Lee Morgan / Live At The Lighthouse

1970年7月10日から12日の3日間、カリフォルニア州ハモサビーチのジャズクラブ『ライトハウス』でのライブ。リー・モーガン唯一のライブアルバム。ベニー・モウピン、ハロルド・メイバーン、ジミー・メリット、ミッキー・ローカーという自己のクインテットを率いて出演。初日10日はモーガン32歳のバースデーで、その日の最終曲Speedballだけは、ドラムがジャック・ディジョネットに交代している。

モーガンのディスコグラフィーを調べると、アルバムでのディジョネットとの共演は、この曲を除いて、1965年9月録音のジャッキー・マクリーン名義のアルバムJacknifeのみである。なぜに、ディジョネットは1曲だけ参加したのか。バースデーのお祝いに駆け付けるほど、二人が懇意だったとは思えない。

本作は、1971年に2枚組LPでリリース。1996年には3枚組CDに拡張。さらに、2021年10月に完全版8枚組CDがリリース。所有する3枚組は、Disc 1: 63分15秒、Disc 2: 64分44秒、Disc 3: 55分44秒。もうこれだけで満腹なのである。ライブは、各日4セットの計12セット。3枚組の最後はモーガンのヒット曲The Sidewinder(LP未収録)で締めくくるが、この曲は10日第3セットの終わりに演奏されていて、CDでは心憎い構成になっている。

Disc 1
1. Introduction By Lee Morgan
2. The Beehive
3. Absolutions
4. Peyote
5. Speedball

Disc 2
6. Nommo
7. Neophilia
8. Something Like This
9. I Remember Britt

Disc 3
10. Aon
11. Yunjanna
12. 416 East 10th Street
13. The Sidewinder

Lee Morgan - trumpet, flugelhorn
Bennie Maupin - tenor saxophone, flute, bass clarinet
Harold Mabern - piano
Jymie Merritt - electric upright bass
Mickey Roker - drums (except track 5)
Jack DeJohnette - drums (track 5)

Recorded on July 10, 11 & 12, 1970 at The Lighthouse, Hermosa Beach, CA.

Lou Donaldson / Alligator Bogaloo

ブルーノートとは思えない意表を突くジャケット。演奏の中身を含めて、好き嫌いが分かれるアルバムだろう。ライナーノーツには、ルー・ドナルドソンのこんな発言が書かれている。「アリゲイター・ブーガルーのタイトルはレコード会社がつけたんじゃないかな。ブーガルーとは一体なんのか、実のところ私自身もよく知らないんだよ。この曲自体、レコーディングの前から演奏していたしね」。

これを読むと、ブルーノートのかなり戦略的なアルバムであったことがうかがえる。1967年、インパルスなどの他のレーベルの台頭によって、ブルーノートは危機感を持っていたのだろうか。オルガンとギターが入っていること、そしてジャケットからジャズ・ロック的なイメージを抱いてしまうが、ブルースを基本とした演奏である。ブルーノートにとって「アリガタヤー」となったアルバムなのかは知らない。

1. Alligator Bogaloo
2. One Cylinder
3. The Thang
4. Aw Shucks!
5. Rev. Moses
6. I Want A Little Girl

Lou Donaldson - alto saxophone
Melvin Lastie - cornet (tracks 1-5)
Lonnie Smith - organ
George Benson - guitar
Leo Morris - drums

Recorded on April 7, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Larry Young / Into Somethin'

ある意味、オルガン奏者の宿命なのかも知れない。とにかく、絶え間なく弾き続ける。それは、ベースラインも担うという宿命が働くからなのだろう。演奏者の論理である。聴き手は騒がしくて仕方ない。それを乗り越えることができれば、超一流のオルガン奏者と自分は思っている。だが、ここでのラリー・ヤングのオルガンは聴き手のロジックを受け入れてくれない。ギターのグラント・グリーンも、かなり頑張ってしまっている。むしろ抑え気味なのが、本作の録音時期、コルトレーングループに在籍していたエルビン・ジョーンズ。

しかし、ラスト曲Rithaになると、しっとりした感じのオルガンに切り替わる。この曲だけは、サックスのサム・リバースが参加していないのだ。つまり、アドリブをサックスに受け渡すことを考え、音数(おとかず)が多いオルガンやギターになってしまったようだ。決してリバースが悪い訳ではなく、このセッションにサックスを入れたことが間違い。タイトルは「何かに夢中になって」とでも訳すのだろうか。夢中になり過ぎるのは、良いとは限らない。ジャケットは逸品で、それに救われたアルバム。

1. Tyrone
2. Plaza De Toros
3. Paris Eyes
4. Back Up
5. Ritha

Larry Young - organ
Sam Rivers - tenor saxophone (except track 5)
Grant Green - guitar
Elvin Jones - drums

Recorded on November 12, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.