Ornette Coleman / Soap Suds

「物悲しい」。この一言。コールマンとヘイデンのデュオで、それぞれの得意技が随所に現れるのだが、テンションが上がりそうな場面になっても、そこから先を自らが抑制している。前へ進みたいが、それを引き留める何らかの力が働いている。デュオでありながら、インタープレイを楽しんでいる様子は一切感じない。二人を引き寄せる力がある訳でもなく、反発させる力がある訳でもない。二人の微妙な距離感。これが、物悲しさに通じている。

CDのジャケットは意味不明。所有していたLPは国内生産で、イラストはAtushi Yoshioka(吉岡篤)とあった。彼はスイングジャーナルの表紙なども手掛けている。溶けてゆく二本の指。ジャケット裏には闇夜に飛ぶコールマンと、それを見つめるヘイデン。浮遊するジャズである。

1. Mary Hartman, Mary Hartman
2. Human Being
3. Soap Suds
4. Sex Spy
5. Some Day

Ornette Coleman - tenor saxophone, trumpet
Charlie Haden - bass

Recorded on January 30, 1977 at The Hit Factory, NYC.

Ornette Coleman / Dancing In Your Head

コールマン自身が創り上げたハーモロディック理論。簡単に言えば、メロディーそのものが自発的なリズムを生み出していくこと。こう書いても、その音楽をイメージすることは難しい。だが、本アルバムのTheme From A Symphonyを聴けば、コールマンが吹くサックスのメロディーが、ギター、ベース、ドラムを巻き込んだ渾然一体のリズムを形成していることが分かる。ハーモロディック理論の完成形が、この曲にあるのだ。

バリエーションOneが15分43秒、Twoが11分3秒。コールマンは休むことなく吹きまくる。その一音一音を逃さずキャッチしていくと、まさしく頭が揺れ動きDancing in My Head状態。さらに、ジャケットにくぎ付け。

1. Theme From A Symphony (Variation One)
2. Theme From A Symphony (Variation Two)
3. Midnight Sunrise

Tracks 1 & 2
Ornette Coleman - alto saxophone
Charles Ellerbee - guitar
Bern Nix - guitar
Rudy MacDaniel - bass
Ronald Shannon Jackson - drums
Recorded in December, 1976 at Barclay Studios, Paris.

Track 3
Ornette Coleman - alto saxophone, trumpet, electric violin
Robert Palmer - clarinet, wood flute
The Master Musicians Of Joujouka - pipes, flute, three lutanists, violin, drums
Recorded in January, 1973 at Joujouka, Morocco.

Ornette Coleman / Body Meta

このアルバムを聴くと、ソリッドなリズムの中をオーネット・コールマンがアルトサックスで放浪しているようだ。その奇妙な感覚が、聴き手を揺さぶり酔わせる。所有していたLPには、コールマンの短いエッセイが掲載されていた。タイトルはConversation For a Songで、原文は掲載されておらず、にしかわ・としゆき氏による訳のみ。かなり難解な表現になっていて、同氏も苦労したと思われる。「知るべきでないことはしてはいけないことを見付けることだ」と始まる。

本作は、コールマンを含めた5人による渾然一体とした音楽に耳を傾けるべきであるが、時にはコールマンを、時にはギターを中心に聴いて見ると新たな発見がある。だが、一番はシャノン・ジャクソンのドラム。ジャクソンが繰り出すリズムに、本作の真髄があると思うのだ。なお、本作は全てコールマンの作品で、ライナーノーツには4曲目Fou Amorの楽譜も載っている。しっかり書き込まれているようだが、どれだけの規則があり、どんな自由度があるのか読み取ることはできない。

1. Voice Poetry
2. Home Grown
3. Macho Woman
4. Fou Amor
5. European Echoes

Ornette Coleman - alto saxophone
Bern Nix - guitar
Charlie Ellerbie - guitar
Jamaaladeen Tacuma - bass
Ronald Shannon Jackson - drums

Recorded on December 19, 1976 in Paris.