McCoy Tyner / Tender Moments

コルトレーンが他界した1967年7月以後、マッコイが最初に出したアルバム。晩年のコルトレーングループには在籍していなかったマッコイではあるものの、彼の死は大きなショックだったと容易に想像できる。コルトレーン亡き後のジャズ界は自分が…という思いもあったはず。ゆえに、全6曲マッコイのオリジナルで、フロント6管という贅沢な構成。

マッコイのスコアに合わせて楽器を編成したのだろうが、それらを活かし切れていない。録音は67年12月1日。出来上がりに多少の不満が残っていたとしても、メンバーを拘束できたのは1日だけだったのだろう。その中でも、4曲目のUtopiaは、マッコイの金字塔となるアルバムFly With The Windにつながっている気がする。

1. Mode To John
2. Man From Tanganyika
3. The High Priest
4. Utopia
5. All My Yesterdays
6. Lee Plus Three

Bennie Maupin - tenor saxophone
James Spaulding - alto saxophone, flute
Lee Morgan - trumpet
Julian Priester - trombone
Bob Northern - French horn
Howard Johnson - tuba
McCoy Tyner - piano
Herbie Lewis - bass
Joe Chambers - drums

Recorded on December 1, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

McCoy Tyner / The Real McCoy

マッコイは、コルトレーンカルテットを1965年暮れに脱退。その後、自らの音楽を最初に立ち上げようとしたのがこのアルバムであり、全5曲がマッコイの作品で構成されている。しかしである、何故にドラムはエルビンだったのか?エルビンに不満があるわけではないが、コルトレーンの音楽と決別したかったのなら、違うドラマーにすべきだった。さらに、ベースがロン・カーター。この時期、ロンはマイルスのグループでベースの定位置にいた。つまり、マッコイにはグループサウンドの明確なコンセプトがまだなく、メンバーは借りてくるしかなかったのである。

なお、5曲中の3曲は10年以上経って再演。Four By FiveとBlues On The CornerはアルバムSupertrios(1977年4月録音)、Search For Peaceはアルバム13th House(1980年10月録音)に収録。驚いたことに、本田竹曠がアルバムMy Funny ValentineでBlues On The Cornerを1985年4月に録音している。このアルバムはスタンダード集であるにもかかわらず、スタンダードでないこの曲を忍び込ませた。本田がマッコイから影響を受けていた事実がここにある。

1. Passion Dance
2. Contemplation
3. Four By Five
4. Search For Peace
5. Blues On The Corner

Joe Henderson - tenor saxophone
McCoy Tyner - piano
Ron Carter - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on April 21, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

McCoy Tyner / Today And Tomorrow

1963年6月と64年2月の2つのセッションから構成。ピアノトリオと3管フロントのセクステットで3曲ずつ。計6曲が交互に並べられている。アルバムのコンセプトがイマイチ分からない。トリオはスタンダード曲、セクステットはマッコイのオリジナル曲。スタンダードがToday、オリジナルがTomorrowなのか。今日は赤く燃えていて、明日のことを考えるとブルーになってしまう。ジャケットのタイトル色とマッコイの表情から、そんなことも想像できる。

この時期、マッコイはコルトレーングループに属していて、アルバムImpressionsなどを録音している。そんな中、自己表現したいという思いで作ったアルバムなのだろう。以下はCD帯からだが、まだまだマッコイ色が出ているとは言い切れない。マッコイ、25歳の録音。

「枯葉」「チュニジアの夜」等、極めつきの名曲がマッコイ色に染まる。トリオとセクステット、2種類の構成で多彩な持ち味をアピールした1枚。サン・ラ・オーケストラの看板奏者、ジョン・ギルモアらサイドメンも味わい深いプレイを展開。

1. Contemporary Focus
2. A Night In Tunisia
3. T 'N' A Blues
4. Autumn Leaves
5. Three Flowers
6. When Sunny Gets Blue

Tracks 1, 3 & 5
John Gilmore - tenor saxophone
Frank Strozier - alto saxophone
Thad Jones - trumpet
McCoy Tyner - piano
Butch Warren - bass
Elvin Jones - drums
Recorded on February 4, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Tracks 2, 4 & 6
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Albert Heath - drums
Recorded on June 4, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.