Sonny Clark / Sonny Clark Trio [Blue Note]

ソニー・クラークは、日本では十分に評価されているが、米国での評価は決して高くない。こんな文章を良く目にするのだが、データで示したジャズ評論家は、少なくとも自分が知る限りでは皆無である。例えば、このアルバムSonny Clark Trioは、日本でのセールス実績3万枚に対して、米国ではわずか3千枚なのだ、というような分析結果を知りたい。つまり、このアルバムに限らずレビューが使い回されているような気がしてならない。

本作のイチオシは、間違いなく5曲目のSoftly, As In A Morning Sunrise(朝日のごとくさわやかに)。気だるさ感に溢れ、ちっとも爽やかでないアレンジのSoftly, ... なんて滅多に出会えない。LPではB面の2曲目。なぜに、プロデューサーのアルフレッド・ライオンは、この曲を中途半端な位置づけにしたのか。それは、ピアノソロによるラスト曲I'll Remember Aprilとのつながりを重視したからなのだろう。CDでは、そのあとにボーナストラックが3曲続くが、有難くもあり迷惑でもある。

1. Be-Bop
2. I Didn't Know What Time It Was
3. Two Bass Hit
4. Tadd's Delight
5. Softly, As In A Morning Sunrise
6. I'll Remember April
7. I Didn't Know What Time It Was [alternate take]
8. Two Bass Hit [alternate take]
9. Tadd's Delight [alternate take]

Sonny Clark - piano
Paul Chambers - bass (except track 6)
Philly Joe Jones - drums (except track 6)

Recorded on October 13, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Sonny Clark / Sonny's Crib

ソニー・クラークとジョン・コルトレーンが共演したアルバムは本作のみ。この録音から2週間後、コルトレーンはBlue Trainを、そして4ヶ月後にソニー・クラークは超名盤Cool Struttin'を録音する。しかし、互いが共演することはなかった。二人は決してウマが合わなかったのではなく、単なるスケジュールの問題だったと思いたい。

豪華なフロント3管に強力なリズム陣。そんな中で、クラーク自身が自己主張するのは楽ではない。ここでのクラークは、見事なつなぎ役を担っている。自分のピアノによって、メンバーが活き活きと演奏できることを目指したのだろう。この構想が見事に功を奏して、まとまった深みのあるアルバムとなった。自作のSonny's CribとNews for Luluも用意してセッションに臨んでいる。ところで、cribはベビーベッドなどの意味があるが、「住み家」というスラングらしい。所有する輸入盤CDのジャケット内には、セッション風景の写真を掲載。ソニーの住み家で普段着のフロント3人が写っている。

1. With A Song In My Heart
2. Speak Low
3. Come Rain Or Come Shine
4. Sonny's Crib
5. News For Lulu
6. With A Song In My Heart [alternate take]
7. Speak Low [alternate take]
8. Sonny's Crib [alternate take]

John Coltrane - tenor saxophone
Donald Byrd - trumpet
Curtis Fuller - trombone
Sonny Clark - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums

Recorded on September 1, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Sonny Clark / Dial "S" For Sonny

ソニー・クラークは26歳の誕生日にこの初のリーダーアルバムを録音し、31歳と半年でヘロイン中毒により亡くなっている。つまり、真に活躍したのは5年余り。決してゆったりした生き方ではなかった。かといって、急ぎ過ぎた生き方でもなかったと思う。このアルバムから聴こえてくるクラークのピアノには、ジャズをやることに一つの生きがいを掴んだ感じを受ける。It Could Happen To YouとLove Walked In以外はクラークの作品。

フロント3管が初のリーダーを後押して、本人も「これで行こう!」と決めたにもかかわらず、ヘロインに手を出してしまった理由は公にはされていないようだ。見方を変えれば、このアルバムからクラークの苦悩が始まったのかもしれない。

1. Dial "S" For Sonny
2. Bootin' It
3. It Could Happen To You
4. Sonny's Mood
5. Shoutin' On A Riff
6. Love Walked In
7. Bootin' It [alternate take]

Tracks 1 - 5 & 7
Hank Mobley - tenor saxophone
Art Farmer - trumpet
Curtis Fuller - trombone
Sonny Clark - piano
Wilbur Ware - bass
Louis Hayes - drums

Track 6
Sonny Clark - piano
Wilbur Ware - bass
Louis Hayes - drums

Recorded on July 21, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.