The New York Art Quartet / Mohawk

ライナーノーツに3人のコメントが記載されている。

◆ジョン・チカイ:芸術家にとって、すでに確立された既成の方法に従ってやることより、全く新しいルールや方法を編み出すほうがよっぽど努力が必要なんじゃないだろうか。
◆ラズウェル・ラッド:集団即興演奏(group improvisation)によってほのぼのとした暖かさをみんなで表現していこうというのが私の基本姿勢である。
◆ミルフォード・グレイヴス:1964年の当時、ドラムスにフリーのコンセプトを導入してプレイしたのは、おそらく私ぐらいのものだった。〈中略〉チカイとラッドにはリズム、〈自由に解放されたリズム〉というものがどうしても必要だった。

それぞれの発言には何となく納得してしまうのだが、読み返すと矛盾も感じられる。全く新しいかどうかは別にして、この演奏の中にはルールがあって、みんなで表現し、一方で、自由に解放されたリズムが根底にあるということ。つまり、自由の中に共通のルールが存在している訳である。それは不自由ではないだろうか。本作は2014年にCD化されたが、今は完全に廃盤状態。これはとっても不自由なのだ。

1. Rufus 3rd
2. Mohawk
3. Banging On The White House Door
4. No.6
5. Everything Happens To Me
6. Quintus T.
7. Sweet V.

John Tchicai - alto saxophone
Roswell Rudd - trombone
Reggie Workman - bass
Milford Graves - drums

Recorded on July 16, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

西岡恭蔵 / ディランにて

「林敏明、角谷安彦の明確にビートを刻み続けるリズムセクションをバックに配して自分自身のギターをかき鳴らしながら唄う姿は、まるで荒野を渡っていく風のように力強い。デビュー作にありがちな余分な気負いも無く、実にシンプルでストレートなアルバムに仕上がっている。これほどまでに〈唄の力〉を全面的に出す事が出来たのは、稀代のソング・ライター西岡恭蔵だからなし得た事だ」(小川真一氏のライナーノーツから抜粋)。

ボブ・ディランの作品All Along The Watchtowerに青木洋子による歌詞を付けた「丘の上の英雄さん」以外は、全て西岡恭蔵の作詞作曲。かつて、ボロボロになっても所有していたLPを、「プカプカ」が聴きたくなるとターンテーブルに乗せていた。1999年4月3日。50歳で自分の身を絶った恭蔵。

1. サーカスにはピエロが
2. 下町のディラン
3. 谷間を下って
4. 君住む街に
5. 風を待つ船
6. 丘の上の英雄さん
7. 君の窓から
8. 僕の女王様
9. プカプカ
10. 街の君
11. 終りの来る前に
12. サーカスの終り

西岡恭蔵 - vocal, guitar
角谷安彦 - bass
林敏明 - drums
吉野金次 - piano

録音 1972年3月4, 5 & 6日 東京・モウリスタジオ(発売 72年7月25日)

Niels-Henning Ørsted Pedersen / Double bass

ジャズ研時代に聴き込んだアルバムの一つ。LPでは最終曲だったLittle Trainが一番のお気に入りだった。何度も聴いてカセットに録音し、ウッドベースの練習を繰り返した。この曲の余韻で終わるのが特徴。ところが、CDでは別テイクの2曲がLittle Trainの後に配置され、アルバムとしての雰囲気をぶち壊している。別テイクを追加するのは良いが、アルバム全体の構成を考えるべきだろう。

LPのライナーノーツは久保田高司氏が担当。「このアルバムにある昂奮は研ぎすまされた剃刀の刃のようにシャープな知的昂奮なのである。そしてそれが聴き手を充分な音楽の酩酊へと誘うことも確かなのである。〈中略〉サム・ジョーンズという経験豊かなベース奏者の職業的冷血と、エルステッド・ペデルセンという洋々たる未来をもった若きベース奏者の職業的熱血とがたくみに反映し、たくみに渾然とした極上のジャズアルバムなのである」。「知的昂奮」や「職業的云々」の言葉は気になってしまうが、「研ぎすまされた剃刀」という表現は納得。1976年11月24日付けのノーツであって、この年の4月にジャズ研に入部。リアルタイムで聴いていた証拠。

1. Falling In Love With Love
2. A Notion
3. Giant Steps
4. I Fall In Love Too Easily
5. Miss Morgan
6. Au Privave
7. Yesterdays
8. Little Train
9. A Notion [take 1]
10. Miss Morgan [take 2]

Niels-Henning Ørsted Pedersen - bass
Sam Jones - bass
Philip Catherine - guitar
Billy Higgins - drums
Albert Tootie Heath - percussion

Recorded on February 15 & 16, 1976.