モンクのアルバムの中では、「非」個性的な一枚である。モンクがエリントンの曲を演奏しても、当然ながらモンクに変わりはないのだが、モンクらしさが霧の中に隠れてしまっている。自分自身とは葛藤せずに、まとめることに注力。しかし、それを望んだのはモンクではない。LPのライナーノーツでは、油井正一氏がこのアルバムの経緯を詳しく書いている。
当時、モンクが在籍していたプレスティッジにはマイルスやMJQがいて、モンクは不遇であった。ナット・ヘントフにリバーサイドへの移籍を勧められ移ったものの、オリン・キープニュースらの企画によって、大衆受けを狙ったエリントン作品集を演奏させられてしまった。ヘントフは、その結果にがっかりして失敗作と評価。その評価が尾を引き、やがては入手困難となって「幻の名盤」に。ジャケットはルソーの「ライオンの食事」。『モンク=ライオン』とすれば、モンクをうまく手なずけたという意味だろうか。
1. It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing)
2. Sophisticated Lady
3. I Got It Bad (And That Ain't Good)
4. Black And Tan Fantasy
5. Mood Indigo
6. I Let A Song Go Out Of My Heart
7. Solitude
8. Caravan
Thelonious Monk - piano
Oscar Pettiford - bass
Kenny Clarke - drums
Recorded on July 21 & 27, 1955 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.