森山威男 / HUSH-A-BYE

ようやくCDを手に入れた。森山威男、山下洋輔、富樫雅彦などの日本を代表するジャズマンのCDは再発されることが極めて少なく、中古CDが高値で取引されている。このHUSH-A-BYEも同様で、ずっと手を出せなかったのだが、未開封新品の定価CDを見つけ出した。ジャケットはLPから一新。赤と白に塗られた倉庫のような写真から、機内からの写真に切り替わった。どちらの写真も、このアルバムとの関連性はない。一つ考えられるのは、録音から2年後の1980年4月24日に小田切一巳は31歳で他界。小田切への追悼の意味を含めたような気がする。

森山カルテットに向井滋春をゲストとして迎えたアルバム。最大の聴きどころはタイトル曲Hush-A-Byeで、ジョニー・グリフィンの十八番でもある。ところが、向井は参加していない。タイトル曲はゲスト抜きなのである。「Hush-A-Bye(ねんねしな)、しげはる」ということか。

1. Sunrise
2. Hush-A-Bye
3. North Wind
4. Lover Man
5. Snow Tiger

小田切一巳 - tenor saxophone (tracks 1,2,5), soprano saxophone (track 3)
向井滋春 - trombone (except track 2)
板橋文夫 - piano
望月英明 - bass
森山威男 - drums

Recorded on February 27, 1978 at 1st Studio TEICHIKU KAIKAN.

森山威男 / Flush Up

森山威男は、1975年の大晦日のコンサートを最後に山下洋輔トリオを脱退。油井正一氏のライナーノーツには、森山による脱退の理由を載せてある。「あのトリオの発足当初は、うまくなりたい、早くまとまったグループになりたいといった目標があったが、いったん達成してしまうと次に目標とするものがなくなってしまった。妻が聖書を勉強していたせいもあって、“何のためにやるか”というようなことを真剣に考えるようになった。とにかく年1度ではあるが3か月を要するヨーロッパ旅行をはじめ、あまりにも自分自身の生活を犠牲にすることが多くなってきた。山下さんは“一生の仕事に情熱を傾けてゆくことが進歩することだ”と励ましてくれたが、僕は大切なものを失うような気がしてならなくなったのです」。

さらに、「山下トリオをやめて、自分の時間を持てるようになると、3か月ほどは音楽以外の仕事を探そうかと考えていた。山下トリオ以上に凄いグループにめぐりあえるはずはなかったので・・・」と付け加えている。もし、森山が音楽以外の仕事に就いていれば、日本のジャズ界にとっては大損失だった。だが、77年3月に新宿ピットインで森山は見事に復活。その瞬間を捉えたアルバム。CDには載っていないが、LPにはピットインでのメンバー4人のショットを掲載。それぞれ最高の表情。

1. Flush Up
2. Softly, As In A Morning Sunrise
3. Yellow Bear

高橋知己 - soprano saxophone, tenor saxophone
板橋文夫 - piano
望月英明 - bass
森山威男 - drums

Recorded on March 1 & 2, 1977 at PIT INN, Shinjuku, Tokyo.

元岡一英 / I'll Remember April

7月17日朝、橋本信二さん永眠。繊細で、しかも暖かみのあるギターを弾いてきた橋本さん。本拠地・高田馬場のGate Oneでは目の前で彼のギターに酔いしれたこともあった。「どう?」と聞いてくれて「いやぁ、いいですねぇ」と会話したことを覚えている。2016年8月3日の出来事。

その2ヵ月前の6月12日(日)午後。町田Nica'sで元岡&橋本のライブを聴いた後に、デュオのアルバムを購入。お二人からサインをいただいた。もう4年前のことだ。合掌。

1. I'll Remember April
2. I Wish I Knew
3. Two For The Road
4. Blue Minor
5. 合流注意
6. Calypso
7. Moonlight In Vermont
8. Stella By Starlight
9. Love Letters
10. Ugly Beauty
11. Gate One'n Nica's Blues
12. In My Life
13. Daydream
14. As A Bird

元岡一英 - piano
橋本信二 - guitar
小杉敏 - bass (tracks 3,10,11)

Recorded in Early Spring (May) 2015 at Sound City Studio, Tokyo.