Thelonious Monk / Live At Carnegie Hall 1957

このアルバムがリリースされた2005年9月、レコード屋(死語か?)に飛び込んで購入した。1957年のライブ演奏が約50年後に発掘され、高音質で世に出た訳である。当時、モンクは41歳、そしてコルトレーンは31歳。モンクの曲にトレーンが果敢に挑戦した。コルトレーン研究家である藤岡靖洋氏が、ライナーノーツで次のように書いている。

「カーネギーホールの一夜。5バンドが交互に舞台に上がり、2回の公演(8時半からと深夜0時ごろ)が行われた。幸運な事にジョン・コルトレーンを擁するセロニアス・モンク・カルテットの演奏はほぼコンプリートに、しかもシャドウ・ウイルソンのドラム・キットの輪郭やアーメド・アブダル・マリクのベースの形さえ眼前に浮かぶほどの高音質で残されていたのだった。特にコルトレーンの演奏は、素晴らしいインプロヴァイザーとして、次代を担う革新性に溢れており、ソロの力強さイマジネーションの豊かさに於いても、全く申し分ない(2005年8月15日記)」。モンクのピアノについて述べていないのは、藤岡氏らしいのだ。なお、ブルーノートからのリリースであるが、CDは赤ラベル。

1. Monk's Mood
2. Evidence
3. Crepuscule With Nellie
4. Nutty
5. Epistrophy
6. Bye-Ya
7. Sweet And Lovely
8. Blue Monk
9. Epistrophy (incomplete)

John Coltrane - tenor saxophone
Thelonious Monk - piano
Ahmed Abdul-Malik - bass
Shadow Wilson - drums

Recorded on November 29, 1957 at Carnegie Hall, NYC by Voice of America.

Thelonious Monk / With John Coltrane

全6曲のうち、5曲でコルトレーンが演奏しているので、アルバムタイトルに嘘はないのだが、決してモンクとトレーンの一騎打ちという内容ではない。コルトレーンとピアノトリオのセッションが3曲、コルトレーンを含めたフロント4管のセッションが2曲、モンクのソロが1曲(アルバムThelonious Himselfに収録された曲Functionalの別テイク)という3つのセッションで構成されている。

つまり、モンクが、というかリバーサイドがコルトレーンの名前を使い売り上げを目論んでリリースしたアルバムである。モンクの曲を精一杯消化するコルトレーンの姿が浮かんでくるが、カルテットのセッションだけは、録音日が特定されていないという迷盤なのだ。

1. Ruby, My Dear
2. Trinkle, Tinkle
3. Off Minor
4. Nutty
5. Epistrophy
6. Functional

Tracks 1, 2 & 4
John Coltrane - tenor saxophone
Thelonious Monk - piano
Wilbur Ware - bass
Shadow Wilson - drums
Recorded in July, 1957 at Reeves Sound Studios, NYC.

Tracks 3 & 5
John Coltrane - tenor saxophone
Coleman Hawkins - tenor saxophone
Gigi Gryce - alto saxophone
Ray Copeland - trumpet
Thelonious Monk - piano
Wilbur Ware - bass
Art Blakey - drums
Recorded on June 25 & 26, 1957 at Reeves Sound Studios, NYC.

Track 6
Thelonious Monk - piano
Recorded on April 12, 1957 at Reeves Sound Studios, NYC.

Thelonious Monk / Monk's Music

モンクのアルバムの中で最もユニークなジャケット。完全なる脇見運転。しかも、左手には火のついた煙草。ジャケットにthelonious monk septet with coleman hawkins, art blakey, gigi gryceとあるが、コルトレーンの名前はない。まだまだオマケみたいな存在だったことが分かる。演奏の中身も、これまたユニーク。というか間違いが多発。普通なら録り直しのはずだが、モンクは腹が減っていたのか、眠かったのか、とっとと終わらせたかったに違いない。それを許してしまったプロデューサーのオリン・キープニュースも太っ腹である。

ということで、これがモンクの音楽Monk's Musicというタイトルにしたことが、このアルバムの価値を妙に高めている。アドリブが入るタイミングの間違いなんて取るに足りないこと。ジャズとはそういうものだ。間違いではなく、そうしたかっただけで一件落着。学生時代のジャズ研の頃。「ベースのリズム、走っていないか?」「走りたいから…」。それで終わりである。「研究の進捗、遅れていないか?」「じっくりやりたいから…」。そんなもんである。

1. Abide With Me
2. Well, You Needn't
3. Ruby, My Dear
4. Off Minor [take 5]
5. Off Minor [take 4]
6. Epistrophy
7. Crepuscule With Nellie [take 6]
8. Crepuscule With Nellie [take 4 & 5]

Coleman Hawkins - tenor saxophone
John Coltrane - tenor saxophone
Gigi Gryce - alto saxophone
Ray Copeland - trumpet
Thelonious Monk - piano
Wilbur Ware - bass
Art Blakey - drums

Recorded on June 26, 1957 at Reeves Sound Studios, NYC.