Lee Konitz / Motion

後藤雅洋氏の『一生モノのジャズ名盤500』では、このアルバムについて次のように書かれている。「アドリブ一発に勝負を書けたコニッツ畢生の名演。ベースとドラムスだけの贅肉を削いだトリオで即興演奏の極地に挑む心意気やよし。〈中略〉聴き慣れたはずのユード・ビー・ソー・ナイス~がこれほど刺激的だったとは!」。

まったくの同感。そして、ベーシストのソニー・ダラスは、かなり神経をつかったのではないかと想像する。テーマのフレーズからではなく、いきなりアドリブでスタート。ここに、リー・コニッツの本質を見いだせる。所有する輸入盤には、コニッツ自身による解説が載っている。以下は、その後半からの抜粋。コニッツの自信作であることが分かる。

I've been recording since 1949; I have always tried to improvise, - lots of different settings - some things made it for me, some didn't. This particular record means something to me. This was the first time the three of us had played together.(私は1949年からレコーディングしている。多くの異なるセットで、常に即興演奏を試みてきた。うまくいった時もあれば、そうでない時もあった。この特別な録音は、自分にとって何かを意味している。この3人での共演は初めだったんだ)。

Elvin loves to play and gets lots of things going on and the time is always strong; he really is something else. Sonny, to me, is one of the best bass players around. So, I was fortunate to have a good strong rhythm section. Playing with bass and drums gives me the most room to go in whichever direction I choose; a chordal instrument is restricting to me. The thing that I like about this set is that everyone is trying to improvise. The music will speak for itself.(エルビンは演奏することに情熱を持ち、様々なことが進行していく。時間感覚はいつも強烈で、何か違うものを持っている。ソニーは自分の周りで最高のベーシストだ。幸運にも強力なリズムセクションを手に入れることができた。ベースとドラムだけで演奏することは、あらゆる方向へ行く最も広い余地を与えてくれる。和音楽器では制限されてしまうからだ。このセットが気に入っているのは、誰もが即興を試みていることなんだ。音楽自体がそれを物語っている)。

1. I Remember You
2. All Of Me
3. Foolin' Myself
4. You'd Be So Nice To Come Home To
5. I'll Remember April

Lee Konitz - alto saxophone
Sonny Dallas - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on August 29, 1961 at Olmsted Sound Studios, NYC.

Lee Konitz / Very Cool

後藤雅洋氏著『一生モノのジャズ名盤500』から抜粋。「スタートが〈クール派〉だったのでこうしたタイトルが付いたのだろうが、師匠トリスターノの元を離れたコニッツはかなりスタイルを変え、どちらかというとアルトの音色も暖か味、まろやかさを増している」。

同感。"Very Cool"と言われても、受け入れ難い。ましてや、ジャケットのリー・コニッツの表情がクールを拒否している。つまり、ここでの"Very"は、「まさしく」ではなく「突き抜けて」のような意味合いだと思う。コニッツがクールを抜け一歩先に進み出たイメージ。ラスト曲にチャーリー・パーカー作Billie's Bounce(ビリーズ・バウンス)を配置したことも、それを示している。

1. Sunflower
2. Starway To The Stars
3. Movin' Around
4. Kary's Trance
5. Crazy She Calls Me
6. Billie's Bounce

Lee Konitz - alto saxophone
Sal Mosca - piano
Peter Ind - bass
Shadow Wilson - drums

Recorded on May 12, 1957 in NYC.

Lee Konitz / The Real Lee Konitz

アルバムタイトルのRealが意味するところは。リー・コニッツ自身が、ライブ演奏を録音することを決め、そして編集作業まで行ったアルバムだから。ライブ演奏なのに、いきなりアドリブから始まったり、テーマで終わらなかったり、フェイドアウトしたりと、かなり独断的な作りになっているアルバム。

このアルバムに対する世の中の評価は知らないが、BGM的に聴けば良いと思う。真剣に聴いていて、プツリと曲が終わってしまうとフラストレーションが残るだけである。演奏内容は決して悪くない。だが、ジャケットを見ていると「もっと真剣にアルバム作れよ!」言いたくなる。C級に近いB級ジャズ。

1. Straightaway
2. Foolin' Myself
3. You Go To My Head
4. My Melancholy Baby
5. Pennies In Minor
6. Sweet And Lovely
7. Easy Livin'
8. Midway

Lee Konitz - alto saxophone
Don Ferrara - trumpet (tracks 5,6)
Billy Bauer - guitar
Peter Ind - bass
Dick Scott - drums

Recorded on February 15, 1957 at The Midway Lounge, Pittsburgh.