Michel Petrucciani / Live At The Village Vanguard

37歳で生涯を終えたミッシェル・ペトルチアーニのライブ。舞台はビレッジ・バンガード、22歳。1980年代に入ってジャズは混迷を続けたが、ペトルチアーニは自分のスタイルを貫いた。それは、肉体的にハンディを背負い、決して長くない人生を悟っていたからだろう。

このアルバムは、マイルスのNardisで始まり、ロリンズのOleoと続き、モンクの'Round Midnightで締め括っている。それらの間にはペトルチアーニ自身の曲などを配置。英文のライナーノーツによると、CDは演奏順のようである。

注目するのは1曲目のNardis。マイルスは一度も録音せず、ビル・エバンスの十八番となった曲である。ジャズに詳しい観客は「おっ、エバンスといきなり勝負するのか!」と期待したはずである。結果は・・・CDに残された観客の反応が答えになっている。

1. Nardis
2. Oleo
3. Le Bricoleur De Big Sur
4. To Erlinda
5. Say It Again And Again
6. Trouble
7. Three Forgotten Magic Words
8. 'Round Midnight

Michel Petrucciani - piano
Palle Danielsson - bass
Eliot Zigmund - drums

Recorded on March 16, 1984 at The Village Vanguard, NYC.

Michel Petrucciani / 100 Hearts

ジャケット写真から容易に想像できるKOOL JAZZ FESTIVALのライブアルバム・・・ではないのだ。ならば、このフェスティバルでのライブ録音はと言うと、調べた限りでは残っていない模様。ほんとうはライブアルバムを出す予定が、録音に失敗して、もしくは演奏の状態が悪くて、急遽スタジオ録音に切り替えた、と勘繰ってしまう。英文のライナーノーツを眺めても、KOOL JAZZの事は一切触れられていない。

まぁ、そういう背景は別として、ペトルチアーニの純粋なピアノソロとして聴くと、物足りなさが残る。全体が計画的すぎて、もっと自由に展開できたのではないかと。初めから、1枚のCDに収めるという制約があった感じを受ける。録音データは年月までで日付がないことが、それを表していると思えるのだが。なので、ペトルチアーニ自身が解放されていないソロアルバムという結論。

1. Turnaround
2. Three Forgotten Magic Words
3. Silence
4. St. Thomas
5. Pot Pouri (Medley): Some Day My Prince Will Come / All The Things You Are / A Child Is Born / Very Early
6. 100 Hearts

Michel Petrucciani - piano

Recorded in June 1983 at RCA Studio A, New York City.

Michel Petrucciani / Michel Petrucciani

肉体的ハンディーを背負ったミシェル・ペトルチアーニを「ピアノの化身」と、日本のジャズ・ジャーナリズムはレッテルを貼った。その言葉が彼の耳の届いたかどうかは知らない。よくよく考えてみると、差別的な意味合いがないとは言えない。ジャズピアノの演奏スタイルに新たな革新をもたらした功績があったとは言えないが、1980年代の初めに新風を巻き起こしたことは事実だ。残念ながら、当時はリアルタイムで彼の新譜レコードを買う余裕はなかったし、ジャズ喫茶へ通う時間も無かった。

本アルバムを録音した時、ペトルチアーニは弱冠18歳。ハンディを背負った彼だけに、「天才」と軽く言えるはずがない。相当な努力をして、ピアノという楽器を自分のものにしたはずだ。そして、1999年1月に36歳の生涯を閉じた。ジャズピアニストとしての彼の初リーダーアルバム。ここから終着駅まで駆け抜けた。20年足らずのジャズマンの生き様を、このアルバムから感じ取ることができるのだ。

1. Hommage A Enelram Atsenig
2. Days Of Wine And Roses
3. Christmas Dreams
4. Juste Un Moment
5. Gattito
6. Cherokee

Michel Petrucciani - piano
Jean-Francois Jenny-Clark - bass
Aldo Romano - drums

Recorded on April 3 & 4, 1981.