Marion Brown / Offering

マリオン・ブラウンのアルバムNovember Cotton Flower(1979年6月録音)は、自分の愛聴盤の一つ。それ故に、80年代以降のブラウンの活動を知りたくて購入したのが本作。CD帯から。「マリオンのピュアな心がダイレクトに伝わる感動的ジャズアルバム!コルトレーンなどジャズ・ジャイアント達へのスピリチュアルな音楽の捧げ物として作られた。マリオンの美しいアルト・サウンドが響きわたるホットでエモーショナルなこのアルバムは、後世に残る傑作の1枚」。異議なし!スイングジャーナルのゴールド・ディスクに選定されたのもうなずける。

2曲目Self Portrait In Three Colorsはミンガスの作品でアルバムMingus Ah Um(59年5月録音)に、ラスト曲After The Rainはコルトレーンの作品でアルバムImpressions(63年4月録音)に、それぞれ収録されている。ブラウンとコルトレーンの距離は近かったはずだが、意外にも共演作はアルバムAscensionのみ。そして、ミンガスとブラウンのアルバムでの共演は見当たらない。それぞれのオリジナル演奏と聴き比べてみたが、ブラウンはそれらの曲想を尊重して演奏していることがわかる。バックのミュージシャンもそれに十分に応えているのだ。本作も愛聴盤に加わった。

1. Terra
2. Self Portrait In Three Colors
3. Ode To Coltrane
4. Sly Entrance
5. Golden Lady In The Graham Cracker Window
6. Berkshire Blues
7. After The Rain

Marion Brown - alto saxophone
Jay Messer - guitar
Tom McClung - piano
Mike Marcus - bass
Chris Dailey - drums

Recorded on October 7, 1992 at Sear Sound Studio in NYC.

Miles Davis / Miles & Quincy Live At Montreux

このアルバムは、クインシー・ジョーンズ指揮によるオーケストラとマイルスとの共演で、1950年代のギル・エバンスのスコアを再現したもの。マイルスがギルとのコラボレーションで肥やしとしてきたものを約40年後の1991年7月8日、モントルー・ジャズ・フェスティバルで披露した訳である。マイルスの原点の一つは、エバンスとの協働にあったという証拠が、このアルバムに残されている。

オープニングのイントロダクションを含めた全16曲が次々と進み、56分45秒で完結。ジャケット内に記載されたミュージシャン総数は51名。舞台狭しと並んだミュージシャンの様子は、その全編をYouTubeで確認できる。このライブから3カ月も経たない9月28日、マイルスは65歳でこの世を去ってしまった。すでに死を覚悟したであろうマイルスの音源が詰まった一枚。そして、その映像はYouTubeに遺された。

1. Introduction by Claude Nobs & Quincy Jones
2. Boplicity
3. Introduction to Miles Ahead Medley
4. Springsville
5. Maids Of Cadiz
6. The Duke
7. My Ship
8. Miles Ahead
9. Blues For Pablo
10. Introduction to Porgy And Bess Medley
11. Orgone
12. Gone, Gone, Gone
13. Summertime
14. Here Come De Honey Man
15. The Pan Piper
16. Solea

Performed by The Gil Evans Orchestra and The George Gruntz Concert Jazz Band.
Miles Davis - trumpet
Kenny Garrett - alto saxophone
Wallace Roney - trumpet, fluegelhorn
Quincy Jones - conductor, producer

Recorded on July 8, 1991 at Montreux Jazz Festival, Casino De Montreux, Switzerland.

Michel Petrucciani / Promenade With Duke

デューク・エリントンに捧げたミッシェル・ペトルチアーニのソロアルバム。ブルーノートからのリリースにもかかわらず、正確な録音日が記載されていない。ということは、録り直しが何度もあったのかと勘ぐってしまうのだ。それはそれとして、名演であることは間違いなし。しかしながら、Take The "A" Trainは2分50秒、C-Jam Bluesは1分53秒とあっさりと終わってしまう。9曲収録のアルバム全体は47分50秒。LPとCDでのリリースならば納得するが、CDだけのようなので、もっと聴かせて欲しかった。

Amazonレビューからの抜粋。「ペトルチアーニの並外れた演奏力がまんべんなく発揮され、リズムを打つ左手と踊るような右手が、バラードと言えるほど濃密な和音を求めて駆け巡る。ペトルチアーニの音楽には奥深いスイング感と攻撃的な迫力もあるが、このアルバムを他から際立たせているのは、堂々と奏でられているフランス風ロマンティシズムである」。自分には「フランス風」とは、どういう意味合いなのかを理解できないが、密度が濃いソロであることは間違いなし。演奏時間ではなく、密度で勝負したアルバム。

1. Caravan
2. Lush Life
3. Take The "A" Train
4. African Flower
5. In A Sentimental Mood
6. Hidden Joy
7. One Night In The Hotel
8. Satin Doll
9. C-Jam Blues

Michel Petrucciani - piano

Recorded in 1993 at Power Station, NYC.
Release on April 6, 1993.