Sonny Rollins / Tenor Madness

ロリンズとコルトレーンの共演が聴ける唯一のアルバムと評されるのだが、それが一曲で終わったことを受け止める必要がある。少し想像を膨らましたい。コルトレーンは一曲のみの参加しか許されなかったことで、この後、もの凄い練習に励んだ。その結果、最高峰にたどり着いた。つまり、この日の屈辱がなければ、その後のジャズは新たな変革を迎えなかった。思い込みが過ぎるだろうか。

岡崎正道氏によるライナーノーツでは「たまたまロリンズのレコーディング・スタジオへ、コルトレーンがテナーを持って遊びに来たところから、このセッションが実現したのである」とある。出典を示していないので何とも言えないが、たまたまスタジオへ足を運ぶほどミュージシャンは暇じゃない。ましてや、楽器を持参してなんて。岡崎氏は何を根拠にこの一節を書いたのか。コルトレーンとの共演を含めて、ロリンズは持ち前のスタイルで朗々とテナーを吹いている。まるで、「コルトレーンはまだまださ」と言っている感じだ。

1. Tenor Madness
2. When Your Lover Has Gone
3. Paul's Pal
4. My Reverie
5. The Most Beautiful Girl In The World

Sonny Rollins - tenor saxophone
John Coltrane - tenor saxophone (track 1)
Red Garland - piano
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on May 24, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Sonny Rollins / Plus 4

ロリンズのアルバムの中では、比較的地味な存在。それは、タイトルplus 4が中途半端な表現で、ジャケットも明らかに手抜きをしているからだ。LPのライナーノーツで、木全信(きまた・まこと)氏がこう説明している。『ローチとブラウンはエマーシーと契約しており、ロリンズのみプレスティッジと契約していた関係で、「ローチ・ブラウン・クインテット」の名前をタイトルにうたえなくなったことから「プラス4」となった』。

しかし、ソニー・ロリンズ名義のアルバムであることは事実で、ブラウンは4曲目のCount Your Blessingsには不参加。メンバーがロリンズに遠慮したのだろうか。全体的には派手さに欠ける演奏である。このアルバムの録音から3か月後の1956年6月26日。リッチー・パウエル(バド・パウエルの弟)の妻であるナンシーが運転する車にブラウンとリッチーが同乗し、3人全員が交通事故で世を去った。

1. Valse Hot
2. Kiss And Run
3. I Feel A Song Coming On
4. Count Your Blessings
5. Pent-Up House

Sonny Rollins - tenor saxophone
Clifford Brown - trumpet (tracks 1-3,5)
Richie Powell - piano
George Morrow - bass
Max Roach - drums

Recorded on March 22, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Sonny Rollins / Worktime

ジャケットから無駄なイラストやタイトルを省いて、モノクロのロリンズの写真だけにしていたら、このアルバムの評価はもっと高くなったに違いない。せめて、Worktimeというタイトルは右上の片隅に小さく配置すべきであった。ところで、なぜにWorktimeなのかがいまだに分からない。そんな曲は収録されておらず、「作業時間」とは意味不明。2曲目のロリンズのオリジナル曲Paradoxをタイトルにしていれば、他のジャズマンが取り上げるような曲になったであろう。

このアルバムの聴きどころは1曲目のThere's No Business Like Show Business(ショウほど素敵な商売はない)。ミュージカル『アニーよ銃をとれ』の挿入曲。所有するジャズアルバムの中で、この曲は誰も演奏していない。そんなことから、ロリンズはミュージカルなどに素材を求めていたことが分かる。

1. There's No Business Like Show Business
2. Paradox
3. Raincheck
4. There Are Such Things
5. It's All Right With Me

Sonny Rollins - tenor saxophone
Ray Bryant - piano
George Morrow - bass
Max Roach - drums

Recorded on December 2, 1955 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.