Sonny Rollins / Moving Out

ロリンズとモンクのディスコグラフィーを見ると、1954年10月25日に、ロリンズはモンク、トミー・ポーター、アート・テイラーを集めて3曲録音している。More Than You Knowはmoving outに、残りの2曲I Want To Be HappyとThe Way You Look Tonightはモンク名義のアルバムThelonious Monk and Sonny Rollinsに収められた。つまり、初めにアルバムの構想があってメンバーを集めるのではなく、セッションをやって使えそうな曲を揃えてから、アルバムを企画したことが容易にわかる。

ミュージシャンはビジネスに口を出せなかった。ジャケットを見ても明らか。ロリンズ以外には、モンクとケニー・ドーハムの名前しかない。10月25日の録音からロリンズは雲隠れする。約1年後の1955年11月7日に、クリフォード・ブラウンとのセッションに参加。moving out(移転)というタイトルが、妙にそれを暗示している感じだ。最近購入した国内盤CDには、アイラ・ギトラ―(訳:小川隆夫)の解説が載っていた。moving outは演奏している際に、高いギアにシフト・チェンジするように一歩踏み出すことを意味すると書いている。そうかもしれないが、雲隠れのことには一切触れていない。

1. Moving Out
2. Swingin' For Bumsy
3. Silk 'N' Satin
4. Solid
5. More Than You Know

Tracks 1, 2, 3 & 4
Sonny Rollins - tenor saxophone
Kenny Dorham - trumpet
Elmo Hope - piano
Percy Heath - bass
Art Blakey - drums
Recorded on August 18, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Track 5
Sonny Rollins - tenor saxophone
Thelonious Monk - piano
Tommy Potter - bass
Art Taylor - drums
Recorded on October 25, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Sonny Rollins / With The Modern Jazz Quartet

MJQとのセッションによるアルバムだが、それは全13曲中の4曲のみ。ジャケット右端にArt BlakeyとKenny Drewの名前が記載されているように、彼らとのセッション8曲が含まれている。残りの1曲は、なぜかマイルスがピアノで参加。1953年10月、ロリンズはMJQと録音したが、アルバム化するには曲数が不足。つまり、その時点でのアルバム制作は想定されていなくて、遡る51年1月と12月の2つのセッションの録音を探し出し、アルバムの目途が立ったと思われる。

ということは、当時はアート・ブレイキーやマイルスよりもMJQの名声が高かったということである。今更ながらではあるし、ブログで何度も書いてきたように、ロリンズは自身初のリーダーアルバムからすでにロリンズだったことを示すアルバム。なので、タイトルWith The Modern ... は間違いではないものの、きっぱりとRollinsにすべきだったと思うのだが。

1. The Stopper
2. Almost Like Being In Love
3. No Moe
4. In A Sentimental Mood
5. Scoops
6. With A Song in My Heart
7. Newk's Fadeaway
8. Time On My Hands
9. This Love Of Mine
10. Shadrack
11. On A Slow Boat To China
12. Mambo Bounce
13. I Know

Tracks 1 - 4
Sonny Rollins - tenor saxophone
Milt Jackson - vibraphone
John Lewis - piano
Percy Heath - bass
Kenny Clarke - drums
Recorded on October 7, 1953 at Apex Studios, NYC.

Tracks 5 - 12
Sonny Rollins - tenor saxophone
Kenny Drew - piano
Percy Heath - bass
Art Blakey - drums
Recorded on December 17, 1951 at Apex Studios, NYC.

Track 13
Sonny Rollins - tenor saxophone
Miles Davis - piano
Percy Heath - bass
Roy Haynes - drums
Recorded on January 17, 1951 at Apex Studios, NYC.

鈴木勲 / Black Orpheus

渡辺貞夫のFM東京の番組「マイ・ディア・ライフ」に鈴木勲がゲストで出演し、セロで「黒いオルフェ」を演奏したのが、今でも耳に残っている。しかし、ネットからはその情報を検索できず、勘違いだったのかも知れない。いずれにしても、大学のジャズ研時代にウッドベースでオルフェのソロを練習したことは間違いない。今でも、左手の運指の感覚が残っている。だが、コンボの課題曲にしたものの、音合わせを数回やってお仕舞になった。アドリブを展開するのは難しい曲である。

そんなことをふと思い出し、2015年3月に購入したアルバム。だが、ジャズを長年聴き続けてきたこともあってだろうか、学生時代に感動した鈴木勲のベースには、それほど驚きがなくなってしまった。地を這うベースでなく、宙を浮いている感じがしてしまう。まぁ、仕方がない。自分の耳が肥えたということではなく、自分の中のジャズが収斂されていったと言うことだろう。

1. Manha De Carnaval
2. Angel Eyes
3. Who Can I Turn To
4. In A Sentimental Mood
5. Blues

山本剛 - piano, electric piano
鈴木勲 - bass, cello
Donald Bailey - drums

Recorded on February 20, 1976 at Aoi Studio, Tokyo.