Sonny Rollins / What's New

LPに収録されていたDon't Stop The Carnivalが、CDでは割愛されている。だからと言って、その他の収録曲の長さが増えている訳ではない。その理由は、油井正一氏によるLPのライナーノーツにあった。

最初の国内販売のとき、ミュージカルの主題歌If Ever I Would Leave Youの挿入は不可で、代わりにDon't Stop The Carnivalを挿入。再発時には、主題歌の挿入が可となり6曲構成になった。しかし、輸入盤においては、そのような制約はなく、Don't Stop The Carnivalは蚊帳の外のまま。さらに、本作の原ジャケットでは、ボサノバのアルバムとして紹介されたそうだ。実際にボサノバ曲は1つもなく、国内での当時のボサノバの状況について、油井氏が以下のように書いている。もう、60年前の出来事。

ボサノバという言葉が、日本のジャーナリズムに伝えられたのは、1962年10月のことで読売新聞がタ刊娯楽面のトップにこの現象を大々的に報道、週刊新潮もこのニュースを伝えた。「この秋、突如としてボサノバというニュー・リズムがアメリカのジャズ界にひろまりだした」と。

機をみるに敏なるキングレコードは、少女歌手梓みちよに「ボサノバ娘」なるタイトルをつけ売り出しをはかったが、一体何がボサノバなのかがわからず、ボサノバ娘もスカートを両手につまんで振りまわすのをボサノバと心得ていたフシがある。「こんにちは赤ちゃん」で彼女がヒットしたのは、ボサノバ娘の看板をはずしたあとのことだ。

実際、ボサノバは何が何やらわからぬうちにジャンジャン宣伝されて、何が何やらわからぬ内に消えてしまった。そのあと、1965年秋に、アメリカに留学していた渡辺貞夫が帰国し、「ボサノバは楽しい」と積極的にとりあげてから、はじめて本格的にきかれるようになったものである。

CD
1. If Ever I Would Leave You
2. Jungoso
3. Bluesongo
4. The Night Has A Thousand Eyes
5. Brown Skin Girl

Sonny Rollins - tenor saxophone
Jim Hall - guitar (tracks 1,4,5)
Bob Cranshaw - bass
Ben Riley - drums (tracks 1,4,5)
Dennis Charles, Frank Charles, Willie Rodriguez - percussion (tracks 1,4,5)
Candido - percussion (tracks 2,3)
Recorded on April 5 (track 4), 25 (track 1), 26 (track 5) and May 14 (tracks 2,3), 1962 in NYC.

LP
1. Don't Stop The Carnival
2. If Ever I Would Leave You
3. Brown Skin Girl
4. Bluesongo
5. The Night Has A Thousand Eyes
6. Jungoso

Sonny Rollins - tenor saxophone
Jim Hall - guitar (tracks 1-3,5)
Bob Cranshaw - bass
Ben Riley - drums (tracks 1-3,5)
Dennis Charles, Frank Charles, Willie Rodriguez - percussion (tracks 1-3,5)
Candido - percussion (tracks 4,6)
Recorded on April 5 (track5), 25 (tracks 1,2) & 26 (track 3) and May 14 (tracks 4.6), 1962 in NYC.

SALTYヒロシ / かもめ

ちょうど12年前の2010年6月5日。仲間と米作りを始めて4年目。そのリーダーが、「田んぼライブ」をセッティングしてくれた。自分は撮影係。午後5時過ぎ、自分達が米作りをさせてもらっている田んぼの脇で始まったライブは、途中から激しい雨に見舞われた。農家の方のご配慮により、演奏会場は農作業小屋に急遽移動。そんなハプニングがあったからこそ、忘れられないライブとなった。

予定していた演奏が無事に終わり、サイン入りCDをSALTYヒロシさんから直接購入。彼の音楽をあらためて聴くと、その時のライブの記憶がよみがえってくる。このアルバムを検索したら、なんと自分が書いたブログが3番目にヒット。ということは、一般的なルートでは購入できないアルバムのようだ。ちょっと残念。写真上は「田んぼライブ」のスタート。写真下は作業小屋に移動し、ヒロシさんのメインステージ。

1. 大きな船
2. 風の友達
3. かもめ
4. D埠頭
5. 失くした光
6. 立ち止まって相模原
7. 月光価千金
8. まだ見ぬ君へ (明日へ)

Recorded in 2008.

坂田明 / Nano Space Odyssey

坂田明自身が、このアルバムについて2009年2月4日付けで語っている。抜粋したものを以下に掲載。武満徹、坂田明、ビル・ラズウェルの3人が、新宿の居酒屋で朝5時まで飲むきっかけを作ったアルバム。

NHKの「ナノ・スペース」という画期的な科学番組の音楽を制作することになった。ナノ・メートルという単位を知ったのは、番組の映像を見てからである。1ナノ・メートル(nm)は10億分の1メートルである。水素原子の直径は0.1nmで、水分子が約0.2nm、DNAの2重螺旋の径は2nmであります。〈中略〉私たちの住むこの世界はミクロとマクロに向かってとんでもない広がりと深さを持っている。極限ミクロ10のマイナス23乗は漢数詞で浄。極大マクロ10の68乗は漢数詞で無量大数。唖然だ。その世界の中で私たちは自分で感じたり、思ったり、フォン・ユクスキュル言うところの環世界からの体験、学習なり、思い込みなり、洗脳なり、錯覚なり、想像なりを駆使している。その結果、正義は勝つだの、神はわれわれに味方してくれるとか、諸行無常だの、生々流転、色即是空とか、判ったような判らない人生を生きて死んでいくことになる。

このCDは、91年11月末、モンゴル高原より戻った後にNHKのスタジオへ1ヶ月通いつめて録音したものである。今は亡き武満徹さんにこのCDを送ったところ、ハガキでご丁寧な返事を頂き、とても嬉しかった。武満さんに聴いてもらっただけでもういいやと思っていた。その前後だったと思うが、あるコンサートを聴きに行ったあと、打ち上げで同席しておられた武満さんに「どっか飲みに行きませんか」とお誘いしたら「うん、行こう」といわれてびっくりした。横に居たビル・ラズウェルに「おい、武満徹さんと飲みに行くぞ!」と、「なに?!」とビル。さっさと3人でタクシーに乗って新宿の居酒屋だ。朝5時まで飲んでしまった。貴重な思い出は私とビルの間で語り草である。

1. Cosmic Zoom
2. Grandeur Of Microcosm Under The Chaos
3. Psy-Field:A
4. A Strange Life Of Daphnia
5. T4-Phage Landed On The Moon
6. Phase Transition Of Kci
7. Psy-Field:B
8. Micro-Robot Breaking Into Laughter
9. Vicissitudes
10. Voices Of "Super Strings"
11. Nano Space Odyssey

Akira Sakata - soprano saxophone, alto saxophone, synthesizer, piano
Tamai Toyooka - mukkuri
Asuka Kaneko - violin
Kyoko Kuroda - piano
Hiroshi Yoshino - contrabass
Yu Fujii - electric bass
Kiyohiko Semba - drums, percussion
Atuy - voice (song 1)
Fusae Doi - voice (song 2)
Mishio Ogawa - voice (song 9)
Shigeri Kitsu - voice (song 3,7,10)
Norihiko Yamanuki - sound programming

Recorded in November & December, 1991 at NHK-604-Studio.