Tommy Flanagan / Eclypso

トミー・フラナガン、ジョージ・ムラーツ、エルビン・ジョーンズの3人の特徴をうまく引き出し、何度も聴きたくなる完成度の高いアルバム。全7曲43分、十分に楽しめる。フラナガンの代表作であり名盤のOverseasが録音されたのは、このアルバムから遡ること20年の1957年8月15日。ドラムは同じエルビンで、ベースはウィルバー・リトルだった。Overseasに収録されたRelaxin' At CamarilloとEclypsoの2曲が20年ぶりに再演。Eclypsoはフラナガンの作品。ジャケット裏には、そのスコアが使われた。

学生の頃、2曲目Denzil's Bestのベースによるメロディーをコピーしようとした。その頃は、LPをカセットテープに録音し、カセットをガチャガチャと動かして何度も再生した記憶がある。ほんの少しであるが、指運びを左手が記憶している。4曲目Relaxin' At Camarilloの3分42秒、ドラムソロに分け入ってフラナガンが曲の頭を演奏し、すぐにやめる。明らかに入り方を間違った。しかし、ジャズには間違いはないのだ。フラナガンは、そうしたかっただけ。完全なるミスであれば、再録するはず。

1. Oleo
2. Denzil's Best
3. A Blue Time
4. Relaxin' At Camarillo
5. Cup Bearers
6. Eclypso
7. Confirmation

Tommy Flanagan - piano
George Mraz - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on February 4, 1977 at Sound Ideas, NYC.

Tommy Flanagan / Positive Intensity

邦題は『白熱』。何というか、もう少し考えてもらいものだ。ライブ演奏ならば、許してもいいけど。まぁ、英文タイトルPositive Intensityも意味不明ではあるが。テオ・マセロのプロデュースによるもので、それなりのコンセプトで製作されたアルバムだろう。ロイ・ヘインズのドラムが前面に迫ってきて、ロン・カーターのベースがブンブンと唸る。フラナガンは、それらを冷静に受け止めている感じ。

フラナガンのディスコグラフィーによると、アルバムTrinityとして1980年にアメリカで発売されたようだ。レーベルはInner City。ジャケットも一新された模様。そんなこともあって、何となくたらい回しにされた感じのアルバム。全体にバランスの良いピアノトリオなのだが、白熱電球ほどには熱くならない。

1. 52nd Street Theme
2. Smooth As The Wind
3. Passion Flower
4. Muffin
5. Verdandi
6. Ruby, My Dear
7. Bess You Is My Woman Now
8. Hustle Bustle
9. Torment

Tommy Flanagan - piano
Ron Carter - bass
Roy Haynes - drums

Tracks 1, 7 & 8
Recorded on November 10, 1976 at CBS Studios, NYC.

Tracks 2 - 6
Recorded on October 4, 1976 at CBS Studios, NYC.

Track 9
Recorded on October 18, 1976 at CBS Studios, NYC.

Tommy Flanagan / The Tommy Flanagan Trio

プレスティッジ・レーベルの傍系レーベルMoods Villeからのリリース。資料によると、このレーベルからリリースされたのは計39枚。最初の9枚全ては1960年にリリースされ、ジャケットのフォーマットを統一。つまり、本アルバムは統一フォーマットの最後に位置する。そんなマーケティング戦略の中で、録音を行い、ジャケットが付与されてリリースされた訳である。

トミー・フラナガンは、全てを納得していたのだろうか。録音された60年は、ジャズにおいて次々と新しい流れが噴出していた。そういう流れと距離を置いて作られたアルバムと言える。このアルバムの演奏の価値が低いとは言わないが、時代背景を考えると、室内にこもってしまったジャズではないだろうか。

1. In The Blue Of The Evening
2. You Go To My Head
3. Velvet Moon
4. Come Sunday
5. Born To Be Blue
6. Jes' Fine
7. In A Sentimental Mood

Tommy Flanagan - piano
Tommy Potter - bass (except track 4)
Roy Haynes - drums (except track 4)

Recorded on May 18, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.