Thelonious Monk / Plays Duke Ellington

モンクのアルバムの中では、「非」個性的な一枚である。モンクがエリントンの曲を演奏しても、当然ながらモンクに変わりはないのだが、モンクらしさが霧の中に隠れてしまっている。自分自身とは葛藤せずに、まとめることに注力。しかし、それを望んだのはモンクではない。LPのライナーノーツでは、油井正一氏がこのアルバムの経緯を詳しく書いている。

当時、モンクが在籍していたプレスティッジにはマイルスやMJQがいて、モンクは不遇であった。ナット・ヘントフにリバーサイドへの移籍を勧められ移ったものの、オリン・キープニュースらの企画によって、大衆受けを狙ったエリントン作品集を演奏させられてしまった。ヘントフは、その結果にがっかりして失敗作と評価。その評価が尾を引き、やがては入手困難となって「幻の名盤」に。ジャケットはルソーの「ライオンの食事」。『モンク=ライオン』とすれば、モンクをうまく手なずけたという意味だろうか。

1. It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing)
2. Sophisticated Lady
3. I Got It Bad (And That Ain't Good)
4. Black And Tan Fantasy
5. Mood Indigo
6. I Let A Song Go Out Of My Heart
7. Solitude
8. Caravan

Thelonious Monk - piano
Oscar Pettiford - bass
Kenny Clarke - drums

Recorded on July 21 & 27, 1955 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Thelonious Monk / Thelonious Monk and Sonny Rollins

3つのセッションから5曲を集めたアルバム。ロリンズは2つのセッションで3曲に参加。タイトルはモンクとロリンズの共演なのだが、それよりラスト曲「13日の金曜日」をタイトルにすべきだった。1953年11月13日のセッションは、まさしく金曜日。アルバムThelonious Monk Quintetのブログにも書いたが、この日のセッションはトラブルが相次いだ。スタジオが閉まる前にどうにか録り終えたのがこの曲である。モンク作であるが、曲名はセッション時ではなくアルバム制作時に付けられたのではないだろうか。

そして、モンクはこの「13日の金曜日」をもう一度だけ録音している。アルバムThe Thelonious Monk Orchestra At Town Hallで、59年2月28日(土)のライブ演奏。モンクの味が十分に出ている曲ながら、これら2枚のアルバムにしか残っていない。なので、このアルバムThelonious Monk and Sonny Rollinsはロリンズを引き合いに出すより、タイトルを「13日の金曜日」にして、スリリングなセッションのイメージを出すべきだった。もちろん、ジャケットも手を抜かずに。

1. The Way You Look Tonight
2. I Want To Be Happy
3. Work
4. Nutty
5. Friday The 13th

Tracks 1 & 2
Thelonious Monk - piano
Sonny Rollins - tenor saxophone
Tommy Potter - bass
Art Taylor - drums
Recorded on October 25, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Tracks 3 & 4
Thelonious Monk - piano
Percy Heath - bass
Art Blakey - drums
Recorded on September 22, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Track 5
Thelonious Monk - piano
Sonny Rollins - tenor saxophone
Julius Watkins - French horn
Percy Heath - bass
Willie Jones - drums
Recorded on November 13, 1953 at WOR Studios, NYC.

Thelonious Monk / The Thelonious Monk Trio

このアルバムの内容は決して悪くない。むしろ、モンクの匂いがたっぷり漂うアルバム。ただし、2つの欠点がある。まずはジャケット。余りにもみすぼらしい。イラストの作者は不明。もう一つは、1952年10月と12月、そして1954年9月のセッションをカップリングしてしまったこと。いずれの内容も文句(モンク)はないのだが、2年を跨いだセッションは長過ぎる。つまり、アルバムを作るための録音ではなく、アルバムにするために音源を集めたということ。

さらに言えば、ベースとドラムが異なる3つのセッションを録音順に収録しておらず、シャッフルしてアルバムに収めてしまった。タイトルはThe Thelonious Monk Trioだが固定トリオではなく、2曲目のJust A Gigoloはピアノソロ。それでも、モンク節を十分に楽しめるアルバムなのだ。しかも、ラスト曲These Foolish Thingsでは、モンクの唸り声が鮮明に録音されている。

1. Blue Monk
2. Just A Gigolo
3. Bemsha Swing
4. Reflections
5. Little Rootie Tootie
6. Sweet And Lovely
7. Bye-Ya
8. Monk's Dream
9. Trinkle, Tinkle
10. These Foolish Things

Tracks 1 & 2
Thelonious Monk - piano
Percy Heath - bass (track 1)
Art Blakey - drums (track 1)
Recorded on September 22, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Tracks 3, 4, 9 & 10
Thelonious Monk - piano
Gerry Mapp - bass
Max Roach - drums
Recorded on December 18, 1952 in NYC.

Tracks 5 - 8
Thelonious Monk - piano
Gerry Mapp - bass
Art Blakey - drums
Recorded on October 15, 1952 in NYC.