ロリンズとコルトレーンの共演が聴ける唯一のアルバムと評されるのだが、それが一曲で終わったことを受け止める必要がある。少し想像を膨らましたい。コルトレーンは一曲のみの参加しか許されなかったことで、この後、もの凄い練習に励んだ。その結果、最高峰にたどり着いた。つまり、この日の屈辱がなければ、その後のジャズは新たな変革を迎えなかった。思い込みが過ぎるだろうか。
岡崎正道氏によるライナーノーツでは「たまたまロリンズのレコーディング・スタジオへ、コルトレーンがテナーを持って遊びに来たところから、このセッションが実現したのである」とある。出典を示していないので何とも言えないが、たまたまスタジオへ足を運ぶほどミュージシャンは暇じゃない。ましてや、楽器を持参してなんて。岡崎氏は何を根拠にこの一節を書いたのか。コルトレーンとの共演を含めて、ロリンズは持ち前のスタイルで朗々とテナーを吹いている。まるで、「コルトレーンはまだまださ」と言っている感じだ。
1. Tenor Madness
2. When Your Lover Has Gone
3. Paul's Pal
4. My Reverie
5. The Most Beautiful Girl In The World
Sonny Rollins - tenor saxophone
John Coltrane - tenor saxophone (track 1)
Red Garland - piano
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums
Recorded on May 24, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.