Marion Brown / Vista

このアルバムを購入して、一曲目のMaimounを初めて聴いた時、ドキッとしたことを良く覚えている。日野元彦の名曲「流氷」とベースラインが非常に良く似ているのだ。今回、改めてライナーノーツを読んだところ、この曲はスタンリー・カウエルの1974年頃の作品であることを確認。「流氷」は76年2月7日のライブ録音である。元彦がどこかでMaimounを聴いて、インスピレーションが湧いた可能性がないとは言えない。なお、カウエルは2020年12月17日に79歳で他界していた。なんとも…、自分の誕生日である。

CD帯から。「漆黒の美がきらめくバラード・アルバム。新生マリオン・ブラウンの真髄がここに。前衛的なプレイで60年代ジャズに刺激を与えたブラウンが一転、ソウルフルでメロディアスな魅力を存分に発揮した話題作。スティーヴィー・ワンダー作〈ヴィジョンズ〉のカバーがとりわけ美しい」。漆黒の美…、インスピレーションが湧かない。

1. Maimoun
2. Visions
3. Vista
4. Moment Of Truth
5. Bismillahi 'Rrahmani' Rrahim
6. Djinji

Marion Brown - alto saxophone, wind chimes
Anthony Davis - piano, electric piano
Stanley Cowell - piano, electric piano (tracks 1-4)
Bill Braynon - celeste, electric piano (tracks 1-4)
Reggie Workman - bass (tracks 1,3-6)
Jimmy Hopps - drums (tracks 1,3-5)
Ed Blackwell - drums, slit drums (tracks 3,6)
Jose Goico - congas, tambourine (tracks 1,3-6)
Allen Murphy - vocals (track 2), bells (track 5)
Harold Budd - celeste, gong (track 5)

Recorded on February 18 & 19, 1975 at Generation Sound Studios, NYC.

Marion Brown / Afternoon Of A Georgia Faun

輸入盤CDのライナーノーツは、ダウンビートのジャズ評論家Alan Offsteinが担当。かなりの長文であったが、なんとか訳して読み切ることができた。その中で興味深い次のセンテンスを見つけた。ここでのピアニストとはチック・コリアのことだろう。マリオン・ブラウンは1931年9月、コリアは41年6月生まれである。そして、二人の共演はこのアルバムのみ。収録はブラウン作の2曲だけだが、コリアのアイデアが盛り込まれているようだ。ちなみに、2ヵ月前の1970年6月、コリアはマイルスのライブアルバムAt Fillmoreに参加。

Marion Brown speaking of his pianist, on the liner notes first quoted: "Like Oriental poetry. Precise, simple, yet profound and filled with transcendental wisdom."(マリオン・ブラウンは最初のライナーノーツでピアニストについて、「東洋の詩のようだ。正確でシンプルでありながら、深遠で超越的な知恵に満ちている」と述べている。)

1. Afternoon Of A Georgia Faun
2. Djinji's Corner

Marion Brown - alto saxophone, zomari, percussion
Anthony Braxton - alto saxophone, soprano saxophone, clarinet, contrabass clarinet, musette, flute, percussion
Bennie Maupin - tenor saxophone, alto flute, bass clarinet, acorn, bells, wood flute, percussion
Jeanne Lee - vocals, percussion
Gayle Palmore - vocals, piano, percussion
Chick Corea - piano, bells, gong, percussion
Jack Gregg - bass, percussion
Andrew Cyrille - percussion
Larry Curtis - percussion (track 2)
William Green - percussion (track 2)
Billy Malone - African drums (track 2)

Recorded on August 10, 1970 at Sound Ideas Studio in New York City.

Marion Brown / Three For Shepp

印象的であり挑発的なジャケット。カメラマンは、マリオン・ブラウンとアーチー・シェップにどんな要求を出したのだろう。背景やテーブルに置かれたサックスと楽譜からすると、録音現場で安易に撮った写真でないことは確か。しかも、シェップはこのアルバムに参加していない。何らかのコンセプトがあって創られたアルバム。

前半3曲がブラウン、後半3曲がシェップの作品。それに合わせて、ピアニストとドラマーを入れ替えている。プロデューサーBob Thiele(ボブ・シール)の狙いは何だったのか。フリージャズの範疇になるアルバムだが、決して雑さを感じさせない。フリーではないということで、カテゴリー分けの矛盾を示しているアルバムとも言える。

1. New Blue
2. Fortunato
3. The Shadow Knows
4. Spooks
5. West India
6. Delicado

Marion Brown - alto saxophone
Grachan Moncur III - trombone
Dave Burrell - piano (tracks 1-3)
Stanley Cowell - piano (tracks 4-6)
Norris Jones - bass
Bobby Capp - drums (tracks 1-3)
Beaver Harris - drums (tracks 4-6)

Recorded on December 1, 1966 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.