Sabu / Palo Congo

ブルーノートの中で、最もブルーノートらしくないアルバム。完璧なアフロキューバンである。何故にそんなアルバムを購入したかと言えば、怖いもの見たさ的な出来心。自分がアフロキューバンへたどり着くには、ライ・クーダーのルートぐらいしかない。ところが、ブルーノートが誘ってくれた。限定盤1,100円ならば、まずいランチに出くわしてしまったと諦められる価格である。食わず嫌いも良くないので…。で、食後の感想。アルセニオ・ロドリゲスが弾く3弦ギターなるトレスを知ったことが大きな収穫。

CD帯から。「ラテン・パーカッションの異才がキューバの至宝アルセニオ・ロドリゲスを迎えて放った祝祭的傑作。ブルーノート1500番台の大珍盤ながら、ラテン・ファン必携の超幻の大名盤」。ちなみに、Sabu(サブー)とは、リーダーのルイ・マルティネスのニックネーム。ここでは、セッション・グループの代名詞的な位置付けになっている。

1. El Cumbanchero
2. Billumba-Palo Congo
3. Choferito-Plena
4. Asabache
5. Simba
6. Rhapsodia Del Maravilloso
7. Aggo Elegua
8. Tribilin Cantore

Louis "Sabu" Martinez - congas, bongos, vocals
Arsenio Rodriguez - congas, tres, vocals
Raul "Caesar" Travieso - congas, vocals
Israel Moises "Quique" Travieso - congas
Ray "Mosquito" Romero - congas
Evaristo Baro - double bass
Willie Capo - vocals
Sarah Baro - vocals

Recorded on April 27, 1957 at Manhattan Towers, NYC.

Sheila Jordan / Portrait Of Sheila

シーラ・ジョーダンは現在93歳。自分は聴くチャンスを逸したが、2015年暮れ、87歳のときには来日公演を果たしている。2008年までに20枚のリーダーアルバムを世に送り込んだ。そして、本作が彼女のデビューアルバム。1962年9月と10月の録音。ギター、ベース、ドラムのトリオを従えて、クールに歌う。ギターとのデュオ、ベースとのデュオもあり、アルバムとしての構成が見事。ジャケットも印象的。

彼女は、1952年にデューク・ジョーダンと結婚。ならば、タイトルを「シーラとデューク」にして、夫のピアノだけのバックでシーラの歌声を聴かせるアルバムを安易に思い付いてしまうのだが…。しかし、本作の録音前だろう、デュークの薬物使用により、二人は1962年に離婚しているのだ。二人の間には、娘が55年に生まれたとのことで、シングルマザーとして、そしてプロのジャズボーカリストとしての新たな決意を感じるアルバム。ジャケットの横顔からも。

1. Falling In Love With Love
2. If You Could See Me Now
3. Am I Blue
4. Dat Dere
5. When The World Was Young
6. Let's Face The Music And Dance
7. Laugh, Clown, Laugh
8. Who Can I Turn To
9. Baltimore Oriole
10. I'm A Fool To Want You
11. Hum Drum Blues
12. Willow Weep For Me

Sheila Jordan - voice
Barry Galbraith - guitar
Steve Swallow - bass
Denzil Best - drums

Recorded on September 19 and October 12, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Sonny Clark / Leapin' And Lopin'

ソニー・クラークは、ヘロインの過剰摂取により31歳で1963年1月13日に永眠。このアルバムは61年11月13日に録音。結果的に、彼にとっての最後のリーダーアルバムとなった(セッションに関しては、62年10月18日まで参加)。本作のリリースは62年5月なので、クラークの死後ではない。だが、なぜにジャケットをこんなにもクラーク(暗く)してしまったのか。タイトルLeapin' And Lopin'(飛んだり跳ねたり)とも不一致。1曲目Somethin' Specialはクラークの作品なので、これをタイトルにすべきだった。

そのスペシャルなものは、アイク・ケベックの参加。Deep In Dreamだけなので、ジャケットには名前の記載なし。一曲だけ参加した理由は、ケベックのWikipediaに「アルフレッド・ライオンはケベックの演奏をいつも気に入っていたが、表舞台から10年間消えた後、聴衆がどう反応するか分からなかった」とある。つまり、クラーク名義のアルバムにケベックをそっと参加させ、市場の反応を確かめようとしたのだ。そんなライオンの計画にもかかわらず、クラークが逝った3日後、63年1月16日にケベックは肺がんで死亡。享年44。飛んだり跳ねたりして、ついに二人とも旅立ってしまったのだ。

1. Somethin' Special
2. Deep In A Dream
3. Melody For C
4. Eric Walks
5. Voodoo
6. Midnight Mambo
7. Zellmar's Delight
8. Melody For C [alternate take]

Charlie Rouse - tenor saxophone (except track 2)
Ike Quebec - tenor saxophone (track 2)
Tommy Turrentine - trumpet (except track 2)
Sonny Clark - piano
Butch Warren - bass
Billy Higgins - drums

Recorded on November 13, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.