Thelonious Monk / Live At The Five Spot

モンクとコルトレーンの貴重なセッションが、1993年に発掘されたことは画期的だった。録音の悪さはどうでもいいこと。リリースされた時点では、このファイブ・スポットでのセッションは1957年夏と考えられていた。しかし、その後の研究で58年9月11日と判明。モンクとコルトレーンのディスコグラフィーもすでに訂正されている。60年以上も前の出来事なので、1年程度の誤差は・・・と思ってしまうが、50年代後半のジャズの世界で起こっていた大きなうねりとその正確な時間軸は極めて重要。

ましてや、モンクとコルトレーンによるライブ。しかも、フロントはコルトレーンのみ。コルトレーンはモンクから多大な影響を受け、自身を確立していく礎を築いた頃だ。残念なことは、安っぽいイラストをジャケットにしてしまったこと。

1. Trinkle, Tinkle
2. In Walked Bud
3. I Mean You
4. Epistrophy
5. Crepuscule With Nellie

John Coltrane - tenor saxophone
Thelonious Monk - piano
Ahmed Abdul-Malik - bass
Roy Haynes - drums

Recorded on September 11, 1958 at The Five Spot, NYC.

Thelonious Monk / Misterioso

ジャケットデザインが最高。Giorgio De Chirico(ジョルジョ・デ・キリコ)によるもの。よく見ると、キャンバスの下にある右から左へ伸びる謎の人影がある。ジャケットからライブアルバムとは想像しにくいが、ファイブ・スポットでの1958年7月と8月の2つのセッションによるもの。その当時の熱い雰囲気が伝わってくる。なお、8月のセッションは、アルバムThelonious In Actionに分散されている。

このアルバムは、紛れもなくモンクの作品であるが、ジョニー・グリフィンが主役と言ってもいい。6曲目のMisteriosoにおけるグリフィンのソロの後半、モンクはピアノを弾いていない。「あいつに任せたぜ!」ということだ。CD化で最終曲Bye-Ya / Epistrophyが追加になったが、この曲だけがアート・ブレイキーのドラム。モンクのディスコグラフィーにはその記載がないが、本作のWikipediaには表記されている。ブレイキーは、グリフィンがうまくやれるか心配でファイブ・スポットに立ち寄ったのだろうか。ジャケット以上に謎である。

1. Nutty
2. Blues Five Spot
3. Let's Cool One
4. In Walked Bud
5. Just A Gigolo
6. Misterioso
7. Evidence
8. 'Round Midnight
9. Bye-Ya / Epistrophy (Theme)

Johnny Griffin - tenor saxophone (except track 5)
Thelonious Monk - piano
Ahmed Abdul-Malik - bass (except track 5)
Roy Haynes - drums (except tracks 5,9)
Art Blakey - drums (track 9)

Track 8
Recorded on July 9, 1958 at The Five Spot Cafe, NYC.

Tracks 1 - 7 & 9
Recorded on August 7, 1958 at The Five Spot Cafe, NYC.

Thelonious Monk / Thelonious In Action

1958年8月7日のファイブ・スポットでのセッションは、アルバムMisteriosoと本作に分散されている。従って、本作はMisterioso Vol.2的な位置づけなのだが、全く違うタイトル、全く違うジャケット。どちらも58年中にリリースされている。当然ながら、レーベルはどちらも同じリバーサイド。だが、原盤の番号を調べると、本作はRLP 12-262、MisteriosoはRLP 12-279となっている。つまり、MisteriosoはThelonious In Action Vol.2と言っても良いのだ。

2枚のアルバムを続けて聴くと、演奏自体は甲乙つけがたいが、本作は全体としてやや平坦な感じ。Misteriosoは、モンクのピアノソロによるJust A Gigolo、そしてアート・ブレイキーの飛び入り参加もあってか、観客がかなり盛り上がりライブの雰囲気がよく伝わってくる。それ以上に、ジャケットが逸品。アルバムに於けるジャケットの重要性が、同日のライブ演奏を収録したこの2枚からよく分かる。

1. Light Blue
2. Coming On The Hudson
3. Rhythm-A-Ning
4. Epistrophy - Theme
5. Blue Monk
6. Evidence
7. Epistrophy - Theme
8. Unidentified Solo Piano
9. Blues Five Spot
10. In Walked Bud / Epistrophy - Theme

Johnny Griffin - tenor saxophone
Thelonious Monk - piano
Ahmed Abdul-Malik - bass
Roy Haynes - drums

Recorded on August 7, 1958 at The Five Spot Cafe, NYC.