富樫雅彦 / We Now Create

富樫雅彦はドラムとパーカッションを担当。富樫が30歳になる2ヵ月前の1970年1月、不慮の事故(実際には事件)で脊髄を損傷し下半身不随となる半年前の演奏である。自分が所有するアルバムの中で、富樫のドラムを聴く事が出来るのは、本アルバムと『銀巴里セッション』のみ。もし、その「事件」がなければ、「世界のジャズドラマー富樫」になったであろうことは容易に想像できる。

本アルバムは、スイングジャーナル主催「第3回(1969年度)ジャズ・ディスク大賞」の日本ジャズ賞を受賞。大賞の発表は、翌年のジャーナル2月号(1月末発売)。つまり、事件と受賞の時期は重なっていた。富樫自身がライナーノーツに次のように書いている。「四部構成をもった、このアルバムの中で、パートからパートに移る沈黙の部分にも空間としての音楽は存在しているし、更に云えば、このアルバム全体が、私達の永遠のリズムの中での一拍であると思っていただきたい」。富樫は事件後、3年半沈黙したのだ。ちなみに、ジャケットは富樫が描いたもの。

1. Variations On A Theme Of "Feed-Back"
2. Invitation To "Corn Pipe" Dance
3. Artistry In Percussions
4. Fantasy For Strings

高木元輝 - tenor saxophone, cornpipe
高柳昌行 - guitar
吉沢元治 - bass, cello
富樫雅彦 - drums, percussion

録音 1969年5月23日 / 東京スタジオセンター
発売 1969年9月25日

友部正人 / にんじん

友部正人の代表曲「一本道」を聴きたくて、手に入れたアルバム。「しんせい一箱分の一日を指でひねってゴミ箱の中/あゝ中央線よ空を飛んであの娘の胸に突き刺され」。この曲がシングルでリリースされたのは1972年4月。その頃は中野に住み、学生時代には中央線を使って通学していたので、「中央線よ空を飛んで・・・」のイメージは、いまでも自分の中に焼き付いている。

ジャケットが逸品。アルバムタイトルの『にんじん』という文字はなく、「おでん/酒百円/焼酒八十円/ビール百八十円」と隅っこにあるのみ。大瓶ビールの価格を調べてみた。1971年から73年までは140円。一杯飲み屋で180円というのは納得。粗利で40円。

1. ふーさん
2. ストライキ
3. 乾杯
4. 一本道
5. にんじん
6. トーキング自動車レースブルース
7. 長崎慕情
8. 西の空に陽が落ちて
9. 夢のカリフォルニア
10. 君が欲しい

発売 1973年1月

友部正人 / 大阪へやって来た

CD帯から。「フォーク界最高の詩人、友部正人の衝撃デビューアルバム。日本初のトーキング・ブルース・スタイルの〈大阪へやって来た〉が衝撃」。1972年のアルバム。リアルタイムでフォークを聴いていた時期であったが、このアルバムに出会うには時間差があった。次のアルバム『にんじん』で友部を知ったため。

2曲のみにバックが入っているが、基本的にはギターとハーモニカだけで友部はアルバム一枚を作り上げた。残念ながら、アルバム全体としては単調。CD帯にあるようなタイトル曲の「衝撃」は、瞬間的な感じだ。

1. 大阪へやって来た
2. 酔っぱらい
3. もしもし
4. まるで正直者のように
5. 真知子ちゃんに
6. 梅雨どきのブルース
7. まちは裸ですわりこんでいる
8. 公園のベンチで

発売 1972年1月15日