Miles Davis / Dingo

商品解説から。「本作は、マイルス・デイビスが俳優としても出演した同名映画のサントラ盤。フランス音楽界の重鎮ミシェル・ルグランと久しぶりのコラボレーションが実現。リード・トランペットをChuck Findley(チャック・フィンドレー)と吹き分けた作品」。追記すると、全作品をルグランとマイルスで作曲し、マイルスの台詞もわずかに含まれている。

ジャケットには、全16トラックの内、7トラックがマイルス、8トラックがフィンドレーのトランペットをフューチャーと記載。従って同じサントラ盤『死刑台のエレベータ』とは大きく異なり、マイルスのトランペットを全体通して堪能できるアルバムではない。マイルスが死の1年ほど前に、初めて役者に取り組み、サントラ盤に再チャンレジしたという事実を残したアルバム。

1. Kimberley Trumpet
2. The Arrival
3. Concert On The Runway
4. The Departure
5. Dingo Howl
6. Letter As Hero
7. Trumpet Cleaning
8. The Dream
9. Paris Walking I
10. Paris Walking II
11. Kimberley Trumpet In Paris
12. The Music Room
13. Club Entrance
14. The Jam Session
15. Going Home
16. Surprise!

Miles Davis - trumpet
Kenny Garrett - alto saxophone
Oscar Brashear, Ray Brown, Chuck Findley, George Graham, Nolan Andrew Smith - trumpet
Jimmy Cleveland, George Bohannon, Thurman Green, Lew McCreary, Dick Nash - trombone
Richard Todd, David Duke, Marni Johnson, Vincent DeRosa - French horn
Marty Krystall, Buddy Collette, Charles Owens, Bill Green, Jackie Kelso, John Stephens - woodwind
Mark Rivett - guitar
Kei Akagi, Alan Oldfield - keyboards
Alphonse Mouzon, John Bigham, Harvey Mason, Sr., Ricky Wellman - drums, percussion
Foley, Abraham Laboriel, Benny Rietveld - bass
Michel Legrand - keyboards, arranger and conductor

Recorded in March 1990 at Crystal Studios, Los Angeles, CA.

Marion Brown / JUBA-LEE

LPのライナーノーツで児山紀芳氏がこう締めくくっている。「ジュバ・リーは、決してラジカルなニュー・ジャズではないが、いかにも知的なマリオンがそこを通過する過程で記録した、今なお新鮮に響く記念さるべき秀作といえよう」。録音は1966年11月。いつ書かれたものか定かではないが、児山氏の文章「新鮮に響く」という箇所に引っかかってしまう。

1960年代半ば、時代の流れに吸い込まれるように録音したアルバムではないだろうか。マリオン・ブラウンが、自分の目指すジャズを表現したとは思えない。彼の一つの到達点は、アルバムNovember Cotton Flowerだったはず。であれば、「今なお苦悩の時代を映した記念さるべき秀作」としたい。本作は一時的にCD化されたようだが、完全に廃盤状態。65年11月のセッションとカップリングして、曲数を絞ったアルバムCapricorn Moon To Juba Lee Revisitedが3,500円で入手可能だが、触手は動かない。

1. 512e12
2. The Visitor
3. Juba-Lee
4. Iditus

Marion Brown - alto saxophone
Grachan Moncur III - trombone
Alan Shorter - trumpet, flugelhorn
Bennie Maupin - tenor saxophone
Dave Burrell - piano
Reggie Johnson - bass
Beaver Harris - drums

Recorded in November 1966 in NYC.

Milt Jackson / Bags & Trane

コルトレーンのディスコグラフィーを見ると、ミルト・ジャクソンとの共演は、1951年のディジー・ガレスピー名義のセッションが中心。従って、59年1月録音のこのアルバムは、久し振りの二人の顔合わせということになる。だが、ここではヴァイブとサックスの火花散る共演になっていない。1月15日、たった1回だけでのセッションでは、噛み合っているものの、刺激し合っているとは思えない。

二人のインタープレイを引き出すならば、互いによく知っているスタンダード曲を中心にして勝負すべきだった。一流のバック陣を揃えたにもかかわらず、印象にあまり残らない出来となってしまったのは、プロデューサーの選曲ミス。ところで、Bagsとは「目の下のたるみ」を意味し、ジャクソンのニックネーム。ジャケットでは眼鏡をかけているので分かりにくいが、2年前に録音されたアルバムPlenty, Plenty Soulのジャケットを見ると、何となく理解できる。でも、こんなニックネームに本人はどう感じていたのだろうか。タイトル曲Bags & Traneは彼の作品なので、意外と気に入っていたのかも知れない。

1. Bags & Trane
2. Three Little Words
3. The Night We Called It A Day
4. Be-Bop
5. The Late Late Blues

Milt Jackson - vibraphone
John Coltrane - tenor saxophone
Hank Jones - piano
Paul Chambers - bass
Connie Kay - drums

Recorded on January 15, 1959 at Atlantic Studios, NYC.