Ornette Coleman / The Shape Of Jazz To Come

邦題『ジャズ来るべきもの』。1959年5月録音。今更ながら思うが大胆なタイトル。オーネット・コールマン自身が、このタイトルを付けたとは到底思えない。彼は自分がやりたかった音楽をやったに過ぎないはずだ。LPのライナーノーツでは、「完全な名盤ならぬ名盤としてジャズ史に残るべき不朽の問題作である」と粟村政昭氏が意味不明な形で締め括っている。「完全な名盤ならぬ名盤=不完全な名盤」とは?「不朽の問題作=駄作」ということか?リリース直後の文章なら分からなくはないが、10年以上経ってから書いている。

ジャズの歴史をむやみに引きずってきた評論家こそが「不朽の問題」。遠回しな表現で自分の逃げ道を作るのは「不完全な評論家」。本作はコールマンの自信に満ち溢れた「不朽の名盤」である。60年代に入る直前、フロント2管、そしてピアノレスで録音に臨んだコールマン。前作Tomorrow Is The Question!に続いて、自己表現に徹したコールマン。一曲目のLonely Womanこそが、このアルバムの全てを語っている。「艶歌」。コブシはないけれど、情念のアルトサックス。

1. Lonely Woman
2. Eventually
3. Peace
4. Focus On Sanity
5. Congeniality
6. Chronology
7. Monk And Then Nun
8. Just For You

Ornette Coleman - alto saxophone
Don Cherry - cornet
Charlie Haden - bass
Billy Higgins - drums

Recorded on May 22, 1959 in Los Angeles, CA.

Ornette Coleman / Tomorrow Is The Question!

コールマンはデビューアルバムSomething Else!!!!でピアノを使ったが、このセカンドアルバムTomorrow Is The Question!ではピアノを排除。その後、例外的なセッションを除いてピアノを使うことはなかった。Red Mitchell(レッド・ミッチェル)のベース、Shelly Manne(シェリー・マン)のドラムに関しては、このアルバムをプロデュースしたコンテンポラリー・レコードの創設者Lester Koenig(レスター・ケーニッヒ)が配置したと思われる。アルバムは1959年1月、2月、3月の3回のセッションで構成されているが、3月のセッションではベースがPercy Heath(パーシー・ヒース)に交代。これは、コールマンによる提案だったのだろう。

結局のところ、バックの3人の先輩達とは、コールマンは相性が悪かった。コールマンとDon Cherry(ドン・チェリー)による自由な発想を阻害はしないものの、決して煽るようなバックをしてもらえなかった。コールマンのディスコグラフィーを見れば、この3人とは二度とセッションを行なっていないことから、容易に想像できる。タイトル通り「明日が問題!」だったのである。

1. Tomorrow Is The Question!
2. Tears Inside
3. Mind And Time
4. Compassion
5. Giggin'
6. Rejoicing
7. Lorraine
8. Turnaround
9. Endless

Ornette Coleman - alto saxophone, soprano saxophone
Don Cherry - trumpet
Percy Heath - bass (tracks 1-6)
Red Mitchell - bass (tracks 7-9)
Shelly Manne - drums

Track 7
Recorded on January 16, 1959 at Contemporary's Studio, LA.

Tracks 8 & 9
Recorded on February 23, 1959 at Contemporary's Studio, LA.

Tracks 1 - 6
Recorded on March 9 & 10, 1959 at Contemporary's Studio, LA.

Ornette Coleman / Something Else!!!!

オーネット・コールマンのデビューアルバム。1958年、この録音の時点で、すでにコールマン節は確立されている。例えば、マイルスはマイルスのジャズを、コルトレーンはコルトレーンのジャズを創り上げるため、自己研鑽を積み重ね、それを確立してきた。だが、コールマンは初めからコールマンだった。

アルバムに収められた9曲。全てコールマン作で、歯切れよく演奏している。恐らく、入念なスコアがあったのではないだろうか。そんなスコアを用いて、どれだけ自由な演奏ができるかという実験的な試み。タイトルSomething Elseのあとにビックリマークを4本並べたのは、コールマン自身が自己表現できたという証(あかし)なのだろう。

1. Invisible
2. The Blessing
3. Jayne
4. Chippie
5. The Disguise
6. Angel Voice
7. Alpha
8. When Will The Blues Leave?
9. The Sphinx

Don Cherry - cornet
Ornette Coleman - alto saxophone
Walter Norris - piano
Don Payne - bass
Billy Higgins - drums

Recorded on February 10 & 22 and March 24, 1958 in Los Angeles, CA.