Stan Getz / Apasionado

後藤雅洋著『一生モノのジャズ名盤500』で、次のように紹介され手に入れた。「ゲッツのスケールの大きさを実感させるアルバム。A&M移籍第1弾、ハーブ・アルパートがプロデュースと言うと、一定のポップなイメージが湧いてくると思うが、スタン・ゲッツのテナーがバリバリなので、ポップなサウンドのまんま、どジャズになっちゃってる。発売が90年だから彼としては晩年の作品だが、まったく衰えを見せていない。名盤」。

ジャケットにはゲッツのサイン入りで挨拶が記載。I would like to thank everyone who contributed to this album, with special thanks to Herb Alpert who showed me aspects of recording I'd never experienced before.(このアルバムに貢献してくれたすべての人、特に、これまで経験したことのないレコーディングの側面を見せてくれたハーブ・アルパートに感謝したい)。

アルパートはA&Mの創始者なので、社交辞令も含んでいるのだろう。ゲッツは1927年2月生まれ。本作の録音時点で62歳。まだ衰えを見せる年齢ではないが、アルコール依存症だったことは良く知られている。それでも、新たなサウンドに挑戦したことは事実。このアルバムが名盤かどうかは、好き嫌いの範疇だろう。自分としては、心揺さぶられるアルバムとは言い難い。ちなみに、Apasionadoとはスペイン語で「情熱的」。

1. Apasionado
2. Coba
3. Waltz For Stan
4. Espanola
5. Mandrugada
6. Amorous Cat
7. Midnight Ride
8. Lonely Lady

Stan Getz - tenor saxophone
Bill Green - alto saxophone
Rick Baptist, Oscar Brashear, Noland Smith Jr. - trumpet
George Bohanon, Reginald Young - trombone
Tom Johnson - tuba
Kenny Barron - piano
Mike Lang - electric piano, synthesizer
Eddie Del Barrio - synthesizer
Oscar Castro-Neves, Michael Landau - electric guitar
Jimmy Johnson - bass
Jeff Porcaro - drums
Paulinho Da Costa - percussion

Recorded on September 13, 1989 at A&M Studios, Los Angeles, CA.

Shelly Manne / My Fair Lady

ジャズとは保温が効く音楽。このアルバムは、もう65年前、自分が生まれるちょうど4か月前の録音である。「ジャズってどんな感じの音楽ですか?」と問われたら、「賞味期限は短くても50年」と答えよう。「でも、50年前のロックでも、フォークでも、歌謡曲でも、いまだに愛される曲はありますよねぇ」と切り返えされたら、「そうだけど、ジャズの場合は聴き手によって新たな発見があるんだ。このベースラインって、すごく先進的なことをやっている。これまで気付かなかったよ。なんてことが多々あるのさ」と伝えたい。

ジャケットに書かれている正式なタイトルは、Shelly Manne & his Friends* modern jazz performances of songs from MY FAIR LADYである。ジャケット下のアスタリスクにANDRE PREVIN AND LEROY VINNEGARと小さなフォントで補足。シェリー・マン名義のアルバムであるが、アンドレ・プレヴィンとルロイ・ヴィネガーは、ジャケットでは隅に追いやられた。このアルバムは、ある種の古典。だけど、聴けば聴くほど味が出てくる。スルメイカ的ジャズ。

1. Get Me To The Church On Time
2. On The Street Where You Live
3. I've Grown Accustomed To Her Face
4. Wouldn't It Be Loverly
5. Ascot Gavotte
6. Show Me
7. With A Little Bit Of Luck
8. I Could Have Danced All Night

Andre Previn - piano
Leroy Vinnegar - bass
Shelly Manne - drums

Recorded on August 17, 1956 at Contemporary Records Studio, Los Angeles, CA.

Sonny Rollins / The Solo Album

これはソニー・ロリンズの練習でしかない。一人で56分4秒。場所は、雲隠れしていた頃の橋の上ではなく、ニューヨーク近代美術館。そして、その練習に付き合った観客が750人ほどいたらしい。ライナーノーツでは、以下の評論家達がこのアルバムを絶賛しているが、とても奇妙に感じる。これは「練習」でしかないのだ。

青木和富、青木啓、安宅秀子、岩波洋三、岡崎正通、小川隆夫、佐藤秀樹、内藤遊人、野口久光、藤本雄三、森田芳光、山口弘滋、大和明、悠雅彦、油井正一

1. Soloscope

Sonny Rollins - tenor saxophone

Recorded on July 19, 1985 at The Sculpture Garden of the Museum Of Modern Art, NYC.