Tete Montoliu / Live At The Keystone Corner

テテ・モントリューは生涯盲目。まさしく「音」だけを頼りにジャズを創造してきたピアニスト。ライブでは、特に目線で合図を送り、ソロの交代や、曲の終わりを決めるのだが、テテの場合は、どんなサインを他のメンバーに送ったのだろうか。このアルバムの演奏から、何かヒントを掴めるかと思ったが、数回聴いただけでは分からなかった。綿密なリハーサルをやっているとも思えない。

ライブの様子を捉えたと思われるジャケットの写真を見ると、テテはドラムとベースに背を向けてピアノを弾いている。そして、ドラマーとベーシストはテテに視線を向けているのだ。つまり、テテからの合図は、首の振り方にあったと想像する。決して緊張感が緩むようなことがないライブアルバム。ピアノ、ベース、ドラムのバランスの取れた録音も悪くない。ジャケットにも工夫あり。

1. Autumn In New York - Scrapple From The Apple
2. I'll Remember April
3. You've Changed
4. Lady Bird

Tete Montoliu - piano
Herbie Lewis - bass
Billy Higgins - drums

Recorded on September 28 & 29, 1979 at The Keystone Corner, San Francisco.

Tete Montoliu / Secret Love

CD帯から。「盲目のピアノ巨人テテ・モントリューが、1977年にオランダでサム・ジョーンズ、ビリー・ヒギンスと繰り広げた白熱のライブアルバム。グルーヴィーなリズムセクションに乗ったテテがスタンダードを熱く熱く弾きまくる」。

確かにその通りで、熱いライブなのだが、テテのピアノに触発されてベースやドラムがピアノ絡み合う瞬間は、そう多くはない。それは、盲目のピアニストとして、彼らにサインを送れないハンディなのだろう。熱いけれど、爽快感が残らないのは仕方がないと思う。また、その要因の一つとして、ジョーンズのベースを捉えたアンプに厚みがなく貧弱だったこともある。

1. Secret Love
2. Airegin
3. Confirmation
4. Four
5. Stella By Starlight

Tete Montoliu - piano
Sam Jones - bass
Billy Higgins - drums

Recorded on March 31 & April 1, 1977 at DE BOMMEL Breda, Holland.

Tete Montoliu / Tete A Tete

ピアノトリオであるが、あくまでも主役はテテ・モントリュー。ベースとドラムは脇役。3人のインタープレイを期待すると肩透かしに合う。その理由の一つは、モントリューが盲目であるということだ。アドリブを回したり、4バースを展開するには身振り手振り、目線での合図が必要。リハーサルを繰り返せば、その必要もなくなるだろうが、曲をスコアに落としていくようなものでジャズの醍醐味が薄らいでいく。

極端に言えば、モントリューのピアノだけを聴けばいい。ペデルセンのベースがピアノに絡みついてきたり、ベースやドラムのソロ、4バースの部分もあるが、そこにはぞくぞくするダイナミズムはない。Tete A Teteはフランス語でFace To Faceの意味らしい。モントリューのピアノと向かい合えば、存在感が高まってくるアルバム。

1. What's New
2. We'll Be Together Again
3. Scandia Skies
4. Lush Life
5. Catalan Suite

Tete Montoliu - piano
Niels-Henning Orsted Pedersen - bass
Albert 'Tootie' Heath - drums

Recorded on February 15 & 16, 1976 in Copenhagen, Denmark.