly / Full View

タイトルFull Viewは、ここでは「ウィントン・ケリーのすべて」という意味合いだろう。プロデューサーはオリン・キープニュース。録音は1966年9月の3日間を要している。ケリーのディスコグラフィーには、本作のマトリクス番号が記載されていないので、何とも言えないが、数多くのテイクを繰り返したのではなく、様々な曲にトライしてケリーの持ち味を出せるようにキープニュースが選曲したような気がする。

だが、どうしても4曲目の「枯葉」に意識を注いでしまう。4分にも満たない演奏だが、非常に味わい深くケリーの特徴が良く出ている。キープニュースは、この「枯葉」だけが注目されないよう、LPのA面最後にひっそりと配置したに違いない。CDでは中締めの雰囲気。いずれにしても、ケリーのピアノをじっくりと味わえるアルバムであることは間違いない。問題はジャケット。ピアノの前に座り、視点が定まらないケリー。これではLost Viewなのである。

1. I Want A Little Girl
2. I Thought
3. What A Diff'rence A Day Made
4. Autumn Leaves
5. Dontcha Hear Me Callin' To Ya
6. On A Clear Day (You Can See Forever)
7. Scufflin'
8. Born To Be Blue
9. Walk On By

Wynton Kelly - piano
Ron McClure - bass
Jimmy Cobb - drums

Recorded on September 2, 27 & 30, 1966 in NYC.

Wynton Kelly / Smokin' At The Half Note

混乱するアルバム。タイトルからはハーフ・ノートでの全曲ライブ演奏を想像するが、それは全5曲中の最初の2曲だけ。残り3曲は、日を改めてスタジオで録音。では、残りのライブ演奏はどうなっているのかと調べたところ、続編アルバムVol.2を発見。ところが、全8曲中の最初の2曲はこのアルバムと同じ。かなり怪しい編集である。

それはさておき、フリージャズの嵐が吹き荒れていた1965年に、極めてブルージーなジャズを演じていたウィントン・ケリーとウェス・モンゴメリーの二人に拍手を送りたい(嵐を起こしたコルトレーンやコールマンも同様なのだが)。ここでのウェスは最高のパフォーマンス。自分を鼓舞してくれるメンバーと出会ったのだろう。録音当時、ケリー34歳、ウェス42歳。この録音から、ケリーは5年後、ウェスは3年後に他界している。

1. No Blues
2. If You Could See Me Now
3. Unit 7
4. Four On Six
5. What's New

Wes Montgomery - guitar
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Jimmy Cobb - drums

Tracks 1 & 2
Recorded on June 24, 1965 at The Half Note Club, NYC.

Tracks 3, 4 & 5
Recorded on September 22, 1965 at Rudy Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, New Jersey.