鈴木良雄 / 人生が変わる55のジャズ名盤入門

2016年末に前職を定年退職。それを記念?して、翌17年8月後半に5回目の『青春18きっぷ』の一人旅に出た。糸魚川(黒部へ寄り道)、秋田、弘前、盛岡という行程。旅の仕上げは、盛岡のジャズ喫茶『開運橋のジョニー』で鈴木良雄さんのライブを満喫。その場で直接ご本人から購入したのが本書(発行:竹書房 2016年2月11日 1,000円+税)。その時点では、55枚中の4枚が未所有。現在では全て揃えることができた。ようやく「人生が変わった」ということだろうか。

ジャズマンが書いた本なので、実体験が記載されていて楽しく読める。例えば、モダン・ジャズ・カルテットの〈ジャンゴ〉のページ。「大学の頃は、雀荘にいるかジャズ研の部室にいるか、新宿のジャズ喫茶にいるか・・・でしたからね」。全く同じである。自分の場合は、新宿ではなく中野か吉祥寺だったけれど。鈴木さんはちょうど人生の10年先輩。ジャズ研とは人生を勉強する場所なのである。

坂田明 / 私説「ミジンコ大全」

昨年に続き、ココファームの収穫祭はオンラインになってしまった。秋空の下、ワインを飲みながら坂田明のライブ演奏を体験するのが、これまで最高の楽しみだった。ライブ配信では、その感動を味わうのは無理がある。なので、坂田のアルバム『海』を聴きながら、著書『ミジンコ大全』を開いて、来年こそはと願うのみ。

2013年1月20日発行 晶文社 定価2,500円。ジャズとは関係ない。著者が坂田明だからと言って、ジャズとは関係ないのだ。なぜなら、『あとがき』で彼はこう書いている。「実は私にはジャズはできない。目指したことはある。だが、できないことに気が付いて久しい」。この文章だけ読むと意味不明なので、『あとがき』全体を読んでもらいたい。生物学・遺伝子学の準専門書なので、眠くなりそうになったら、付属のCD『海』を聴くべき。2,500円が決して高くないと納得するだろう。坂田撮影によるミジンコ図鑑(32ページカラー写真)も本書に含まれている。しかし、このCDはジャズでなくパンクである。そうあとがきに書いてある。そう思う人は誰一人いないだろうが。つまり、坂田の人生がパンクなのだ。以下の本書帯の裏面から引用。

「最初に驚きと感動を覚えたのは、コップの中に入れたミジンコを虫眼鏡で覗いたときでした。ミジンコに焦点を当てると、コップの中は無限の宇宙のように広がりを感じさせます。次に衝撃を受けたのは、生きたミジンコを顕微鏡で覗いたときで、ミジンコの体は透明ですから、鼓動する心臓までが丸見えになるのです。〈命が見えた!〉と、とにかく強い衝撃を受けました」。

Sonny Rollins / What's New

LPに収録されていたDon't Stop The Carnivalが、CDでは割愛されている。だからと言って、その他の収録曲の長さが増えている訳ではない。その理由は、油井正一氏によるLPのライナーノーツにあった。

最初の国内販売のとき、ミュージカルの主題歌If Ever I Would Leave Youの挿入は不可で、代わりにDon't Stop The Carnivalを挿入。再発時には、主題歌の挿入が可となり6曲構成になった。しかし、輸入盤においては、そのような制約はなく、Don't Stop The Carnivalは蚊帳の外のまま。さらに、本作の原ジャケットでは、ボサノバのアルバムとして紹介されたそうだ。実際にボサノバ曲は1つもなく、国内での当時のボサノバの状況について、油井氏が以下のように書いている。もう、60年前の出来事。

ボサノバという言葉が、日本のジャーナリズムに伝えられたのは、1962年10月のことで読売新聞がタ刊娯楽面のトップにこの現象を大々的に報道、週刊新潮もこのニュースを伝えた。「この秋、突如としてボサノバというニュー・リズムがアメリカのジャズ界にひろまりだした」と。

機をみるに敏なるキングレコードは、少女歌手梓みちよに「ボサノバ娘」なるタイトルをつけ売り出しをはかったが、一体何がボサノバなのかがわからず、ボサノバ娘もスカートを両手につまんで振りまわすのをボサノバと心得ていたフシがある。「こんにちは赤ちゃん」で彼女がヒットしたのは、ボサノバ娘の看板をはずしたあとのことだ。

実際、ボサノバは何が何やらわからぬうちにジャンジャン宣伝されて、何が何やらわからぬ内に消えてしまった。そのあと、1965年秋に、アメリカに留学していた渡辺貞夫が帰国し、「ボサノバは楽しい」と積極的にとりあげてから、はじめて本格的にきかれるようになったものである。

CD
1. If Ever I Would Leave You
2. Jungoso
3. Bluesongo
4. The Night Has A Thousand Eyes
5. Brown Skin Girl

Sonny Rollins - tenor saxophone
Jim Hall - guitar (tracks 1,4,5)
Bob Cranshaw - bass
Ben Riley - drums (tracks 1,4,5)
Dennis Charles, Frank Charles, Willie Rodriguez - percussion (tracks 1,4,5)
Candido - percussion (tracks 2,3)
Recorded on April 5 (track 4), 25 (track 1), 26 (track 5) and May 14 (tracks 2,3), 1962 in NYC.

LP
1. Don't Stop The Carnival
2. If Ever I Would Leave You
3. Brown Skin Girl
4. Bluesongo
5. The Night Has A Thousand Eyes
6. Jungoso

Sonny Rollins - tenor saxophone
Jim Hall - guitar (tracks 1-3,5)
Bob Cranshaw - bass
Ben Riley - drums (tracks 1-3,5)
Dennis Charles, Frank Charles, Willie Rodriguez - percussion (tracks 1-3,5)
Candido - percussion (tracks 4,6)
Recorded on April 5 (track5), 25 (tracks 1,2) & 26 (track 3) and May 14 (tracks 4.6), 1962 in NYC.