渡辺貞夫 / Live In Nemuro 1977

2016年5月リリース。最近、本作を知り迷わず購入。根室と言えば、日野元彦のアルバム『流氷』。そして、2010年7月に訪問したジャズ喫茶『サテンドール』。根室でのライブならば悪いはずがないというのが、自分の中での印象。では、なぜに77年のライブから39年間もお蔵入りしていたのか。

録音を担当した大川正義氏がライナーノーツで語っている。「〈前略〉当時、私は光栄にもこのライブを記録用として収録させていただく機会をいただきました。〈中略〉この幻の音源をつい最近、貞夫さんに聴いていただく機会があり、今回CD化に漕ぎつけることができました。そしてなぜ? 39年も前の音源に応えてくださったのでしょうか… きっと、それは人々の心の琴線に触れる魂を持った演奏が色褪せることなく記録されていたからだと思っています。〈後略〉」。記録用音源が蘇ったわけである。

1. Massai Talk
2. Hunting World
3. Chelsea Bridge
4. On Green Dolphin Street
5. Bossa Na Praia
6. Rhythm-A-Ning
7. My Dear Life

渡辺貞夫 - alto saxophone, sopranino saxophone, percussion
福村博 - trombone
本田竹曠 - piano, keyboards
岡田勉 - bass
守新治 - drums

Recorded on October 8, 1977 at Nemuro Kominkan.

渡辺貞夫 / Sadao Watanabe Recital

何度となくターンテーブルに乗せて来たアルバム。すり切れるほど聴いた、なんて言葉をかつてはよく耳にしたが、レコード針だってすり減っていく。そのすり減った分を自分の肥しにする。このアルバムは、そんな聴き方をしてきた。40年以上前のこと。学生時代のジャズ研のセッションで、My Dear Lifeに何度か取り組んだことを覚えている。シンプル過ぎて難しかった。

日本のジャズの中で最高ランクのアルバムであることは間違いない。このアルバムが、日本のジャズの変曲点になったとは思えないものの、聴いた人にとっては変曲点になったはずだ。つまり、このアルバムを素通りしては、日本のジャズは語れないと思っている。

1. Pastoral
2. Burung Burung
3. Hitting Home
4. Matahari Terbenam
5. Hiro - Listen
6. Old Photograph
7. Wana Tanzania
8. Maraica
9. Theme from "My Dear Life"

渡辺貞夫 - alto saxophone, flute, sopranino
峰厚介 - tenor saxophone, soprano saxophone
福村博 - trombone
渡辺香津美 - guitar
本田竹曠 - piano, electric piano
岡田勉 - bass
岡沢章 - electric bass
守新治 - drums
富樫雅彦 - percussion

Recorded on October 19, 1976 at Yubin-Chokin Hall, Tokyo.

渡辺貞夫 / I'm Old Fashioned

ナベサダはすでに88歳。このアルバムを録音した時は43歳だった。1976年の発売当時、買い損ねたアルバムである。当時は、どちらかと言うとフリー系のジャズに傾いていて、日本人ならば山下洋輔や富樫雅彦を追いかけていた。その頃、ナベサダは凄いけど斬新さがない、なんて決め付けていた感じが自分にある。ちょっと生意気だったなぁ。今は、素直に凄い!と言ってしまおう。

The Great Jazz TrioのアルバムLove For Saleの録音前日、ナベサダはハンク・ジョーンズ、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスをバックに本作を録音。しかし、Love For Saleでは、ベースがバスター・ウィリアムスに替わっている。その理由は不明。そして、最終曲One For Cはナベサダの作品でありながら、ピアノソロで仕上がっている。せめて、ナベサダのフルートを絡ませて欲しかった。

1. Confirmation
2. Gary
3. 3:10 Blues
4. Episode
5. I Concentrate On You
6. Chelsea Bridge
7. I'm Old Fashioned
8. One For C

渡辺貞夫 - alto saxophone, flute (except track 8)
Hank Jones - piano
Ron Carter - bass (except track 8)
Tony Williams - drums (except track 8)

Recorded on May 21, 1976 at Vanguard Studios NYC.