テテ・モントリューは生涯盲目。まさしく「音」だけを頼りにジャズを創造してきたピアニスト。ライブでは、特に目線で合図を送り、ソロの交代や、曲の終わりを決めるのだが、テテの場合は、どんなサインを他のメンバーに送ったのだろうか。このアルバムの演奏から、何かヒントを掴めるかと思ったが、数回聴いただけでは分からなかった。綿密なリハーサルをやっているとも思えない。
ライブの様子を捉えたと思われるジャケットの写真を見ると、テテはドラムとベースに背を向けてピアノを弾いている。そして、ドラマーとベーシストはテテに視線を向けているのだ。つまり、テテからの合図は、首の振り方にあったと想像する。決して緊張感が緩むようなことがないライブアルバム。ピアノ、ベース、ドラムのバランスの取れた録音も悪くない。ジャケットにも工夫あり。
1. Autumn In New York - Scrapple From The Apple
2. I'll Remember April
3. You've Changed
4. Lady Bird
Tete Montoliu - piano
Herbie Lewis - bass
Billy Higgins - drums
Recorded on September 28 & 29, 1979 at The Keystone Corner, San Francisco.