坂田明 / MOOKO

ドラマーのシャノン・ジャックソンのリーダーアルバムは、Street Priestの1枚しか所有しておらず、他のアルバムも聴いてみたいと探していたら、なんと!坂田明が共演しているアルバムを見つけた。迷わず購入。坂田自身が、本作について以下のように解説している(2009年2月1日付け)。坂田がジャックソンに手紙を出したことで実現したアルバム。全文を掲載する。

1. ニッチモ・サッチモ
2. ひやし節
3. Wann Kann Ich Sie Wiedersehen?
4. 羊飼いの晩餐
5. 騎馬民族の踊り
6. 蒙古

坂田明 - alto saxophone, bass clarinet, piano, vocalism
Bill Laswell - prepared fretless bass 4. 6 & 8 string bass, sitar Bass, violin, ectar
Ronald Shannon Jackson -drums, percussion, scheollmie

Recorded on December 2 & 3, 1987 at Sorcerer Sound, New York.

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〈Mooko〉とは言うまでもなく蒙古でありモンゴルである。録音したのは87年で、もう23年前に遡る。シャノン・ジャックソンに「一緒にレコーディングしてもらえないだろうか」と手紙を書いたら、「勿論だが、レコーディングするならビル・ラズウェルにプロデュースしてもらったほうがうまくいく」といわれ、ビルに頼むことになった。

ビル・ラズウェルとはその前年彼のLast exitに入って共演していた。シャノンがドラムスでギターがソニー・シャーロック、サックスはペーター・ブロッツマンであった。轟音が鳴っているにもかかわらず、不思議とうるさくない音に驚いた記憶がある。

私は腹巻になけなしの現金を入れてN.Y.へ飛んだのだが、ビルは大変良くしてくれた。時差ぼけに参った。最後の日には寝過ごした。あわててスタジオへ行くと「サカタ! 出来たぞ」とビルがいった。エンジニアの口バート・ムッソーと二人でもくもくとミックスをしてくれたのである。私のほうは一時が万事、失敗の山だった。

そのときビルと話をして盛り上がったのは〈モンゴリア〉だった。オルティンドーやホーミーといった雄大な草原を想起させる音楽について語った。話は「バンドでモンゴルへ行こうよ!」と大変な話になった。レコード・タイトルは文句なしに『MOOKO』とした。

その頃、私は一方では「ミジンコは凄い」といいながら、もう一方では「モンゴルは凄い」と吹聴して歩いていた。そしたら「新世界紀行」という番組のプロデューサーからお声がかかり、90年11月にホーミーの紹介を主目的でモンゴル高原へ行くことになった。

晩秋の冷え込む大草原でモンゴルの人と共にカセットテープの『MOOKO』を聴いた。音楽は不思議と風景に合っていた。彼らも「是非モンゴルヘバンドをつれてきてくれ」といってくれた。4年後の94年、国際交流基金の主催事業で私とビル・ラズウェルの率いる世界混成13人編成の「ミジンコ空艇楽団」は終にモンゴルで演奏した。N.Y.での約束から7年、快挙といってもおかしくない時代だった。今の朝青龍、白鵬らモンゴル人が日本の大相撲を席捲するとは夢にも思えない、昔のことである。

Sam Rivers / Contours

緊張感はあるのだが、曲そのものにポテンシャルを感じない。全編、サム・リバース作。掴みどころのない曲ばかり。例えば、アフロ・ブルー。最初の1小節で、聴き手は身構える。その1小節が軸となって、どういう展開になるのか期待するからだ。残念なことに、このアルバムに収められた曲には、軸となるフレーズがなく、拡散する一方のような印象を与えてしまう。タイトルContours通り、輪郭だけを設定して録音に臨んだのだろうが、主役のリバースがセッションの方向性を導き出していない。メンバーは好き勝手に演奏しているだけ。リバースの統率力のなさを露呈してしまったアルバムなのだ。

ライナーノーツで、マイケル・カスクーナが次のように書いている(行方均氏:訳)。「本アルバムで、サムはハードバップの原点に立ち戻り、新しく挑戦的な楽曲をもってその境界を押し広げている。本セッションのためにサムが集めたのは60年代のベストといえるミュージシャンたちで、彼らの試みがハードバップという言語を拡張していくのだ」。カスクーナが言うように「挑戦的な曲」と捉えることはできるが、「未完成な曲」とも言えるのである。

1. Point Of Many Returns
2. Dance Of The Tripedal
3. Euterpe
4. Mellifluous Cacophony
5. Mellifluous Cacophony [alternate take]

Sam Rivers - tenor saxophone, soprano saxophone, flute
Freddie Hubbard - trumpet
Herbie Hancock - piano
Ron Carter - bass
Joe Chambers - drums

Recorded on May 21, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Sabu / Palo Congo

ブルーノートの中で、最もブルーノートらしくないアルバム。完璧なアフロキューバンである。何故にそんなアルバムを購入したかと言えば、怖いもの見たさ的な出来心。自分がアフロキューバンへたどり着くには、ライ・クーダーのルートぐらいしかない。ところが、ブルーノートが誘ってくれた。限定盤1,100円ならば、まずいランチに出くわしてしまったと諦められる価格である。食わず嫌いも良くないので…。で、食後の感想。アルセニオ・ロドリゲスが弾く3弦ギターなるトレスを知ったことが大きな収穫。

CD帯から。「ラテン・パーカッションの異才がキューバの至宝アルセニオ・ロドリゲスを迎えて放った祝祭的傑作。ブルーノート1500番台の大珍盤ながら、ラテン・ファン必携の超幻の大名盤」。ちなみに、Sabu(サブー)とは、リーダーのルイ・マルティネスのニックネーム。ここでは、セッション・グループの代名詞的な位置付けになっている。

1. El Cumbanchero
2. Billumba-Palo Congo
3. Choferito-Plena
4. Asabache
5. Simba
6. Rhapsodia Del Maravilloso
7. Aggo Elegua
8. Tribilin Cantore

Louis "Sabu" Martinez - congas, bongos, vocals
Arsenio Rodriguez - congas, tres, vocals
Raul "Caesar" Travieso - congas, vocals
Israel Moises "Quique" Travieso - congas
Ray "Mosquito" Romero - congas
Evaristo Baro - double bass
Willie Capo - vocals
Sarah Baro - vocals

Recorded on April 27, 1957 at Manhattan Towers, NYC.