Teddy Wilson / Mr. Wilson

『粒立ちの良い音色と格調高いフレーズ作りで不滅の支持を得る”スイング・ピアノの王者”、テディ・ウィルソン。アメリカの国民的クラリネット奏者ベニー・グッドマンとの共演や、天才歌手ビリー・ホリデイの才能をいち早く見出したことでもジャズの歴史に名を残している。この「ミスター・ウイルソン」は1941年、42年、50年に吹き込まれたナンバーから、ピアノソロやトリオ編成による12曲を厳選した作品。絶頂期にあった彼のピアノを満喫するには、またとないセレクションだ』。

原田和典氏による2013年11月付けライナーノーツの冒頭の部分を抜粋した。本アルバムを簡潔に紹介している。付け加えるとすれば、そのセレクションに見合った上品なジャケット。

1. (When Your Heart's On Fire) Smoke Gets In Your Eyes
2. Rosetta
3. These Foolish Things
4. Them There Eyes
5. I Can't Get Started
6. China Boy
7. I Can't Give You Anything But Love
8. I Surrender, Dear
9. I've Got The World On A String
10. After You've Gone
11. Bess, You Is My Woman
12. Between The Devil And The Deep Blue Sea

Tracks 1 & 2
Teddy Wilson - piano / Al Hall - bass / J.C. Heard - drums
Recorded on April 7, 1941 in Chicago.

Track 3
Teddy Wilson - piano
Recorded on January 21, 1942 in NYC.

Tracks 4, 5, 6 & 8
Teddy Wilson - piano / Al Hall - bass (track 4,6) / J.C. Heard - drums (tracks 4,6)
Recorded on April 11, 1941 in Chicago.

Track 9
Teddy Wilson - piano / Arvel Shaw - bass / J.C. Heard - drums
Recorded on June 29, 1950 in NYC.

Tracks 7, 10, 11 & 12
Teddy Wilson - piano / Al McKibbon - bass / Carl Fields - drums
Recorded on August 25, 1950 in NYC.

Ted Curson / Tears For Dolphy

エリック・ドルフィーは、1964年6月29日にベルリンで帰らぬ人となった。このアルバムは、それから約1ヶ月後にパリで録音された。プロデューサーはAlan Bates(アラン・ベイツ)なる人物。ジャケット裏のライナーノーツも書いている。ドルフィーの死の直後にアルバムを企画し、メンバーを集め、スタジオを確保したことになる。だが、演奏内容は雑なところが一切なく完成度が高い。ということは、別の企画がすでに進行中だったが、ドルフィーの死によって急きょ切り替えたのだろうか。そして、テッド・カーソンはTears For Dolphyを作曲。謎である。

1980年代中頃、日本フォノグラムから「フォンタナ・ニュー・ジャズ・シリーズ」がリリース。その一部が、長い年月を超え紙ジャケットとして最近復刻された。しかも、本作と同日録音のアルバムFlip Topに収録されていた3曲がボーナストラックとして追加。なお、女性アーティストMarte Röling(マルテ・レーリンク)は、このシリーズで16枚ほどのジャケットを担当。しかし、それ以外のアルバムは見つからなかった。あまりにも個性的で声が掛からなかったのか、彼女自身が断ったのか。これも謎である。

1. Kassim
2. East Sixth Street
3. 7/4 Funny Time
4. Tears For Dolphy
5. Quicksand
6. Reava's Waltz
7. Searchin' For The Blues
8. Desolation
9. Light Blue

Ted Curson - trumpet, pocket trumpet
Bill Barron - tenor saxophone, clarinet
Herb Bushler - bass
Dick Berk - drums

Recorded on August 1, 1964 at Studio Acousti, Paris, France.

Ted Curson / Plenty Of Horn

かつて「幻の名盤」だった。その理由は、OLD TOWNというマイナーなレーベルから発売されたため。ネットで調べても、このレーベルの情報は僅かしか得られない。で、今はFRESH SOUNDという海外レーベルから発売されている。このレーベルもマイナーなようだ。「古い街」から「新鮮な音」へ移っても、このアルバムは相変わらず「幻の名盤」なのである。レコードは10年以上前に手放したが、ようやくCDを最近手に入れた。

「幻の名盤」は必ずしも「名演奏」ではないものの、テッド・カーソンの初リーダーアルバムの録音に、これだけのメンバーを集めたOLD TOWNに感謝。参加メンバーを改めて眺めたところ、不思議なことに気付いた。セッションは1961年4月11日のみ。サックスのビル・バロンとエリック・ドルフィーが曲によって入れ替わるのはよしとして、3人のドラマーがこまめに交代。スタジオにあるドラムセットが一台だけとすれば、ドラマーによる微妙な調整に手間がかかったはずだ。ロイ・ヘインズのドラムで4曲を録音し、ヘインズとドルフィーは退散。次にダニー・リッチモンドで3曲、最後にピート・ラロッカで2曲という段取りだったのか。それより、そもそも3人のドラマーを集めた理由がわからない。「幻の迷盤」でもある。

1. Caravan
2. Nosruc Waltz
3. The Things We Did Last Summer
4. Dem's Blues
5. Ahma (See Ya)
6. Flatted Fifth
7. Bali-H'ai
8. Antibes
9. Mr. Teddy

Ted Curson - trumpet
Bill Barron - tenor saxophone (tracks 1,2,4-6,8,9)
Eric Dolphy - flute (tracks 3,7)
Kenny Drew - piano
Jimmy Garrison - bass
Roy Haynes - drums (tracks 1,3,6,7)
Dannie Richmond - drums (tracks 2,4,9)
Pete La Roca - drums (tracks 5,8)

Recorded on April 11, 1961 at Bell Sound Studios, NYC.