Sonny Rollins / No Problem

ロリンズとボビー・ハッチャーソンのアルバムでの共演は、この一枚のみ。ロリンズがプロデュースしたアルバムなので、ハッチャーソンを招いたのはロリンズ自身だろう。共同プロデューサーとしてルシール・ロリンズの名前があるので、奥さんが提案したのかもしれない。いずれにしても、ハッチャーソンのヴァイブを活かし切れていない感じだ。ヴァイブがその楽器の特性として本来持っている緊張感が出ていない。3曲目のJo Joはまぁいい感じかなと思ったら、ハッチャーソンの作品だった。

いや、ロリンズはヴァイブという楽器をホーンのように使いたかったのかも知れない。だとすれば、やはり失敗だったのだろう。共演が一度限りという事実がそれを証明している。それはハッチャーソンの問題ではない。このアルバム以降、ロリンズはヴァイブを使っていないのだ。それでもNo Problemとは、これ如何に。

1. No Problem
2. Here You Come Again
3. Jo Jo
4. Coconut Bread
5. Penny Saved
6. Illusions
7. Joyous Lake

Sonny Rollins - tenor saxophone
Bobby Broom - guitar, electric guitar
Bobby Hutcherson - vibraphone
Bob Cranshaw - electric bass
Tony Williams - drums

Recorded on December 9 - 15, 1981 at Fantasy Studios, Berkeley, CA.

Sonny Rollins / Love At First Sight

内藤遊人氏による解説から抜粋。『スタンリー・クラーク、ジョージ・デュークというふたりの共演者に興味が湧く。ロリンズに国際電話して聞いたところでは、「スタンリー・クラークから電話があって、一緒にやりたい、ステージでも、レコーディングでもいいから、ということなので、それじゃ今回のレコーディングを一緒にやろう」と話がまとまったらしい。メンバーの人選はそこから始まって。ジョージ・デューク、アル・フォスター、ビル・サマーズという5人に決定したという』。自分も、ジョージ・デュークやスタンリー・クラークをなぜに今さら担ぎ出してきたのかと疑問に思っていた。このアルバムの発起人は、スタンリー・クラークということだ。

さらに、内藤氏はロリンズのやっているジャズを次の5項目で結論付けている。
1. テナーサックスの音色が、力強く豪快で、彼以前の誰よりも魅力的である。
2. アドリブ・フレーズが次々と豊かに展開され、しかも、単なる機械的な連結ではなく、メロディアスである。
3. リズムの乗りに彼独特のタイミングがあって、これが新鮮なスイング感を与えてくれる。
4. 特にバラードで聴けるテーマ部のやさしい歌いかけが素晴らしい。
5. 単なるポップ・チューンを、いとも簡単に自分のジャズにしてしまう。

確かにその通りで反論の余地がない。ただ、このアルバムを聴いても思うのだが、「前進」という言葉が浮かんでこない。ジャケット裏にSpecial thanks to Dallas Smith and his lyricon.とあった。人の楽器を借りているようじゃ、前進しないなと思ってしまうのだ。

1. Little Lu
2. The Dream That We Fell Out Of
3. Strode Rode
4. The Very Thought Of You
5. Caress
6. Double Feature

Sonny Rollins - tenor saxophone (except track 2), lyricon (track 2)
George Duke - piano, electric piano
Stanley Clarke - electric bass
Al Foster - drums (tracks 1-3,5)
Bill Summers - congas, percussion (tracks 1,5)

Recorded on May 9, 10, 11 & 12, 1980 at Fantasy Studios, Berkeley, CA.

Sonny Rollins / Don't Ask

プロデューサーはオリン・キープニュース。ロリンズとラリー・コウエルの組合せは彼のアイデアなのだろう。コウエルは全7曲中の5曲に参加し、2曲はアコースティックギターでロリンズとデュオ。残り3曲はエレクトリックギターである。さらに、ロリンズはリリコンを使って1曲吹いている。手を変え品を変えて、アルバムに変化をもたらそうとしたことが良く分かる。

売れるアルバムを作ることは決して悪くないが、ロリンズがほんとうにやりたかったジャズなのだろうか。ロリンズ本人に聞いてみたい。「そんなことを聞くなよ - Don't Ask」と答えが返ってくるのだろうか。ロリンズのディスコグラフィーを見ると、コウエルとのセッションはこのアルバムのみ。ロリンズは作らせられた感じがする。ジャケットの写真にも覇気がない。

1. Harlem Boys
2. The File
3. Disco Monk
4. My Ideal
5. Don't Ask
6. Tai-Chi
7. And Then My Love Found You

Tracks 2 & 4
Sonny Rollins - tenor saxophone
Larry Coryell - acoustic guitar (track 2: 12-string, track4: 6-string)

Tracks 1, 3, 5, 6 & 7
Sonny Rollins - tenor saxophone (except track 6), lyricon (track 6), piano (track 3)
Larry Coryell - electric guitar (except tracks 1 & 6)
Mark Soskin - piano, electric piano, synthesizer
Jerome Harris - electric bass
Al Foster - drums
Bill Summers - congas, percussion

Recorded on May 15, 16, 17 & 18, 1979 at Fantasy Studios, Berkeley, CA.